第33期竜王戦7番勝負/第5局「攻守に磐石、豊島竜王が悲願の初防衛達成」
初防衛を目指す豊島将之竜王に
通算100期目のタイトル獲得の偉業達成が懸かる
羽生善治九段が挑戦する、第33期竜王戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、豊島竜王が3勝1敗とリード。
悲願のタイトル防衛に王手を掛けて迎えた注目の大一番
第5局が昨日より、神奈川県箱根町「ホテル花月園」にて
運命の幕を開きました。。
本局の先手は羽生九段。
カド番でもう後のない本局の初手は
角道を開ける▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: なし
対します、豊島竜王は2手目に
飛車先を突く△8四歩と返し、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた竜王に対して
羽生九段の意向が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: なし
羽生九段は3手目▲6八銀とし
背水の陣を敷く大一番は、居飛車の看板戦法
「矢倉」での勝負を指向しました。。
10手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: なし
羽生九段の「矢倉」の明示をみて
豊島竜王は52手の短手数で衝撃的な圧勝を飾った
開幕戦の手順をそのまま踏襲。早々と桂馬を跳ね上げ
先手の駒組みをけん制しつつプレッシャーをかけます。。
13手目▲5六歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: なし
しかし、羽生九段は動じることなく
開幕戦の手順をそのまま踏襲しながら
後手の出方を注意深くうかがいます。。
迎えた上図の局面が分れの急所。。
開幕戦では△6四歩~△6五桂の強襲を決め
豊島竜王が一気に先手陣を押し潰しましたが。。
14手目△6二銀。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: なし
豊島竜王はここで手を変え
△6二銀とし、穏やかな進行を指向しました。。
27手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: なし
超急戦が回避されたことで
両者は呼吸を合わせて自陣の駒組みを進めますが
上図の局面で、羽生九段は3筋の歩を突き合わせ
気合も十分、先に仕掛けを開始しました。。
32手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: 歩
前に出た先手に対して
豊島竜王は3筋での歩交換には応じず突っ張ってから
自らの飛車先8筋の歩を突き合わせて、すぐに反発。。
38手目△1五角。
上図での持ち駒
▲羽生九段: なし
△豊島竜王: 歩
8筋を押さえ込んでから自陣に控えていた角を
1筋の端に迫り出し、先手の飛車を追い払います。。
41手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△豊島竜王: 歩
次に、羽生九段が歩を捕獲しつつ
飛車を3筋に寄せたのをみて(39手目▲3六飛)
豊島竜王は角を自陣深くへ引き戻しました。。
(40手目△4二角)
手番の回った羽生九段は
すかさず桂馬を跳ね上げ、力を溜めます。。
【 一日目修了図・44手目△8五飛 】
上図での持ち駒
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△豊島竜王: 歩
一日目は上図44手目まで進行。。
豊島竜王がフワリと飛車を浮かせた局面で
終了時刻となり、羽生九段が次の手を封じて
二日目へと指し掛けになりました。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目は。。
45手目▲6六銀。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△豊島竜王: 歩
注目の羽生九段の「封じ手」は▲6六銀。
左の銀も戦場へと繰り出す、気合の一手から
羽生九段は二日目をスタートさせました。。
この「封じ手」をみて
豊島竜王はいきなりの長考に入ります。。
46手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 歩
△豊島竜王: なし
二日目開始直後に、1時間4分も及ぶ大長考の末
豊島竜王は先手の拠点である3筋の銀を歩で叩き
先手に銀交換を注文しました。。
羽生九段は7分の考慮で▲同銀(47手目)と応じて
以下、△同銀~▲同飛に△8七銀~▲4四飛をみて
△7八銀成~▲同玉~△8七金~▲同歩~△同歩成~
▲6九玉に、下図58手目△3六歩と進行。。
58手目△3六歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 金、銀2、歩3
△豊島竜王: なし
注文通りに銀交換が成立した直後
豊島竜王は起点の8筋から猛烈に踏み込み
仕掛けどころか一気呵成の寄せを狙います。。
防戦一方に追い込まれた羽生九段が
玉を6筋に下げたのをみて、反対サイドの3筋で
豊島竜王が桂馬の頭上を厳しく叩いた、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
羽生九段: 鉄火重
豊島竜王: うな重、サラダ
61手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 金、銀2、歩3
△豊島竜王: なし
午後の対局開始の一手で
羽生九段は後手の飛車先へ歩を突き立て
切り良く反撃に転じます(59手目▲8六歩)。。
豊島竜王がすみやかに
追われた飛車を元居た8二の地点に引き下げると
羽生九段は2筋の歩を突き合わせ、追撃しますが。。
62手目△3七歩成。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 金、銀2、歩3
△豊島竜王: なし
豊島竜王は構うことなく
3筋の歩を成り込み、攻め合いを求めました。。
65手目▲4三銀。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 金、銀、歩3
△豊島竜王: 桂、歩
自玉の上部を左右から挟みこまれた
羽生九段は受けに回っている時間はないと
飛車を合わせた4筋から敵陣目掛けて強く踏み込み
盤上は引くに引けない終盤戦へと突入します。。
すると。。
74手目△4四桂。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 金、歩3
△豊島竜王: 銀、歩
羽生九段の渾身の寄せを凌いだ
豊島竜王は上図で桂馬を控えめに投入し
味良く攻守を入れ返えます。。
79手目▲2一飛成。
上図での持ち駒
▲羽生九段: 金、桂、歩4
△豊島竜王: 銀、歩
後手の厳しい挟撃の前に、玉の逃げ場がなく
苦しくなった羽生九段は、上図で飛車を成り込み
形を決めて後手に下駄を預けると。。
【 投了図・84手目△8八銀 】
投了図での持ち駒
▲羽生九段: 桂、歩4
△豊島竜王: なし
盤上を制圧した豊島竜王が
悠々と、仕上げに掛かった上図の局面をみて
羽生九段は為す術なく、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後6時25分。
本局も攻守に隙なく、高い完成度をみせつけた
豊島竜王が、この瞬間、番勝負を4勝1敗で見事制し
悲願の初防衛を達成しました。
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