「鬼の棲みか」で黄金カード。。第83期B級1組順位戦/1回戦「羽生九段-佐藤九段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

「鬼の棲みか」で黄金カード。。第83期B級1組順位戦/1回戦「羽生九段-佐藤九段を振り返ろう」

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第83期B級1組順位戦対戦表

 

 

フルセットの熱戦の末、全冠を保持する神童の牙城を崩し

伊藤匠新叡王が誕生する歴史的一日となった昨日の将棋界では

「鬼の棲みか」第82期B級1組順位戦/1回戦を舞台に、黄金カード

「羽生善治九段-佐藤康光九段」が実現しました。。

 

 

 

7手目▲6八銀。

 

上図での持ち駒

 

▲佐藤九段: なし

△羽生九段: なし

 

羽生九段の今期ここまでの成績は4戦3勝1敗。

王位戦の挑戦権獲得こそなりませんでしたがリーグ残留を決め

王座戦は準決勝へ駒を進めるなど好調をキープします。。

 

対します、佐藤九段の今期ここまでの成績は4戦1勝3敗。

羽生九段とは対照的に公式戦3連敗中と調子は下降線を辿る中

永遠のライバル相手に大事な順位戦の開幕戦を迎えました。。

 

気になる両者の対戦成績は

ここまで169戦して、羽生九段が114勝55敗とリード。

4月の対戦も含め、現在も7連勝中と指し込みます。。

 

本局の先手は佐藤九段。

互いに角道を開く出だしから、後手が飛車先を決めた

上図の局面で、佐藤九段は敢えて角頭を受けない

いかにも佐藤流の趣向を早くも披露しました。。

 

ここで手番の羽生九段は、ケレン味なく

ノータイムで8筋の歩を突き出し、歩交換が成立。。

両者の棋風が序盤から盤上で交錯します。。

 

 

 

47手目▲3八玉。

 

上図での持ち駒

 

▲佐藤九段: 歩2

△羽生九段: なし

 

中盤の駒組みも佐藤流は全開に。。

重心低く玉を囲う羽生九段に対して、佐藤九段は

戦場に構えた角を起点に自軍の駒を盛り上げると

格言的には否定的な飛車の横へ玉を連結します。。

 

 

 

56手目△4五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲佐藤九段: 歩2

△羽生九段: なし

 

先手が仕掛けた力戦模様の進行にも

相手知ったる百戦錬磨の羽生九段は動じることなく

佐藤九段が5筋の歩を銀の頭上に突き出した、次の瞬間

すぐに4筋の歩を同じく銀の頭上へ突き出し、切り返し。。

 

直後に双方、銀を取り合い

熱き闘志と誇りを胸に、いざ開戦となりました。。

 

 

 

80手目△5六角。

 

上図での持ち駒

 

▲佐藤九段: 金、桂、歩5

△羽生九段: 銀、歩2

 

いざ開戦後も盤上の流れは変わらず

佐藤九段が先手を取って積極果敢に攻め込みますが

目の冴える羽生九段は手際よく、先手の攻めを凌ぐと

機を見て厳しく反撃に転じ、形勢の針を引き寄せます。。

 

【 投了図・104手目△4八銀 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲佐藤九段: 角、歩

△羽生九段: 金、桂、歩5

 

佐藤九段は最後まで攻め合いの勝負を挑みますが

終盤戦の主導権を完全に握った羽生九段がきっちりと

先手玉を仕留め上げ、佐藤九段は上図の局面をみて

ついに力尽き果て、無念の投了を告げました。。

 

終局時刻は午後9時26分。

170局目のライバル対決を後手番で見事制した

羽生九段が幸先良く、今期順位戦白星発進を決めました。。