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フルセットの熱戦の末、全冠を保持する神童の牙城を崩し
伊藤匠新叡王が誕生する歴史的一日となった昨日の将棋界では
「鬼の棲みか」第82期B級1組順位戦/1回戦を舞台に、黄金カード
「羽生善治九段-佐藤康光九段」が実現しました。。
7手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△羽生九段: なし
羽生九段の今期ここまでの成績は4戦3勝1敗。
王位戦の挑戦権獲得こそなりませんでしたがリーグ残留を決め
王座戦は準決勝へ駒を進めるなど好調をキープします。。
対します、佐藤九段の今期ここまでの成績は4戦1勝3敗。
羽生九段とは対照的に公式戦3連敗中と調子は下降線を辿る中
永遠のライバル相手に大事な順位戦の開幕戦を迎えました。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで169戦して、羽生九段が114勝55敗とリード。
4月の対戦も含め、現在も7連勝中と指し込みます。。
本局の先手は佐藤九段。
互いに角道を開く出だしから、後手が飛車先を決めた
上図の局面で、佐藤九段は敢えて角頭を受けない
いかにも佐藤流の趣向を早くも披露しました。。
ここで手番の羽生九段は、ケレン味なく
ノータイムで8筋の歩を突き出し、歩交換が成立。。
両者の棋風が序盤から盤上で交錯します。。
47手目▲3八玉。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩2
△羽生九段: なし
中盤の駒組みも佐藤流は全開に。。
重心低く玉を囲う羽生九段に対して、佐藤九段は
戦場に構えた角を起点に自軍の駒を盛り上げると
格言的には否定的な飛車の横へ玉を連結します。。
56手目△4五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩2
△羽生九段: なし
先手が仕掛けた力戦模様の進行にも
相手知ったる百戦錬磨の羽生九段は動じることなく
佐藤九段が5筋の歩を銀の頭上に突き出した、次の瞬間
すぐに4筋の歩を同じく銀の頭上へ突き出し、切り返し。。
直後に双方、銀を取り合い
熱き闘志と誇りを胸に、いざ開戦となりました。。
80手目△5六角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 金、桂、歩5
△羽生九段: 銀、歩2
いざ開戦後も盤上の流れは変わらず
佐藤九段が先手を取って積極果敢に攻め込みますが
目の冴える羽生九段は手際よく、先手の攻めを凌ぐと
機を見て厳しく反撃に転じ、形勢の針を引き寄せます。。
【 投了図・104手目△4八銀 】
投了図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△羽生九段: 金、桂、歩5
佐藤九段は最後まで攻め合いの勝負を挑みますが
終盤戦の主導権を完全に握った羽生九段がきっちりと
先手玉を仕留め上げ、佐藤九段は上図の局面をみて
ついに力尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後9時26分。
170局目のライバル対決を後手番で見事制した
羽生九段が幸先良く、今期順位戦白星発進を決めました。。