第63期お~いお茶杯王位戦7番勝負/第3局「つけ入る隙を与えず、藤井王位が完勝で2勝目」
3連覇を目指す藤井聡太王位に
前期の雪辱を期す豊島将之九段が挑戦する
第63期お~いお茶杯王位戦7番勝負。
ここまで2局を消化し、ともに先手が勝利し1勝1敗。
あらためて仕切り直しとなった注目の第3局が、昨日より
兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」にて、運命の角を開きました。。
第3局の先手は豊島九段。
互いに飛車先を突く出だしから、いざ「角換わり」を目指す
定跡手順の進行となり、後手の藤井王位から角交換を敢行。。
まずは手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
角交換成立後も、両者はテンポ良く指し進み
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定。。
(32手目△5四銀)
戦型が決まり、開戦への機運が高まる中
互いに玉の「入城」に目処をつけ、しばし間合いを計った後
豊島九段が玉に金を連結し、自陣を引き締めつつ手番を渡した
次の瞬間、藤井王位が6筋から突っかけます(40手目△6五歩)。。
44手目△7七桂成。
上図での持ち駒
▲豊島九段: 角
△藤井王位: 角、銀、歩
6筋での歩交換成立直後
豊島九段は争点の6筋へ一発、歩の叩きを入れますが
藤井王位は動じることなく、軽やかに桂馬を連続跳躍させて
銀との交換で先手陣を強襲し、開戦へと舵を切ります。。
銀、桂交換成立後
藤井王位は手持ちの角、銀を先手陣へ立て続けに投入。。
自信も有り気に一息で形を決めた、50手目の局面で長考に入った
豊島九段がそのまま次の手を封じて、一日目は終了となりました。。
一夜が明けて迎えた
本日、決着の二日目は開始直後から激しい攻め合いに。。
金を捕獲しつつ敵陣に成り込んだ桂馬を起点に畳みかけた
豊島九段は続けて角も成り込み、攻勢を強めます。。
しかし、攻められたというよりも攻めさせたというべきか。。
藤井王位は大駒の利きが重なる8筋と拠点の6筋を中心に
機をみて厳しく反撃に転じ、次第に形勢は後手へ傾きます。。
どんどん厚みと迫力を増す後手の攻撃に対して
敵将の頭上にアヤをつけた豊島九段は、2筋に飛車を合わせ
一足お先の寄せを狙いますが(73手目▲2八飛)。。
【 投了図・84手目△7七金 】
投了図での持ち駒
▲豊島九段: 飛、金、銀、桂、歩4
△藤井王位: 銀、歩
2筋に張られた歩を、あっさりと
藤井王位が銀で払うと、先手の攻めは続かず。。
大駒を捌いてから悠々と寄せに入った藤井王位の前に
豊島九段は為す術なく、上図で無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後5時39分。
すでに持ち時間を使い切り、1分将棋に突入した先手を横目に
持ち時間を1時間と2分残して、見事な完勝を飾った藤井王位が
この瞬間、番勝負を2勝1敗とリードしました。。