こんにちは
松花堂昭乗研究所です
平成27年9月12日(土)の午後、定例講座を開催しました。
先月の定例講座では、暑い暑いとうなっていましたが、秋めく季節へと移ろいました。
とはいえ、先日の台風にともなう大雨では大きな被害がもたらされ、一刻も早く復旧されることを願います。
美術館では、9月18日(金)から開催の「館蔵品展Ⅱ」の準備も大詰めです。
秋の展覧会シーズンということで、「館蔵品展Ⅲ」に続いては、11月7日(土)より、
特別展「ようこそ、神と仏の男山へ―石清水八幡宮太子堂の遺宝―」を開催します。
さて、今月の定例講座もいつものように前半は「松花堂昭乗の書状をよむ」ということで、
「式部卿」の署名のある「九日」(年月不詳)の日付の入った書状をよみました。
信尋公が男山にご登山されるそうなのですが、その日程調整にいろいろ忙しい昭乗さんの様子がうかがわれる内容のものでした。
いろいろお伝えすることがあり、箇条書きされています。
・ちょうど「公方様」(徳川家光か)方よりご依頼を受けた祈祷と重なったりで、お相手できないかもしれないこと。
・ご到着の日には何時頃に到着されますか? お食事を用意いたします。
・ご相伴なさるのはどなた方でしょうか? こちらからはどなたへもお声をかけてません。
・お宿は麓の「慶春庵」と伺ってます。
ちょうど「作事」中(建物の修繕中か)と主から聞いております。
ちょっと狭いですが、信尋公だけでも、数日は私方(瀧本坊か)にお泊りなさってはいかがですか?
いつもながらに、こまやかです。
「慶春庵」というのはその頃、柴座の反橋のたもと近くにあったようです。
江戸時代の絵図からも「慶春庵」のあった場所が確認されます。
移転を経て、残念ながら現在はもうありません。
在りし日の男山の麓の様子が想像されますね。
さて、後半は信海さんの狂歌巻をよむ時間ですが、今回は江戸時代前期に刊行された狂歌撰集『古今夷曲集』の序文をよみました。
狂歌の起源を『古今和歌集』の序になぞらえながら説きます。
狂歌は人の心を丸くするもの、というのがテーマで、心を丸くするというのは、声を出して笑うことであったりします。
そして、心に余裕のない人は笑いたいと思っても、笑うすべがないと。
確かに、仕事に追われて煮詰まっていると、笑うことを忘れてしまうような・・・。
「あははは」と声を出して笑うことは、心を丸くするということなんですね。
この序を著したのは、編者でもある「生白堂行風」という大坂のひとです。
「笑い」について論じた一文ということもできますね。
「行風」さんが京都のひとでなく、大坂のひとというのも、おもしろいですね。
そんなことで、今回は「笑い」について、少しまじめに考えたのでした。
狂歌って奥が深い。
では、来月もどうぞよろしくお願いいたします