会心の振り飛車。。第8期叡王戦5番勝負/第2局を振り返ろう
3連覇を目指す藤井聡太叡王に
振り飛車党の若き旗頭・菅井竜也八段が挑戦する
第8期叡王戦5番勝負。
開幕戦を藤井叡王が制して迎えた注目の第2局が
昨日、愛知県は名古屋市「名古屋東急ホテル」にて
運命の幕を開きました。
第2局の先手は菅井八段。
連敗スタートは絶対に避けたい本局の初手は
角道を開く▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
戦型に含みを持たせた菅井八段に対して
藤井叡王は2手目△8四歩と飛車先の歩を突き
早々と居飛車を明示し、対局はスタート。。
5手目▲7八飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
続く3手目に、菅井八段は1筋の端歩を突くと
藤井叡王が受けて返したのをみて(4手目△9四歩)
飛車に手をかけ7筋へと振り、「三間飛車」を投入。。
戦型は大方の予想通りに「対抗形」となりました。。
23手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
互いに飛車のポジションが決まったところで
両者は息を合わせて居玉を解除し、玉の囲いを目指しますが
玉を2筋まで寄せたところで、菅井八段は銀を戦場に繰り上げ
攻守の司令塔として「腰掛銀」に形を決めます。。
ここで手番の回った藤井叡王が、1分の少考で4筋の歩を突き
角道を止めつつ先手の銀の動きをけん制すると(24手目△4四歩)。。
25手目▲1八香。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
菅井八段はすぐに1筋の香車を一段繰り上げ
負けられない一戦に堅くて遠い「穴熊」を明示しました。。
28手目△1二香。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
一方の藤井叡王も
先手が玉を「穴熊」に納めたのをみて(27手目▲1九玉)
すぐに呼応、同じく1筋の香車を繰り上げ、「穴熊」を明示。。
第2局はじっくりと、持久戦模様の序盤となりました。。
33手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
互いに「穴熊」に玉を納め、銀のハッチを閉めると
菅井八段は伸びやかに、上図で飛車先の歩を突き越し
得意の捌きに入る構えを見せ、後手の動きを誘います。。
この手に対し、藤井叡王は36分の長考の後
銀を6筋の戦場に繰り出すと(34手目△6四銀)
先手が角を引き下げ、飛車先を通したのをみて。。
(35手目▲6八角)
36手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: なし
△藤井叡王: なし
5筋の歩を突き出し
先手の拠点である銀の頭上を叩きました。。
36手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 歩
△藤井叡王: なし
先手の銀を追い払い、5筋の位を確保した
藤井叡王は飛車を7筋に合わせてから角のラインを変え
迎撃態勢を整えた上図の局面で、午前の対局は終了
開戦前にまずは一息、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
菅井八段
南国酒家の五目あんかけやきそば、アイスコーヒー
点心2種、エビマヨ、デザート
藤井叡王
あんかけハンバーグステーキ(ライス、ミニサラダ付)
アイスレモンティー、愛知県産イチゴのブランマンジェ
52手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 歩
△藤井叡王: なし
午後の対局開始となると
双方、飛車を8筋に合わせてにらみ合いが続きます。。
桂馬を9筋の端に跳ねて歩を指させた菅井八段に対し
藤井叡王も7筋の銀を歩で支えますが。。
57手目▲8九飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 歩
△藤井叡王: なし
菅井八段は銀の頭上を叩いて追い払うと(53手目▲7六歩)
飛車で8筋の歩を取り込み、飛車・角に桂馬もうまく連動させ
あっさりと、争点である8筋の主導権を握りました。。
62手目△6四歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 歩2
△藤井叡王: なし
こうなると、のんびりとは構えていられない
藤井叡王は9筋の端歩を突き捨て、桂頭に圧力をかけてから
6筋の歩を突き合わせ、局面を動かしにかかりますが。。
65手目▲8四歩。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 歩2
△藤井叡王: 歩
しかし、菅井八段は動じることなく
まずは角を戦列に参加せてから(63手目▲7七角)
グイっと飛車先の歩を突き出し、いざ開戦を迫りました。。
藤井叡王は△8五歩(66手目)と応じて、以下
▲同飛に△8四銀~▲5五角~△7三桂~▲8九飛~
△9五香~▲8五桂~△6六歩~▲同銀~△9九香成をみて
▲同飛~△9七歩~▲8六歩~下図80手目△9二飛と進行。。
80手目△9二飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 香、歩4
△藤井叡王: 香、歩
大駒を捌きに出た先手に対し
藤井叡王は何とか抑え込み、ギリギリ均衡を保ちます。。
が、しかし。。
93手目△9二飛。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 桂、香、歩3
△藤井叡王: 歩2
先手は桂と角を、後手は飛車・角に歩を敵陣を成り込みますが
端に固めた後手の成駒を、歩一枚でブロックした(91手目▲6八歩)
菅井八段は9筋から4筋に合わせた飛車の先から鋭く追撃を開始。。
形勢の針をガッチリ引き寄せ、終盤戦の幕を開きました。。
107手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲菅井八段: 金、桂、歩4
△藤井叡王: 歩
するとそのまま、手が伸びる菅井八段は4筋を起点に猛攻。
藤井叡王に反撃の暇を与えず、一気の捌きで勝負に出ます。。
【 投了図・115手目▲6五角 】
投了図での持ち駒
▲菅井八段: 金、桂、歩5
△藤井叡王: 飛、角
菅井八段の圧倒的な指し回しの前に
さすがの藤井叡王も為す術なく、上図の局面をみて
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後5時56分。
会心の勝利で今シリーズ待望の初勝利を飾った
菅井八段が番勝負を1勝1敗の振り出しに戻しました。。