第70期王将戦挑戦者決定リーグ/4回戦「永瀬王座-羽生九段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

第70期王将戦挑戦者決定リーグ/4回戦「永瀬王座-羽生九段を振り返ろう」

第70期王将戦 – 毎日新聞

挑戦者決定リーグ対戦表

 

 

昨日、「文化の日」に行われました

第70期王将戦挑戦者決定リーグの大一番

「永瀬拓矢王座-羽生善治九段」の全勝対決は

総本山の東京・将棋会館にて。。

 

 

2手目△8四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: なし

△羽生九段: なし

 

本局の先手は、永瀬王座。

その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。

対します、羽生九段も2手目に同じく飛車先を突く

△8四歩と返して、対局はスタート。。

 

 

 

4手目△8五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: なし

△羽生九段: なし

 

次に両者は息を合わせて飛車先を決め

戦型は「相掛かり」に決定。。

 

 

 

11手目▲6八玉。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: なし

△羽生九段: なし

 

互いに角頭を金で受けてから、飛車の銀を立てる

おなじみの同形模様の進行から、さらに9筋の端歩を突き合い

迎えた上図の局面で、永瀬王座は居玉を解除し6筋に繰り上げ

「▲6八玉型」に構えました。。

 

この手に対し、羽生九段は追随せずに

玉を立て、「中住まい」に構えると(12手目△5二玉)

次に、永瀬王座が角道を開いたのをみて。。

(13手目▲7六歩)

 

 

 

14手目△8六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: なし

△羽生九段: なし

 

羽生九段は8筋の歩を突き合わせ

先に飛車先での歩交換を敢行しました。。

 

 

 

18手目△3四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 歩

△羽生九段: 歩

 

以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立すると

永瀬王座が突進してきた後手の飛車先を受けることなく

3筋の歩を突き出したのをみて(17手目▲3六歩)

羽生九段は自らの角道を通しました。。

 

ここで手番の永瀬王座は

歩を突いた3筋に桂馬を跳ねてから(19手目▲3七桂)

次に、羽生九段が1筋の端歩を突いたのをみて。。

 

 

 

21手目▲2四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 歩

△羽生九段: 歩

 

すかさず自らの飛車先

2筋の歩を突き合わせました。。

 

 

 

25手目▲3四飛。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 歩3

△羽生九段: 歩

 

同じ手順で2筋でも歩交換が成立。。

羽生九段は突進してきた先手の飛車先へ歩を打ち

穏便に収めにかかりますが(24手目△2三歩)、しかし

永瀬王座は飛車を引かずに3筋の「横歩」を掠め取りました。。

 

すると、次の瞬間

 

 

 

26手目△8八角成。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 歩3

△羽生九段: 角、歩

 

羽生九段はこのタイミングで角交換を敢行。。

負担になりそうな大駒を捌き、局面を動かします。。

 

永瀬王座は▲同銀(27手目)で角を払って、以下

△3三歩~▲3五飛に△2八角~▲1八香~△1九角成~

▲2七角~△4に銀~▲3九金~△7四歩~▲8七銀をみて

△8二飛~▲8六歩~△2四歩~下図41手目▲5五飛と進行。。

 

 

 

41手目△5五飛。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 歩2

△羽生九段: なし

 

角交換成立直後

羽生九段は手持ちの角を敵陣に投入し馬を作りますが

永瀬王座は動じることなく、馬を自陣の端に閉じ込めつつ

角を控えて投入してから、飛車を5筋に合わせると。。

 

 

 

51手目▲2九同銀。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 角、歩

△羽生九段: 金

 

陣形をキープしたまま、上図の局面で

永瀬王座は金との交換で後手の馬を捕獲しました。。

 

さらに。。

 

 

 

61手目▲2九同銀。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 角、銀、歩

△羽生九段: 金、歩

 

永瀬王座は後手の銀を戦場へと吊り出し

上図で堂々と桂馬で捕獲、後手からの攻めを呼び込ます。。

 

 

 

66手目△7八金。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 角、銀、歩

△羽生九段: 桂

 

先手の注文を受けた立ち

羽生九段は桂馬で桂馬を捕獲すると(62手目△6五同桂)

その桂馬を起点に7筋から畳み掛け、一気呵成の猛攻へ。。

 

 

 

74手目△6六桂。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 角、金、銀、桂、歩2

△羽生九段: 歩

 

羽生九段は流れるように駒を回転させながら

攻め手を繋ぎ、先手玉を仕留めに行きますが。。

 

しかし。。

 

 

 

81手目▲5二金。

 

上図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 角、銀、桂、歩3

△羽生九段: 金、歩

 

すでに読み切りとばかりに

永瀬王座は悠々と、後手の猛攻を凌ぎでから

握った手番で7筋を歩でえぐり(79手目▲6三歩成)

怒涛の反撃に転じました。。

 

 

【 投了図・89手目▲3一銀 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲永瀬王座: 角、銀、桂、歩3

△羽生九段: 飛、金、歩

 

羽生九段の反撃も大勢には響かず。。

永瀬王座が決めに出た、上図の局面をみて

羽生九段は無念の投了を告げました。。

 

終局時刻は午後5時22分。

見事な完勝で全勝対決を制した永瀬王座は

同じく全勝の豊島将之竜王と開幕4連勝で並び

優勝争いのトップを堅持しました。。

 

一方、痛恨の黒星を喫した

羽生九段は3勝1敗となり、優勝争いから一歩後退。。

注目の祝日決戦は明暗を分けました。。

 

 

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