「高塚の緑を考える会」の取り組みについて、議会活動の中でどのように取り上げてきたか振り返る | 庄本けんじのノートブック

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 「高塚の緑を考える会」の取り組みについて、私が議会活動の中でどのように取り上げてきたか、ここで振り返っておきたいと思います。

 まず、どうしても強調しておきたいことは、議会で私が取り上げた一つひとつのことは、いうまでもなく、「高塚の緑を考える会」の取り組みと不可分だということです。「会」の様々な活動に参加し続けたからこその、議会活動でした。

 

 「高塚の緑を考える会」の活動を振り返ると、文字通り、さまざまな取り組みがありました。①署名やマスコミ対応など世論への働きかけ、②市議会への請願、市や県との交渉・懇談、③不服審査と裁判、④学習会と集会、コンサートも含めて、⑤そして親睦。いろんな問題にぶつかり、そこでいろんな気づきがあり、みんなが認識を深め、解決の糸口をつかむ努力が続けられた。

 私は、その活動から、できるかぎりことを吸収し、議会に届ける、そう覚悟を決めて、「会」の活動に参加し、議会にのぞみました。

 

 最初の挑戦は、2016年の6月議会です。こここで取り上げたことは、3つのことです。

 一つは、この開発が及ぼすさまざまな影響について、市は事前に調査、吟味していたのか、という問題です。当局は、「風致地区内においては50ヘクタール以上の住宅団地造成事業について評価を実施する必要がございますが、当該開発計画地は4ヘクタールであることから、その対象とはなっておりません」と答弁し、結局のところ、市は高塚山の開発については何の調査も吟味もしていなかった、ということを吐露しました。

 二つめは、開発に関する住民との情報の共有についてです。この問題の核心は、住民が知るよりも1年半も前には市は土地売買の情報を得ていたが、住民にはまったく知らされないということにあります。土地売買の情報は、「公有地の拡大の推進に関する法律」と「国土利用計画法」に基づく届け出制度によります。「譲渡届出書」の市への提出は、2014年9月16日付けです。これだけの土地が業者に渡ったら、山が削られ、町の様相が全く変わってしまうということは誰にでも簡単に想像できることです。ところが、周辺住民が知ることができたのは、2016年2月18日付けの「概要書」提出があったあとの2016年3月10日に標識が設置されてからのことです。周辺の人たちにとってはまさに驚きです。私は、「譲渡届出書」が市に提出されたその段階で周辺住民に知らせるべきではないのか、と質しました。ところが、当局は、届け出制度の目的からいって、その情報は公開きないという答弁をしたのです。

 このことに関しては、後日談がありまして、この質問の後、西宮市は、「大規模開発に伴う協力要請に関する指針に基づく設計概要協議書の受付」という新しい届出の段階を設けて、従来の「開発計画概要書受付」よりも少し早い段階で開発概要が公表されることになりました。わずかのことではありますが、一つの成果と言えます。

 三つめは、これほどの広大な土地が開発業者に売り渡されようとするときに、市が何の関与もしないで、業者任せの開発が進んでしまうという状態を行政が許していていいのか、という問題を提起しました。具体的に言うと、市がこの土地の全部または一部を買い取って、高塚山の開発について、市が関与できるようにする考えはないか、ということです。市が関与すれば、住民の意思を、多少なりとも西宮市を通じて反映させられることが可能になるからです。現に、アサヒビール跡地の一部を買い取って、あの土地全体の開発にたいして市が関与したという具体例があります。ところが、市は高塚山の開発に関しては関与するつもりがない、そういう答弁に終始しました。

 

 これが私の最初の質問でした。その後も、機会を見ては高塚山の開発について取り上げました。建設常任委員会、決算特別委員会の建設部会、ふたたび12月の定例議会の一般質問、教育こども常任委員会と決算特別委員会の教育こども分科会では古墳のことを取り上げ、2017年の12月定例議会の一般質問、2018年の12月定例議会の一般質問と、連打しました。

 そして、2018年の12月議会では、高塚町開発の問題を、3点にまとめて総括した質問をしました。

 第一は、周辺住民の意思が反映されない問題です。その解決のためには、①情報公開、②政策決定過程への住民参加、③裁判権の拡大、などが改善されなければならないということ。こうしたことは、時代が要請する問題であり、それに応える行政の改革が求められているということを強調しました。第二は、高塚町での開発には、いくつかの違法状態が放置されているのではないかという問題です。例えば、区域内に公園の設置や緑地保全が行われていない、甲陽断層の上に住宅を建てることを不問にしている、樹木の保存のための植生調査が行われていない、などなど。どれも許しがたい問題です。第三は、工事中の業者の迷惑行為、問題行動です。この道路は使わないと言明していたにもかかわらず何の断りもなく車をとめて平然と作業を始める、西宮市の道路を一般車両が通行できないように柵のようなものまで設置して終日道路を占拠する、休日の早朝から重機で騒音を立てて作業をする、このような迷惑行為が繰り返されました。また、大雨による泥水流出の被害も起きたのです。こうした業者の問題行動についても、できるだけリアルに告発しようと努力しました。

 

 いま、あらためて議事録を読み返してみると、もっとこうしておけばよかったという思いばかりが募りますが、しかし、少なくない議員が高塚町開発の問題を取り上げ、私自身は「会」の一員として、ことあるごとに、この問題を連打してきたことは、議会という公の場で、開発の問題が告発され、住民の声代弁することができたということは、決して少なくない意義をもつものと確信することで、「高塚の緑を考える会」の活動のすばらしさを心の深いところにしまっておきたいと思います。

 それを取り出すときが、いつの日か、どこかで訪れるかもしれないから。