第46期棋王戦5番勝負/第1局「読みの入れ合い探り合いから、難解な終盤戦へ突入」
9連覇を目指す渡辺明棋王に
西の怪童・糸谷哲郎八段が挑戦する
第46期棋王戦5番勝負。
将棋界の年度末の風物詩が
いよいよ本日、総本山の東京・将棋会館にて
開幕の時を迎えました。。
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先良く先手を得たのは、渡辺棋王でした。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: なし
渡辺棋王の初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
いきなり居飛車を明示した棋王に対し、糸谷八段は
2手目△3四歩と角道を開き、対局はスタート。。
4手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: なし
続く3手目に、渡辺棋王が角道を開くと
糸谷八段は1分の少考の後、自らの角道を止めて
意表の振り飛車投入を含みとしました。。
10手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: なし
後手の趣向に対して、渡辺棋王は全く動じることなく
飛車先を決め△3三角(8手目)の受けを強要しつつ
淡々と、自然な駒組みを進めて行きます。。
先手が先に居玉を解除した(9手目▲4八玉)
上図の局面で、糸谷八段は飛車先の歩を突き
ここで居飛車を明示しました。。
15手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: なし
手番の利を生かし、駒組みで先行したい
渡辺棋王は上図で銀を中央5筋の戦場へと繰り出し
「腰掛銀」に形を決めました。。
20手目△5三銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: なし
一方の糸谷八段は二枚の銀を自陣三段目に並べ
「雁木」を採用、ともに中央を拠点に手厚く構えます。。
双方、拠点を中心に
しばらくは自陣の駒組みが進行するのかと
思われましたが。。
26手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: なし
力戦上等の糸谷八段は、駒組みの完成を待たずに
自らの飛車先8筋から、軽く仕掛けを開始しました。。
32手目△6四銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: 歩
以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立。
渡辺棋王が手堅く8筋を収めると(29手目▲8七歩)
糸谷八段は飛車を8五の地点に浮かせて構えてから
銀を6筋の戦場へと繰り出し、戦列に加えます。。
この手に対し
渡辺棋王が6筋の歩を突いたのをみて。。
(33手目▲6六歩)
34手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: 歩
糸谷八段は9分の考慮の後
先手の「腰掛銀」目掛けて5筋の歩を突き出し
中央から強く、追撃を開始しました。。
40手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: 歩
しかし、渡辺棋王が当たりの銀を
自陣6筋に引き下げると(35手目▲6七銀引)
局面は落ち着き、両者は自陣を整備しながら
ジリジリと間合いを詰め合います。。
5筋の位を確保した糸谷八段が、挑発的に
飛車と玉が斜めのラインで重なる7筋の歩を突き
次なる仕掛けへ力を溜めた、上図から次に。。
41手目▲5六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△糸谷八段: 歩
渡辺棋王が5筋の歩を突き合わせ
ついに反撃の狼煙を上げた、この局面で
午前の対局は終了、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
渡辺棋王: うな重(藤)、吸物
糸谷八段: うな重(桜)、吸物
45手目▲5六金。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷八段: 歩2
午後の対局開始の一手で
糸谷八段が△5六同歩(42手目)と応じると
渡辺棋王はすかさず4筋の歩を突き合わせたから
金で5筋の歩を払いました。。
ここで手番の糸谷八段は
再び天王山・5筋の位へ歩を打ち(46手目△5五歩)
先手の金を追い払うと(47手目▲4六金)。。
48手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩
△糸谷八段: 歩
返す刀で7筋の歩を突き合わせ、反撃開始。。
均衡を保ちつつ、目まぐるしく攻守を入れ替えながら
中盤戦の激しい主導権争いが続きます。。
55手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩2
△糸谷八段: 歩2
突き合わされた7筋の歩はそのままに
反撃に転じた渡辺棋王は4筋の金を呼んでから
狙い澄まして桂馬を跳躍、いよいよ開戦の時が迫ります。。
この手に糸谷八段は△6二玉(56手目)と構えて、以下
▲5三歩~△4三金上~▲7五歩~△同銀に▲9七角~
△8六歩~▲同歩~△7六歩~▲8七銀~△7四飛をみて
▲6八金~△3三桂~下図69手目▲同桂と進行。。
69手目▲同桂成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 桂、歩3
△糸谷八段: 歩
互いに読みを入れ合い
ギリギリまで模様を調整してから、桂交換が成立。。
大事な開幕戦は重厚な戦い模様で開戦を迎えました。。
74手目△5六桂。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩2
△糸谷八段: 歩
互いに手にして桂馬を急所へと投入。。
いたるところに複線の張られた盤上は難解にして
熾烈な終盤戦へと突入します。。
92手目△6六角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 銀、桂、歩4
△糸谷八段: 飛、金、銀、桂、歩3
激しい激しい攻め合いの終盤戦。。
糸谷八段は鋭く敵陣へと踏み込み、駒を一掃してから
上図で角が飛び出し、先に取られた飛車を取り返しつつ
手番を握ると、次の▲同金(93手目)に玉を繰り上げ
何とか安全を確保しますが(94手目△4四玉)。。
95手目▲6二角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 銀、桂、歩4
△糸谷八段: 飛、金、銀、桂、歩3
渡辺棋王は手にしたばかりの角を王手で投入。。
後手玉を逃してなるものかと、力づくの寄せに出ました。。
が、しかし。。
102手目△5七飛。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 銀、桂2、歩3
△糸谷八段: 金、銀、歩
糸谷八段はすぐに切り返し
不安定な先手玉目掛けて総攻撃を開始。。
均衡を保った形勢の針は、この土壇場に来て
後手へと大きく傾き始めました。。
対局の模様はABEMAで生中継!
いきなりの大熱戦となった開幕戦を
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