第16期マイナビ女子オープン/挑戦者決定戦「甲斐女流五段-加藤女流三段を振り返ろう」
西山朋佳女王への挑戦権を懸けた
第16期マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦
注目の「甲斐智美女流五段-加藤桃子女流三段」が
昨日、東京・将棋会館にて行われました。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: なし
△甲斐女流五段: なし
振り駒の結果、先手を得たのは加藤女流三段。
その初手はいきなり居飛車を明示する△2六歩から。。
対します、甲斐女流五段は2手目△3四歩と角道を開き
戦型に含みを持たせて対局をスタート。。
4手目△3二飛。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: なし
△甲斐女流五段: なし
続く3手目に、加藤女流三段が▲6八銀とし手番を渡したのをみて
甲斐女流五段は飛車に手をかけ3筋へと振り、「三間飛車」を投入。。
大一番の戦型は「対抗形」となりました。。
互いに飛車のポジションが決まると次は
息を合わせて居玉を解除し、玉の囲いを目指します。。
22手目△7二銀。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: なし
△甲斐女流五段: なし
甲斐女流五段は上図の局面で
振り飛車の相棒である「美濃囲い」を完成。。
手番の回った加藤女流三段もすぐに銀を立て
「左美濃」に構えると(23手目▲7八銀)。。
31手目▲9八香。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: なし
△甲斐女流五段: なし
「銀冠」にリフォームした後、上図で9筋の香車を繰り上げ
負けられない一戦はより堅くて遠い「穴熊」を明示しました。。
40手目△5二飛。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: なし
△甲斐女流五段: なし
慎重に間合いを計りながら囲いを進める先手に対し
格調高く「高美濃囲い」にリフォームした甲斐女流五段は
上図で飛車を中央5筋に合わせると、次の▲7八金右をみて。。
42手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: なし
△甲斐女流五段: なし
甲斐女流五段はほんの2分の少考で
争点とした5筋の歩を突き出し、ここで仕掛けを開始します。。
加藤女流三段はすぐに▲5八飛(43手目)と受けて立ち
以下、△5六歩~▲同銀~△7三桂~▲5五銀に△4五歩~
▲4四歩~△5五銀~▲同角~△5四飛~▲3三角成をみて
△5八飛成~▲1一馬~下図56手目△3九飛と進行。。
56手目△3九飛。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: 角、銀、香
△甲斐女流五段: 銀、歩2
5筋で大駒を捌き合い、いざ開戦となりますが
甲斐女流五段が先に手持ちの飛車を敵陣へ振り下ろし
飛龍の陣で形を決めた、上図の局面で午前の対局は終了。。
お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
加藤女流三段: チキンきのこあんかけ弁当
甲斐女流五段: なし
63手目▲9五香。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: 角、銀、歩
△甲斐女流五段: 桂、歩3
午後の対局開始の一手で
加藤女流三段は9筋の歩を突き合わせ反撃開始。。
馬を戦場に引き戻してから、強烈な二段ロケットを設置し
端からの敵陣突破を狙います。。
が、しかし。。
74手目△9二香打。
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: 角、金、銀2
△甲斐女流五段: 角、桂、歩3
甲斐女流五段は丁寧な指し回しで味わい深く
先手の拠点の馬を消してから、9筋の主導権も確保し
激しくも静かに形勢の針を引き寄せます。。
【 投了図・102手目△8六金 】
上図での持ち駒
▲加藤女流三段: 飛、角、銀、桂2、
△甲斐女流五段: 金、歩
苦しくなった加藤女流三段は必死の受けで抵抗しますが
甲斐女流五段は手厚く先手玉を仕留め上げ、上図の局面をみて
加藤女流三段は万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後2時48分。
この瞬間、女流将棋界が誇る奥ゆかしき実力者
甲斐女流五冠が女王への挑戦者に名乗りを上げました。。