攻守に貫録。。第73回NHK杯/1回戦「羽生九段-渡辺六段を振り返ろう」
今回は昨日放送されました
日曜午前のお楽しみNHK杯将棋トーナメントの1回戦
注目の「羽生善治九段-渡辺和史六段」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。
本局の先手は羽生九段
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、渡辺六段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
10手目△6二銀。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△渡辺六段: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
先手は「角換わり」を目指す定跡手順を踏襲しますが
後手は追随せず、角道を止めたまま駒組みを進めます。。
18手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△渡辺六段: なし
渡辺六段の作戦は現代調の「雁木」。。
自陣三段目に構えた右の銀に続いて(14手目△6三銀)
左の銀も立てるべく、まずは4筋の歩を突きました。。
この手に対し、羽生九段は
5筋の歩を突いてから(19手目▲5六歩)
次の△3四歩(20手目)をみて。。
21手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△渡辺六段: なし
羽生九段は2筋の歩を突き合わせ
飛車先から機敏に仕掛けを開始しました。。
37手目▲6九玉。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△渡辺六段: なし
しかし、すぐの開戦とはならず。。
2筋での歩交換成立後、 突進して来た先手の飛車先へ
後手が歩を打ち穏便に収めると、局面は落ち着きを取り戻し
両者は息を合わせて自陣の駒組みを進めて行きます。。
47手目▲8八玉。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△渡辺六段: なし
「右玉」に構えた後手に対して
羽生九段は上図の局面で、手堅く玉の「入城」を完了。
駒組みの完成が近づく中、渡辺六段が次に4筋の歩を突き
角道を通したのをみて(48手目△4五歩)。。
49手目▲4六歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△渡辺六段: なし
羽生九段はすかさず4筋の歩を突き返し
角の利き先から仕掛けを開始しました。。
渡辺六段はすぐに△同歩と応じて、以下
▲同角に△3五歩~▲4七銀~△3四銀~▲3五歩~
△同銀~▲3四歩をみて△4六銀~▲同銀~△8六歩~
▲同歩~△6五歩~下図63手目▲3三歩引と進行。。
63手目▲3三歩成。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 銀、桂、歩3
△渡辺六段: 角、歩2
渡辺六段もすぐに反撃に転じますが
羽生九段は動じることなく、後手の攻め手を受けながら
狙いすまして3筋の歩を突き出し、終盤戦の幕を開きます。。
すると。。
83手目▲6四桂。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 銀2、歩6
△渡辺六段: 金、歩
終盤戦は羽生九段の独壇場。。
盤上隅々まで目が行き届き、攻守に付け入る隙を与えず
完全に見切ってから、満を持しての寄せに入ります。。
【 投了図・99手目▲6四歩 】
投了図での持ち駒
▲羽生九段: 角、金、歩6
△渡辺六段: 金、銀、桂2
渡辺六段は最後まで食らいつきますが
羽生九段の寄せは厳しく、上図の局面をみて
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
売り出し中の精鋭相手に貫録の勝利を飾った
羽生九段が存在感を示し、2回戦へ駒を進めました。