同世代対決は白熱の名勝負。。第92期棋聖戦・本戦/2回戦「佐藤九段-中村七段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

同世代対決は白熱の名勝負。。第92期棋聖戦・本戦/2回戦「佐藤九段-中村七段を振り返ろう」

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第92期決勝トーナメント表

 

 

今回は先週の金曜日(2日)に行われました

佳境を迎える棋聖戦挑戦者決定トーナメントの2回戦

「佐藤天彦九段-中村太地七段」の好カードの模様を

ご紹介させていただきます。。

 

 

2手目△8四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: なし

△佐藤九段: なし

 

本局の先手は中村七段。

その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。

対します、佐藤九段も2手目に同じく飛車先を突く

△8四歩と返し、対局はスタート。。

 

 

 

9手目▲6八銀。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: なし

△佐藤九段: なし

 

互いに居飛車明示する出だしから

いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり

迎えた上図の局面で、中村七段は銀を6筋に繰り上げ

後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えますが。。

 

 

 

10手目△3三角

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: なし

△佐藤九段: なし

 

分れの局面で、佐藤九段は趣向の一手を披露。。

角交換を敢行するでも拒むでもなく、3三の地点に繰り上げ

手番を渡して先手からの角交換を注文しました。。

 

この手に対し、中村七段は。。

 

 

 

11手目▲3三角成。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角

△佐藤九段: なし

 

注文通りに角交換を敢行。。

変則的な「ノーマル角換わり」となりました。。

 

 

 

20手目△6四銀。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角

△佐藤九段: 角

 

注文が通った形の佐藤九段は

居玉のまま、足早に銀を6筋の戦場へと繰り出し

「早繰り銀」に形を決めます。。

 

 

 

25手目▲5六銀。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角

△佐藤九段: 角

 

一方の中村七段も、居玉のままで

慎重に間合いを計りながら銀を5筋の戦場へ繰り出し

中央に厚い「腰掛銀」に、上図で形を決めました。。

 

すると、次の瞬間

 

 

 

26手目△7五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角

△佐藤九段: 角

 

佐藤九段は7筋の歩を突き合わせ

このタイミングで、先に仕掛けを開始しました。。

 

中村七段は▲同歩(27手目)と応じて、以下

△同銀~▲2四歩~△同歩~▲2五歩に△7六歩~

▲8八銀~△5二金~▲2四歩~△2二歩~▲1七桂~

△7三角~▲2五飛をみて下図40手目△6四銀と進行。。

 

 

 

40手目△6四銀。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角、歩

△佐藤九段: なし

 

後手の仕掛けに対して

中村七段もすぐに反発し、盤上は熱気を帯びますが

佐藤九段は慌てず騒がず、角をジッと自陣に打ち込むと

そのライン上へ銀を重ねて、攻撃態勢を整えます。。

 

ここで一旦、局面は落ち着き

中村七段も次に7筋に歩を合わせ(41手目▲7六歩)

後手がつけた味を消しますが。。

 

 

 

46手目△5五銀。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角、歩

△佐藤九段: なし

 

先手が陣形を整える間に

金を高く戦場へと繰り出した(44手目△4四金)

佐藤九段は上図の局面で、角と金の利きが重なる

天王山・5筋の位で銀をぶつけ、追撃を開始します。。

 

が、しかし。。

 

 

 

49手目▲2三銀。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角、歩

△佐藤九段: 銀

 

中央での銀交換成立後

中村七段は手にしたばかりの銀をガツンと敵陣へ投入。。

気持ちで負けてなるものかと、受けには回らず強く切り返し

盤上には両者の意地が熱き火花となって飛び散ります。。

 

 

 

65手目▲8二銀成。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 飛、角2、歩3

△佐藤九段: 飛

 

そのまま本格開戦となり

両者はダイナミックに大駒を捌き合うと。。

 

 

 

77手目▲8一飛。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 角、歩3

△佐藤九段: 歩

 

双方、手にした大駒を起点に敵陣へと踏み込み

互いに気合も十分に熱き終盤戦へと突入しました。。

 

 

 

86手目△6九龍。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 歩2

△佐藤九段: 金、歩3

 

先に寄せに出たのは佐藤九段。。

先手の催促に応じる格好で(85手目▲6六歩)

ズバリと飛車を切り、勝負に出ますが。。

 

 

 

107手目▲6二角成。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 桂、歩2

△佐藤九段: 歩3

 

後手の攻め手は続かず、すぐに攻守交替。。

手番を握った中村七段は大駒を目一杯活用し

分厚い攻撃陣が後手玉へと襲い掛かります。。

 

 

 

130手目△7七歩成。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 飛、角、銀、桂、歩2

△佐藤九段: 金、歩3

 

苦しくなった佐藤九段は、それでも

同世代のライバル相手に間単には土俵は割れないと

渾身の粘りで食らいつき、先手玉をギリギリまで追い込み

先手の傾いた形勢の針は激しく揺れ動きます。。

 

 

【 投了図・161手目▲6二同桂成 】

 

 

161手目▲同桂成。

 

上図での持ち駒

 

▲中村七段: 銀2、歩6

△佐藤九段: 角、金3、桂、歩

 

大熱戦に終止符を打ったのは、中村七段でした。

後手の執拗な寄せをこちらもギリギリで凌ぎ切ると

豊富な戦力で後手玉をねじ伏せ、上図の局面をみて

佐藤九段はついに力尽き、無念の投了を告げました。。

 

形勢が二転三転した激闘を見事制した

中村七段が棋聖戦トーナメントのベスト4へ進出。。

次戦で「永瀬拓矢王座-菅井竜也八段」の勝者と

決勝進出を懸けて激突します。。