(25)  愛してもないのに癒されるはずもなく笑うだけだった | 大人たちの過ぎゆく日々

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身近な家庭菜園/現代小説

 (25)  夫は仕事と言っているが、何処に行くのかは知らない。カレンダーに予定を書き込むのが習慣になっているので大体分かるだけ。


私も町内の役員をしている関係で、予定を書き込んだりしている。お互い言わなくても済むのである。

 

最近、私の書き込みも増えている。先日は「女子会」と称して予定を書き込むだけで黙って出掛けていた。先生とか渡辺君のことは、当たり前だが予定表には書かない。

 

きっと話し出すと余計な事まで喋ってしまう可能性と、追及される怖さで嘘が大きくなりそうなのだ。夫も予定表に書いている気持ちが分かったように思えた。

 

涼子も秘密を持つことで、夫を理解してしまったのは苦笑いしてしまう。

 

でも夫は、土曜日の予定は空欄にしている。涼子も今月の土曜日の野球部の集団の誘いが決まっているのに空欄にしていた。



涼子が予定表に書けないでいるのは、夫の気持ちと同じかと思う。そんな気持ちを持ちながらも、集まりに出掛けるサプライズ用の制服たけは準備していた。

 

そういえば、弘美は穿けるのだろうか聞いてみると、少しは痩せたというが25年の歳月は簡単には戻らないと嘆く。するとラーメン店主の松田君のことを聞いてくる「彼は独身かな?」

 

「さぁ43歳なら独身ってことは無いんじゃないの ? でも、もしかしたら離婚したとか・・あり得るかな ?」

 

「なんかドキドキしちゃう」

 

「好きなの ?」

 

「私ね、旦那とは喧嘩が耐えないから」・・その話は初めて聞いたが・・この間、私に向かって「信頼できる女性なら、どうぞ」って話していたが、あれは本当の気持ちだったのか。

 

それで涼子は冗談で「旦那に近寄っちゃうかな」と言ったけど、愛してもないのに癒されるはずもなく、笑うだけだったのを思い出していた。

 

私は夫を愛しているのだろうか。先生に再会した時のような、そして渡辺くんに出会ったような癒され感は、夫にはもう無くなっている。もう夫婦という名の共同生活のような関係になっていることに気付く。つづく