振り飛車は不発。。第28期銀河戦Cブロック/11回戦「藤井二冠-羽生九段を振り返ろう」
早いもので、今日は9月の最終日。。
新型コロナウイルスによる閉塞感が今なお続く中
季節は確実に、秋の気配を深めて行きます。。
9月最後にご紹介させていただきます棋譜は
昨日、初回放送された第28期銀河戦の大注目カード
「藤井聡二冠-羽生善治九段」の模様を振り返ります。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: なし
本局の先手は藤井二冠。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、羽生九段も2手目に同じく角道を開く
△3四歩と返して、対局はスタート。。
4手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: なし
続く3手目に、藤井二冠が飛車先を突いたのをみて
羽生九段は角道を止め、振り飛車投入を示唆します。。
10手目△3二飛。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: なし
角道を止めても
そこから相居飛車となるパターンもありますが
本局の羽生九段は、上図の局面で飛車に手をかけると
3筋へと振り、「ノーマル三間飛車」を投入しました。。
29手目▲5七銀。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: なし
互いに飛車のポジションが決まり
戦型が「対抗形」になると、両者は息を合わせて
居玉を解除し、玉の囲いを目指します。。
振り飛車の相棒である
「美濃囲い」の中へ玉をおさめた羽生九段に対して
藤井二冠は「左美濃」を採用。双方、囲いに角を取り込み
序盤はじっくりとした駒組みが進行しました。。
32手目▲5七銀。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: なし
先に仕掛けたのは、羽生九段。。
銀を5筋の戦場に構えてから(30手目△5四銀)
飛車先3筋の歩を突き合わせました。。
43手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: 歩
以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立すると
藤井二冠は角を活用し、後手の飛車先を押さえてから
上図で自らの飛車先2筋の歩を突き合わせます。。
47手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: 歩2
羽生九段が△同歩(44手目)と応じると
藤井二冠は歩を取らずに飛車を待機させたまま
銀と桂馬を前に出し、来るべき開戦へ力を溜めます。。
62手目△4八歩。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: なし
△羽生九段: 歩2
先手の構想に対して、自陣上部を手厚く構えた
羽生九段は機をみて一本、敵陣へ嫌らしく歩を垂らし
「と」金の拠点を作りますが(64手目△4九歩成)。。
73手目▲2三銀成。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: 歩
△羽生九段: 歩
後手の「と」金が成果を上げる前に
藤井二冠は悠々と銀が敵陣突破に成功。。
飛車・角・桂も連動した、迫力ある模様を描き
満を持してのいざ、開戦を告げました。。
羽生九段は△3一歩(74手目)と耐えて、以下
▲6五歩~△同桂~▲同桂~△同銀に▲6六歩~
△5四銀~▲5五桂~△同銀~▲同歩~△4六桂をみて
▲7九金~△5八桂成~下図87手目▲3三歩成と進行。。
87手目▲3三歩成。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: 銀、歩
△羽生九段: 桂、歩
藤井二冠の主導で駒が捌かれると
羽生九段も小駒を利かせて反撃に転じ
攻め合いの終盤戦が幕が開きます。。
109手目▲6三「と」金。
上図での持ち駒
▲藤井二冠: 飛、金、銀、桂、歩
△羽生九段: 金、桂
互いに一直線に敵将目指して攻め込みますが
一足お先に、二枚の「と」金と角の利きを連動させた
藤井二冠が攻防を制し、勝負あり。。
上図から次に
手番を握った羽生九段は、王手で迫りますが。。
(110手目△7八成桂)
【 投了図・113手目▲7八同玉 】
投了図での持ち駒
▲藤井二冠: 飛、金、銀、桂2、歩2
△羽生九段: 金2、銀、桂
羽生九段の反撃は形作りに留まり
上図の局面をみて、無念の投了を告げました。。
意表の振り飛車をものともせず
見事な完勝を飾った藤井二冠は、颯爽と
本戦トーナメント進出を決めました。。