藤井叡王、見事3連覇達成。。第8期叡王戦5番勝負/第4局を振り返ろう
3連覇を目指す藤井聡太叡王に
振り飛車党の若き旗頭・菅井竜也八段が挑戦する
第8期叡王戦5番勝負。
ここまで3局を消化し、藤井叡王が2勝1敗とリード。
防衛に王手を掛けて迎えた注目の大一番/第4局が
昨日、岩手県は宮古市「浄土ヶ浜パークホテル」にて
運命の幕を開きました。。
第4局の先手は菅井八段
カド番でもう後のない本局の初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、藤井叡王は2手目△8四歩と飛車先の歩を突き
早々と居飛車を明示し、対局はスタートとなりますが。。
まずは序盤の組み手争いで、次は最終盤の攻防戦で
それぞれ「千日手」が成立、大一番は指し直し連発となる
まさかにして異例の展開となりました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
双方、持ち時間を1時間ずつ追加して迎えた
本日3度目の対局開始は、手番も一周回って
菅井八段の先手で、午後7時15分より。。
菅井八段の初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、藤井叡王は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示した後手に対し
菅井八段は1筋の端歩を突くと(3手目▲1六歩)
藤井叡王が△9四歩と受けて返したのをみて。。
5手目▲7八飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
ノータイムで飛車に手をかけ、7筋へと振り
「三間飛車」を投入、戦型は今シリーズ全て「対抗形」となり
両者のポリシーを真正面からぶつけ合います。。
13手目▲4八玉。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
先手の振り飛車をみて
藤井叡王がすぐさま飛車先を決めてから(6手目▲8五歩)
角道を開いたのに対し、菅井八段がさかさず自らの角道を止めると
局面を落ち着き、両者は居玉を解除し玉の囲いを目指します。。
27手目▲1八香。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
菅井八段は銀を4筋の戦場に構えてから
1筋の香車を一段繰り上げ、「穴熊」を明示しました。。
一方の藤井叡王は、この手をみて。。
28手目△1二香。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
同じく1筋の香車を一段繰り上げ
先手に追随する形で「穴熊」を明示します。。
43手目▲3八金寄。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
負けられない一戦に、両者は思う存分駒を組み合い
双方、それぞれ二枚の金・銀を「穴熊」に連結させる
重厚な囲いを完成させました。。
駒組みの飽和点もいよいよ近づき
開戦への機運が高まる中、藤井叡王は上図から次に
1分の少考の後、飛車を7筋に合わせると(44手目△7二飛)
菅井八段は5筋に飛車を合わせます(45手目▲5八飛)。。
すると、次の瞬間
46手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
藤井叡王は7筋の歩を突き合わせ
淀みなく、飛車先から仕掛けを開始しました。。
菅井八段はすぐに▲同歩と応じて、以下
△同飛に▲5五歩△同飛~▲同飛~△同歩をみて
▲7一飛~△5六歩~▲5二歩~△5七歩成~▲5一歩成~
△7九飛~▲4一「と」金~下図60手目△8九飛成と進行。。
60手目△8九飛成。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 飛、歩
△藤井叡王: 飛、歩2
7筋での歩交換に続けて
天王山・5筋の位で飛車交換が成立。。
互いに手にした飛車をすぐさま敵陣に投入し
一気に終盤戦突入となりました。。
すると。。
68手目△1五同角。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 銀、桂
△藤井叡王: 歩3
藤井叡王は攻撃のアクセルを強く踏み込み
龍と「と」金を拠点に小駒で効率よく総攻撃への準備を整えると
先手が突き合わせた1筋の端歩を角で払って持ち歩を与えず。。
後手の鋭く厳しい差し回しを前にして
菅井八段は香車で角を取り込むと(69手目▲1五同香)
すぐに手にした角を6五の地点に投入し、非常手段ながらも
攻め合いに活路を求め、勝利への執念を燃やしますが。。
76手目△1七同香成。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 金、銀、桂、歩
△藤井叡王: 銀、香、歩3
形勢の針はすでに、後手へと大きく傾き。。
藤井叡王は力強く、1筋の端から勝負を決めに行きます。。
【 投了図・90手目△1五銀 】
投了図での持ち駒
▲菅井八段: 飛、金、銀、桂2、香、歩3
△藤井叡王: 金、香、歩2
藤井叡王の鮮やかな寄せの前には
菅井八段の闘志を持ってしても為す術なく、上図の局面で
ついに力突き、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後9時8分。
この瞬間、藤井叡王が今シリーズを3勝1敗で制し
見事、叡王戦3連覇を達成しました。。