こんにちは
松花堂昭乗研究所です。
3月11日(土)は、平成28年度の研究所最終行事として、研究報告会と講演会を開催しました。
午前10時30分から12時までは研究報告会。
3名による研究報告がありました。
報告①草庵「松花堂」の襖の書について
報告は、当館川畑薫より。
松花堂庭園内にある草庵「松花堂」。
その内装品である襖に貼られた書について、筆者とその内容についての報告。
普段、いつもそこにあるものとして目にしている草庵内の襖ですが、そこに書かれている内容について、改めて確認しました。
報告②乗祐と実乗ー瀧本坊と茶の湯ー
報告者は、研究生の奥山邦彦氏。
松花堂昭乗の師である瀧本坊実乗、そしてその実乗の師・乗祐。
彼らはともに当代にあって茶の湯に通じた僧侶でした。
書状などを通して窺われる彼らの活動を、丹念に追跡されました。
報告③松花堂昭乗の映画作り
報告者は、研究生の田中千世子氏。
文化ドキュメンタリー映画『男山の松花堂昭乗』の制作に取り組んでいらっしゃいます。
そのプロローグ約10分の映像をスクリーンに写してご紹介いただきました。
昼休憩をはさんで、午後1時30分より、講演会を開催しました。
茶道史研究家の深谷信子先生より、以下のテーマでご講演頂きました。
小堀遠州と松花堂昭乗の瀧本坊茶室
ー寛永十年六月二十九日の茶会を中心にー
寛永10年6月29日の朝、瀧本坊の茶室「閑雲軒」を中心に行われた茶会には、板倉周防守重宗、永井信濃守尚政、永井日向守直清、そして小堀遠州が招かれました。
寛永10年とえば、前年に徳川秀忠が亡くなり、寛永3代将軍・家光の治世のもと、政治体制強化へと向かう時期にあたります。
男山の瀧本坊茶室で開かれた茶会に集った大名らは、雲に浮かぶような茶室「閑雲軒」で、どんな話に興じたのでしょう。
瀧本坊の茶室は、知られざる歴史の裏舞台であったのかもしれません。
亭主である昭乗は、普段と変わらぬ、お気に入りの茶道具で、彼らをもてなしたようです。
戦のない穏やかな世を願う昭乗の心が、そのもてなしに込められていたと、思わずにはいられません。
松花堂昭乗尽くしの本日の行事は、お陰様をもちまして無事終了しました。
ご参加いただきました皆さま、そして深谷信子先生、誠にありがとうございました。
4月より、新年度が始まります。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。