第48期棋王戦5番勝負/第1局「藤井竜王、会心の白星発進」
11連覇を目指す渡辺明名人に
史上最年少での六冠獲得を狙う藤井聡太竜王が挑戦する
事実上の頂上決戦が実現した第48期棋王戦5番勝負。
将棋界の年度末の風物詩が
本日、長野県は長野市「長野ホテル犀北館」にて
大きな注目の中、運命の幕を開きました。。
【 開始直後 】
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先よく、先手を得たのは藤井竜王でした。。
まずは互いに飛車先を突く出だしから
いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
銀を8筋に開いて構え、後手からの角交換を注文した神童に対して
渡辺棋王は角交換を敢行、手損のない正調の角換わりとなりました。
(10手目の局面)
【 戦型は角換わり相腰掛銀 】
角交換成立後、両者は早いテンポで指し進み
両サイドの端歩を巡る攻防の後、渡辺棋王は現代の主流である
「△4二玉+6二金+8一飛」型に自陣の駒を組み上げてから
銀を5筋の戦場に繰り出し「腰掛銀」に形を決めます。。
(34手目の局面)
一方、後手と対称を為す
「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成させた藤井竜王は
9筋の端歩を突き越してから、同じく銀を5筋の戦場へと繰り出し
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」となりました。。
(37手目の局面)
【 渡辺棋王、仕掛ける 】
戦型が決まったところで
両者は息を合わせて玉の囲いを目指しますが
渡辺棋王は玉の「入城」を果たす前に、7筋の歩を突き合わせ
先手必勝とばかりに後手から仕掛けを開始します。。
(40手目の局面)
藤井竜王がすぐに同歩と応じると
渡辺棋王はそのまま攻撃のアクセルを強く踏み込み
桂交換を成立させてから、位を許した9筋から追撃を開始。。
得意の端を絡めて一気呵成に畳みかけます。。
(58手目の局面)
陣形を乱され、拠点の馬を作られた藤井竜王は
それでも、すべてが想定の範囲内とばかりに慌てることなく。。
後手の仕掛けが一段落したところで飛車先2筋から反撃に転じた
74手目の局面で午前の対局は終了、お昼休憩突入となりました。
【 お昼のメニュー 】
藤井竜王: 信州そば定食
渡辺棋王: 季節の会席弁当
【 藤井竜王、反撃鋭く 】
午後の対局開始となると
藤井竜王の指し手が伸び伸びと伸びて先手快調。。
後手が味をつけた9筋を悠々と抑え込み、握った手番で
2筋から切れ味鋭く踏み込み、形勢の針を引き寄せます。。
(89手目の局面)
【 終盤は竜王の独壇場 】
渡辺棋王は小駒で反撃しますが形勢には響かず。。
ならばと玉の上部脱出に全てを託しますが、竜王は逃さず
懐深い指し回しで後手玉を仕留め上げ、125手目の局面で
渡辺棋王は為す術なく、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後7時1分。
大事な開幕戦をきっちりと快勝で制した
藤井竜王が会心の白星発進を決めました。。