第91期棋聖戦5番勝負/第1局「超ハイレベルな死闘を制し、藤井七段が白星発進」
初防衛を目指す渡辺明棋聖に
17歳の神童・藤井聡太七段が挑戦する
第91期棋聖戦5番勝負。
史上空前の期待と注目を集める番勝負が
本日、東京・将棋会館にて運命の幕を開きました。。
振り駒で決まる開幕戦の手番で
幸先よく、先手を得たのは藤井七段でした。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
藤井七段の初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、渡辺棋聖は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた渡辺棋聖に対し
藤井七段の意向が明かされる、次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
藤井七段はノータイムで、3手目▲6八銀とし
大事な開幕戦で、得意の「角換わり」ではなく
「矢倉」での勝負を指向しました。。
代えて▲2六歩からの「角換わり」を想定していたか
渡辺棋聖はここで6分、時間を費やし気息を整えてから
手順通りに角道を開きます(4手目△3四歩)。。
13手目▲3六歩。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
居玉のまま、早々と飛車先を決めた
藤井七段は上図で先に飛車のコビンを開き
「急戦」投入を示唆します。。
18手目△5ニ金。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
初めてのタイトル戦にも臆することなく
積極的に駒を動かし主導権を取りに行く
藤井七段に対し、渡辺棋聖は冷静沈着。。
先に居玉を解除し(16手目△4一玉)
まずはオーソドックスに、自陣の駒組みを進めると
上図から次に、藤井七段も居玉を解除したのをみて。。
(19手目▲6九玉)
22手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
すかさず飛車のコビンを開いてから、飛車先を決め
持久戦模様から一転、こちらも「急戦」投入をみせて
若き挑戦者に揺さぶりをかけます。。
31手目▲4六角。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
しかし、両者はすぐの仕掛けを選択せず。
同形模様の進行となり、まずは戦場で互いの角が
相対峙する、「脇システム」が発動されると。。
36手目△2ニ玉。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
両者は息を合わせて
「矢倉囲い」の中へ玉の入城を完了し
開幕戦の戦型は「相矢倉」に決定しました。。
40手目△9四歩。
上図での持ち駒
▲藤井七段: なし
△渡辺棋聖: なし
さらに、格調高く両サイドの端歩を突き合い
駒組みが完成した上図から次に、藤井七段は。。
41手目▲6四角。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 角
△渡辺棋聖: なし
2分の少考で角交換を敢行。。
爽やかに、仕掛けを開始しました。。
渡辺棋聖は△同歩(42手目)と応じて、以下
▲2六銀~△6五歩~▲同歩~△7五歩~▲同歩をみて
△3九角~▲3八飛~△7五角成~▲1五歩~△6五馬~
▲1四歩~△8六歩~▲同歩に下図56手目△6六歩と進行。。
56手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 角、歩4
△渡辺棋聖: 歩
角交換成立後
飛車先に銀を乗せ「棒銀」に構えた藤井七段に対し
渡辺棋聖は軽快な歩の突き捨てから機敏に拠点の馬を作り
先手の端からの侵攻に構わず、悠然と攻勢を強めます。。
62手目△9三桂。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 歩5
△渡辺棋聖: なし
午前の対局は上図62手目まで進行。
藤井七段が馬を消しに来たのをみて(61手目▲3七角)
渡辺棋聖が桂馬を9筋に跳ね、ジッと力を溜めた局面で
昼食休憩突入となりました。。
【 昼食のオーダー 】
藤井七段: カツカレー
渡辺棋聖: うな重(竹・ご飯少なめ)、赤だし
64手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 歩5
△渡辺棋聖: なし
午後の対局開始の一手で
藤井七段は角を換えずに6筋の歩を取り込み
馬の頭上に圧力をかけます(63手目▲6六歩)。。
この手に対し、渡辺棋聖は冷静に
5筋の歩を突き合わせ、先手の駒を呼び寄せます。。
72手目△5四金。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 歩5
△渡辺棋聖: なし
藤井七段が▲5五同銀(65手目)と応じると
渡辺棋聖はスッと馬を引き下げ(66手目△6三馬)
両者は呼吸を合わせて自陣の整備に取り掛かります。
自玉回りの整備にかかった藤井七段に対し
渡辺棋聖は上図で力強く、金を戦場に突き出すと
次に、藤井七段が角の活用を目指したのをみて。。
(73手目▲4六角)
74手目△4五金。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 歩5
△渡辺棋聖: なし
前に出た先手の角頭目掛けて金をさらに前進。。
守りの要・金の攻撃参加で戦端をこじ開けます。。
74手目△4五金。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 歩5
△渡辺棋聖: なし
77手目▲1三歩成。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 歩6
△渡辺棋聖: 歩
しかし、藤井七段は怯むことなく
飛車・角を上手く活用しながら、満を持して
狙いの1筋の端から攻撃を開始しました。。
92手目△4六金。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 桂、香、歩5
△渡辺棋聖: 香、歩
切り崩した1筋へ飛車を合わせて
一気呵成に攻勢を強める藤井七段に対して
渡辺棋聖は上図で狙い通りの切り返し。。
事前に繰り上げた金で角道を塞ぎつつ
自陣に控える馬が、先手の切り札である飛車を
鋭く、そして気持ちよく射抜きますが。。
この絵になる局面で
藤井七段の天賦の才能が閃光。。
93手目▲1三飛成。
上図での持ち駒
▲藤井七段: 桂、香、歩6
△渡辺棋聖: 香、歩
この進行は読み筋だったと
藤井七段はノータイムで、飛車を突進。。
躊躇なく、勝負を決めに出ました。。
【 投了図・157手目▲2四桂 】
投了図での持ち駒
▲藤井七段: 角、銀、歩6
△渡辺棋聖: 銀、歩4
そのまま寄せに入り、瞬く間に形勢を引き寄せた
藤井七段の前には渡辺棋聖の渾身の反撃も形作りに留まり
上図の局面をみて、渡辺棋聖は無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後7時44分。
ハイレベルな名勝負を見事な読みと構想、そして
完全無欠の終盤力で制した藤井七段が、見晴らしよく
番勝負の白星発進を決めました。
歴史的名勝負となった開幕戦の興奮を、ぜひ
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