第48期棋王戦・本戦/3回戦「藤井竜王-久保九段を振り返ろう」
今回は、昨日行われました
第48期棋王戦挑戦者決定トーナメント/3回戦
注目の「藤井聡太竜王—久保利明九段」の一戦を
振り返らせていただきます。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: なし
△久保九段: なし
本局の先手は藤井竜王。。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
いきなり居飛車を明示した神童に対し、久保九段は2手目に
角道を開く△3四歩と返し、含みを持たせて対局はスタート。。
8手目△4二飛。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: なし
△久保九段: なし
続く3手目に、藤井竜王も角道を開いたのをみて
久保九段はすかさず自らの角道を止めると(4手目△4四歩)
9筋の端歩を突き合った後、飛車に手をかけ4筋へと振り
「四間飛車」を投入、戦型は「対抗形」となりました。。
25手目▲9八香。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: なし
△久保九段: なし
互いに飛車のポジションが決まったところで
両者は息を合わせて居玉を解除し、玉の囲いを目指します。。
先に振り飛車の相棒「美濃囲い」を築いた久保九段に対して
藤井竜王は上図で振り飛車の天敵「穴熊」を明示しました。。
32手目△4六歩。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: なし
△久保九段: なし
神童にあっさりと「穴熊」を組まれてはかなわないと
久保九段は先手玉が「穴熊」に潜った(31手目▲9九玉)
次の瞬間、飛車先4筋から仕掛けを開始します。。
36手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: 歩2
△久保九段: なし
4筋に続いて9筋の端歩を突き捨てた
久保九段は次に、争点である6筋の歩を突き出し
角道をこじ開けに出ました。。
この手に対し、藤井竜王は素直に▲同歩と応じると
久保九段が桂馬を跳ねたのをみて(38手目△6五同桂)。。
39手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: 歩2
△久保九段: 角
爽やかに角交換を敢行。。
後手の誘いに乗って局面を動かすと。。
45手目▲6六角。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: 歩4
△久保九段: 角
角交換成立後
久保九段が9筋の香車を釣り上げてから
自陣に手を戻したのをみて(44手目△7三銀)
藤井竜王は手持ちの角を絶好の位置へ投入。。
桂先を受けながら2筋の桂馬を捕らえ、さらに
9筋の攻防も見据えた痛快な一手で切りき返します。。
久保九段は△8四銀(46手目)と前に出て、以下
▲3三角成~△3五銀~▲4二馬~△同金~▲8八桂~
△7五歩~▲同歩~△9六銀~▲同桂~△8五角をみて
▲7八金に下図58手目△9六と進行。。
58手目△9六角。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: 飛、銀、歩5
△久保九段: 角、桂、歩
久保九段は強く攻め合いを指向。。
飛び込んで来た先手の角との交換で飛車と桂馬を渡す代わりに
拠点に据えた9筋から踏み込み、先手陣攻略を狙います。。
が、しかし。。
61手目▲8一飛。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: 銀、歩5
△久保九段: 角、桂、香
藤井竜王は動じることなく
上図で手持ちの飛車を敵陣へ放り込み、悠然と
形を決めて後手からの攻めを呼び込みました。。
72手目△7八桂成。
上図での持ち駒
▲藤井竜王: 角、銀、歩4
△久保九段: 金、香、歩
振り飛車党の期待を一身に背負い
久保九段は気合も十分に寄せへと入りますが。。
【 投了図・83手目▲5五桂 】
投了図での持ち駒
▲藤井竜王: 金、銀、歩3
△久保九段: 香、歩3
すでに読み切りの藤井竜王は涼し気に
ギリギリまで相手の攻め駒を引きつけてから反撃に転じ
そのまま一直線に後手玉を仕留め上げ、上図の局面をみて
久保九段は為す術なく、無念の投了を告げました。。
常に盤上をコントロールしながら見事な完勝を飾った
藤井竜王が「対抗形」でも強さをみせつけ、威風堂々
準々決勝進出を決めました。。
本日発売!
将棋世界/10月号は通算1000号記念号!!