(28) 今でも気持ちは変わらないのかと聞いてみたかった | 大人たちの過ぎゆく日々

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身近な家庭菜園/現代小説

 (28) 「今だから言えるけど、滝口さんに一目ぼれしてました」

 

「私?」月日が経っていたので、驚かないフリをした。

 

「ここに滝口さんが居るのが信じられないですよ。あの時、応援に来ると知ってホームランも打てた。でも・・あんなに盛り上がっていたのに告白も出来なかったのが残念で・・」


当時の話を笑いながら話してくる。

 

弘美は・・今でも気持ちは変わらないのかと聞いてみたかった。心の中で、もし当時と気持ちが変わらなければ、夫と別れようと考える嫌な女。そうじゃない、松田くんに会う前から離婚は決めているし・・

 


弘美が考えていることが分かる気がして「独り身じゃ大変だから、松田くん再婚したら?」


涼子がズバリ聞いてやった。

 

「それは否定しないけど、ただ僕は子供を授かることが出来ない男なのでダメなんだ」

 

「え、まだ子供作る気?」

 

「え!そうじゃないよ」

 


「話は変わるけど・・・ねぇ、この上の階は渡辺くんが居るの? 」

 

「いるけど、昼休みだから今は居ないかな?午後は3時からと思ったけど」

 

「そうなんだ、町のお医者さんみたいだね」

 

「あ、今日は面接だって言ってたから居るかも?」

 

「さっき見掛けた女性は面接に来た人?じゃ、お客さんかな?ねぇ集まる会って何の集まり」


話題を変えた。

 

「野球部は何かあると集まって飲んでます。今月は離婚を励ます会と言ってるけど」

 

「毎月なんだ」

 

「そう!飲んべえ達だから毎月、集まって飲み会です。先生も来るよ」

 

「だれ?」

 

「監督と音楽の新井先生」

 

「新井先生も来るの ? 」

 

「監督が勝手に呼ぶんだよ」

 

「へぇ新井先生はピアノが上手だったよね」先生は派手なタイトスカート穿いていたのを覚えていた。

 

「ここの飲み会では紅一点、未だに独身らしくて・・」新井先生は私たちが入学とともに新任として来たのを覚えている。だから40代、私たちと同世代。つづく