第81期A級順位戦/4回戦「豊島九段-糸谷八段を振り返ろう」
今回は、先週の金曜日(21日)に
関西将棋会館にて行われたA級順位戦/4回戦の好カード
注目の「豊島将之九段-糸谷哲郎八段」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段: なし
△糸谷八段: なし
本局の先手は豊島九段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、糸谷八段は2手目に角道を開く
△3四歩と返し、対局はスタート。。
6手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段: なし
△糸谷八段: なし
続く3手目に、豊島九段が角道を開いたのをみて
糸谷八段は飛車先を突き、まずは互い違いの出だしで
相居飛車が確定すると、次に両者は息を合わせて飛車先を決め
いざ、「横歩取り」を目指す序盤の出だしとなりました。。
14手目△8六同飛。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 歩2
△糸谷八段: 歩2
互いに角頭を金で受け、飛車先で歩を交換する
おなじみの定跡手順の進行から、迎えた上図の局面で
手番の回った豊島九段2筋の飛車に手をかけると。。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 歩3
△糸谷八段: 歩2
お隣り3筋の歩をかすめとり
戦型は「横歩取り」に決定しました。。
22手目△2二歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 歩3
△糸谷八段: 歩
3筋に回った先手の飛車先を
定跡通りに角で受けた後手に対して(16手目△3三角)
豊島九段は飛車を浮かせたまま攻撃的に駒組みを進める
「横歩取り」の変化の中でも特に激しい「青野流」を採用。。
この進行を想定していたのか
豊島九段が桂馬を跳ねたのをみて(21手目▲3七桂)
糸谷八段はノータイムで、2筋の自陣低くへ歩を投入する
「新手」をここで披露しました。。
28手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 歩2
△糸谷八段: 角、歩
その後、しばらくは
双方、呼吸を合わせて間合いを詰め合いますが
糸谷八段は上図でズバリと角交換を敢行すると。。
32手目△2八角。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 角、歩2
△糸谷八段: 歩
角交換成立直後
3筋で突っ張る先手の飛車の頭上に銀を立て
移動を勧告してから、糸谷八段は手にした角を
敵陣2筋へ投入し、形を決めました。。
34手目△8三歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 角、歩2
△糸谷八段: なし
先に形を決めた相手に対し
手番の回った豊島九段が飛車を8筋に回すと(33手目▲8五歩)
糸谷八段はすかさず歩を合わせて解しに出た、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のオーダー 】
豊島九段: 親子丼と温かいそばのセット
糸谷八段: サービスランチ(珍豚美人)
40手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 角、歩2
△糸谷八段: なし
午後の対局はもちろん、8筋の攻防から。。
豊島九段が突き合わされた歩を取り込んだのをみて
糸谷八段は銀をスルスルと繰り出し、飛車を追い払うと
すかさず歩を打ち、抑え込みを図ります。。
51手目▲3九金。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 歩
△糸谷八段: 歩
しかし、豊島九段は慌てず騒がず。。
まずは手順を尽くして後手の馬を1筋の端に閉じ込め
後手の動きを見ながら、仕掛けどころを探ります。。
もはや馬の活用は見込めず
どの駒と交換するかが問われる糸谷八段は。。
58手目△8六香。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 角、歩
△糸谷八段: 歩
ギリギリまで駒を引き付けてから香車を捕獲すると
気合も十分、返す刀で争点の8筋へ香車を打ち込み
問答模様でいざ開戦を迫りました。。
63手目▲2七角。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 角、香
△糸谷八段: 飛、歩
糸谷八段のいきなりの踏み込みに対し
豊島九段は飛車は逃げずに、ジッと▲8八歩(59手目)と返し
飛車を切って8筋を収めると、次に標的となりそうな角を8筋に構えた
上図の局面で、夜戦に備えて夕食休憩突入となりました。。
【 夕食のオーダー 】
豊島九段: 肉なん定食(うどん)
糸谷八段: 親子丼と冷たいそばのセット
73手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 香
△糸谷八段: 飛、歩
このまま局面を収めたくない糸谷八段は
飛車を2筋に投入し、先手の動きをけん制しますが
豊島九段は玉を左右を銀で固めてから、手持ちの角を
糸谷飛車に当てて投入、狙いすまして切り返します。。
糸谷八段は△4四飛とかわして、以下
▲6六香~△1五歩~▲6四香~△1六歩~▲3五歩~
△6四歩~▲5五角~△2四飛に▲2五銀~△4四飛をみて
▲同角~△同歩~87手目▲1六銀と進行。。
87手目▲1六銀。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 飛、歩
△糸谷八段: 飛、角、香、歩2
豊島九段は鮮やかな指し回しで盤上を支配。。
後手の飛車を捕獲してから貴重な一歩を補充し
憂いを消して形勢の針を引き寄せます。。
111手目▲7五桂。
上図での持ち駒
▲豊島九段: なし
△糸谷八段: 角、銀、香、歩4
意欲的な踏み込みが不発に終わり
勢いを失った糸谷八段とは対照的に手が伸びる
豊島九段が終盤戦を圧倒。。端から上から畳みかけ
厳しく確実に後手玉の包囲網を築きます。。
【 投了図・153手目▲3一「と」金 】
投了図での持ち駒
▲豊島九段: 飛、銀
△糸谷八段: 飛、角、銀、歩5
糸谷八段は捨て身の反撃に転じますが
先手に大きく傾いた形勢は揺るがず、上図の局面をみて
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後11時6分。
盟友にして永遠のライバルから盤石の勝利を飾った
豊島九段が気分よく、順位戦成績を3勝1敗としました。。
一方、敗れた糸谷八段は1勝3敗となりました。。