伝説のシステム、キラキラと。。第63期王位戦・予選/2回戦「藤井九段-郷田九段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

伝説のシステム、キラキラと。。第63期王位戦・予選/2回戦「藤井九段-郷田九段を振り返ろう」

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第63期予選トーナメント表

 

 

今回は水曜日(28日)に行われました

第63期王位戦の予選/2回戦で実現した「羽生世代」対決

注目の「藤井猛九段-郷田真隆九段」の模様を振り返ります。。

 

 

 

3手目▲1六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: なし

△郷田九段: なし

 

本局の先手は四間のカリスマ・藤井九段。

その初手で角道を開くと、生粋の居飛車党・郷田九段も

2手目に同じく、角道を開く△3四歩と返したのをみて

藤井九段は1筋の端歩を突き、間合いを計ります。。

 

この手に対し、郷田九段が

飛車先を突き、居飛車を明示すると(4手目△8四歩)

藤井九段はすかさず自らの角道を止めて(5手目▲6六歩)

振り飛車投入を示唆しました。。

 

 

 

7手目▲6八飛。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: なし

△郷田九段: なし

 

互いのポリシーが色濃く反映された出だしから

次に、郷田九段の最も自然な△6二銀(6手目)をみて

藤井九段は飛車に手をかけ6筋へと振り、代名詞である

「四間飛車」を投入しました。。

 

 

 

23手目▲3六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: なし

△郷田九段: なし

 

戦型が期待通りの「対抗形」に決定すると

王道の駒組みで玉の囲いを目指す郷田九段に対し

藤井九段は居玉のまま自陣の駒組みを進行させる

現代将棋の金字塔、「藤井システム」を発動します。。

 

 

 

31手目▲2五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: なし

△郷田九段: なし

 

相手の伝説と真っ向勝負と言わんばかりに

堂々と玉の入城を果たした郷田九段九段が

7筋の歩を突いたところで(30手目△7四歩)

藤井九段は桂馬を跳ね上げ仕掛けを開始。。

 

この手に対し

郷田九段が当たりの角を5一の地点へ引き下げると。。

 

 

 

33手目▲4五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: なし

△郷田九段: なし

 

藤井九段はすかさず4筋の歩を突き合わせ

後手玉に直撃する角道をこじ開けに出ました。。

同歩とは応じられない郷田九段は桂馬を跳ね上げ

局面打破へ捌きに出ますが(34手目△3三桂)。。

 

 

 

35手目▲3三同桂成。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: 桂

△郷田九段: なし

 

藤井九段はしなやかに、迷いなく

桂馬を後手陣へと飛び込ませ、いざ開戦を告げました。。

 

郷田九段は△同金寄(36手目)と応じて、以下

▲2五桂に△5五桂~▲3三桂成~△同金~▲5六銀~

△7五歩~▲5五銀~△7六歩~▲6六角~△5五歩をみて

▲4八玉~△7三角に下図49手目▲2五桂と進行。。

 

 

 

49手目▲2五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: 金

△郷田九段: 銀、桂、歩

 

いざ開戦後も、藤井九段はテンポ良く

拠点の2五の地点へ桂馬を回転させながら投入し

ガジガジと食いつき、後手の駒を削って行きます。。

 

 

 

57手目▲1三金。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: 歩2

△郷田九段: 桂、香、歩2

 

藤井九段の華麗な連弾を前にして

さすがの郷田九段もたまらず受けに回りますが

藤井九段はさらに勢いを加速させ、まずは1筋を制圧。。

後手玉をがんじがらめに締め上げると。。

 

 

 

61手目▲8四香。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: 歩2

△郷田九段: 桂、香、歩2

 

反対サイドで角の利きを活かして郷田飛車を威嚇。。

将棋界史上最高のファンタジスタ・藤井九段の手がしなります。。

 

 

 

76手目△8四金。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: 桂、香、歩

△郷田九段: 歩2

 

一方、見るからに苦しい展開を強いられる

郷田九段はこのまま引き立て役に甘んじてなるものかと

4筋に回した飛車を起点に先手玉の頭上へ味をつけてから

上図で藤井角を詰ませ、攻守に踏ん張りをみせます。。

 

しかし

ここで手番の回った藤井九段は、次に。。

 

 

 

77手目▲5三角成。

 

上図での持ち駒

 

▲藤井九段: 銀、桂、香、歩

△郷田九段: 歩2

 

ズバリと角を敵陣へと突進させ

格好良く、勝負を決めに出ました。。

 

「藤井九段-郷田九段」の棋譜はこちら

 

【 投了図・107手目▲3二銀 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲藤井九段: 歩2

△郷田九段: 飛、銀、桂、歩4

 

郷田九段は攻め合いに活路を求めますが

最後まで2五の拠点の桂馬がキラリと威力を発揮する

藤井九段が華麗に後手玉を仕留め切り、上図の局面で

郷田九段は万策尽き果て、無念の投了を告げました。。

 

自らが開発したシステムで盤上を完璧に支配し

会心の勝利を飾った藤井九段が、足取りも軽く

3回戦進出を決めました。。