第72回NHK杯将棋トーナメント/2回戦「羽生九段-横山七段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第72回NHK杯将棋トーナメント/2回戦「羽生九段-横山七段を振り返ろう」

第72回NHK杯将棋トーナメント

決勝トーナメント表

 

 

今回は昨日放送されました

日曜午前のお楽しみNHK杯将棋トーナメントの2回戦

注目の「羽生善治九段-横山泰明七段」の一戦の模様を

ご紹介させていただきます。。

 

 

 

本局の先手は横山七段。

その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。

対します、羽生九段も2手目に同じく飛車先を突く

△8四歩と返し、対局はスタート。。

 

 

 

4手目△8五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: なし

 

次に両者は息を合わせて飛車先を決め

戦型は「相掛かり」となりました。。

 

 

 

10手目△8六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: なし

 

互いに角頭を金で受け、飛車の横腹に銀を立てる

おなじみの同形模様の出だしから、横山七段が次に

玉を立て、「中住まい」に構えたのをみて(9手目▲5八玉)

羽生九段はここで手を変え、飛車先から突っかけます。。

 

 

 

17手目▲6六角。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: なし

 

以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立すると

横山七段は突進してきた後手の飛車先へすぐに歩を投入。。

8筋の傷を消してから、8四の地点に構えた羽生飛車を標的に

角を戦場へ迫り出し、積極的に模様を動かします。。

 

 

 

41手目▲8八玉。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: 歩

 

羽生九段は飛車を3筋に

横山七段は角を7筋高くにそれぞれ構えて拠点とすると

局面は落ち着き、両者は呼吸を合わせて自陣の駒組みを進め

横山七段は上図で「矢倉」の中へ玉の「入城を完了しました。。

 

 

 

48手目△2五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: 歩2

 

機をみて角を自陣に引き戻し

バランスよく駒組みを進める先手に対して

羽生九段は上図で桂馬を2筋の戦場へと跳躍。。

軽い仕掛けで先手の動きをけん制しますが。。

 

 

 

55手目▲2八飛。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: 歩2

 

横山七段は慌てず騒がず。。

角・銀を連携させてから格調高く、「矢倉囲い」を完成させると

飛車を元居た2筋に戻し、あっさり桂馬を捕獲しました。。

 

ここで手番の羽生九段が

桂馬をヒモをつけたのをみて(56手目△2四歩)。。

 

 

 

57手目▲4四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: なし

△羽生九段: 歩2

 

横山七段は狙いの一着。。

ここで争点の4筋の歩を突き出し、仕掛けを開始しました。。

 

 

 

69手目▲3五角。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: 歩2

△羽生九段: 歩4

 

ここで捌き合っては勝負にならないと

受けに回った羽生九段に対し、横山七段は伸び伸びと

飛車・角・銀が立て続けに前へ飛び出し制空権を支配。。

迫力ある模様で羽生九段にいざ、開戦をけしかけます。。

 

 

 

82手目△4五金。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: 歩5

△羽生九段: 歩

 

ここは我慢の羽生九段は丁寧に

先手の攻め駒を追い払いながら局面打開を目指しますが。。

 

 

 

93手目▲7九飛。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: 歩5

△羽生九段: 歩

 

すると、横山七段は後手の手に乗りながら

流れの中で敵陣5筋へ起点となる銀を成り込むと

飛車を囲いに格納し、安全化を図りました。。

 

とりあえず飛車を抑え込んだ、上図から次に

羽生九段がもう一つの大駒・角を抑えに出たのをみて。。

(94手目△3五金)

 

 

 

95手目▲3五同角。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: 金、歩5

△羽生九段: 歩

 

横山七段は角で金を捕獲。。

見切り良く、反転攻勢に転じました。。

 

羽生九段は△同歩と応じて、以下

▲6三成銀~△同銀~▲3二銀~△1三飛~▲3一銀不成~

△7二金~▲5四歩~△同銀~▲2六歩~△4六角をみて

▲2五歩~△5八「と」金に下図109手目▲6一角と進行。。

 

 

 

109手目▲6一角。

 

上図での持ち駒

 

▲横山七段: 金、桂、歩3

△羽生九段: 銀、歩2

 

流れるような横山七段の指し回しを前にして

羽生九段は受けていては持たないと、攻め合いを求めますが

横山七段は構うことなく、敵陣の急所へ厳しく角を打ち込み

一気呵成に勝負を決めに出ました。。

 

「羽生九段-横山七段」の棋譜はこちら

 

【 投了図・143手目▲7四金 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲横山七段: 銀、歩

△羽生九段: 金、桂、歩3

 

苦しくなった羽生九段は渾身の受けで対抗。。

懸命に耐えて来たるべきチャンスを待ちますが、しかし

冴え渡る横山七段の寄せは途切れることなく、上図の局面をみて

さすがの羽生九段もついに力尽き、無念の投了を告げました。。

 

全国放送の晴れ舞台で

その実力と魅力を存分にみせつけた横山七段が

会心の勝利で気持ちよく、3回戦進出を決めました。。