読みの深さは異次元へ。。第91期棋聖戦挑戦者決定戦「永瀬二冠-藤井七段の終盤戦を振り返ろう」
今回は昨日決着をみました
歴史的一戦、第91期棋聖戦挑戦者決定戦
「永瀬拓矢二冠-藤井聡太七段」の模様を
終盤戦を中心に振り返らせていただきます。。
30手目△8六同飛。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 歩2
△藤井七段: 飛
振り駒の結果、永瀬二冠の先手となり
互いに飛車先を突く出だしから、戦型は「相掛かり」に。
研究の行き届いた最先端の駒組みで迎えた上図の局面で
藤井七段が先手の注文を受けて立ち、飛車交換が成立。。
大一番はいざ、開戦となりました。
51手目▲4ニ角成。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、歩
△藤井七段: 飛2、銀、桂、歩2
飛車交換成立後
攻防の主導権を握ったのは、永瀬二冠。
ダイナミックな駒捌きで後手陣を切り崩すと
上図で角を成り込み、形を決めます。。
先手の猛攻に対して
さして時間を使うことなく、自然な受けで対処した
藤井七段はようやく握った手番でも、ほんの1分の少考で。。
52手目△2六桂。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、歩
△藤井七段: 飛2、銀、歩2
先手の銀を標的に、がら空きの2筋へ
手持ちの桂馬を投入し、反撃に転じました。。
この手に対し、永瀬二冠が16分の考慮の後
当たりとなった銀を引き下げると(53手目▲2九銀)。。
54手目△3六銀。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、歩
△藤井七段: 飛2、歩2
藤井七段は26分の考慮で
手持ちの銀を3筋に投入し、攻撃軍を追加。。
敵将のコメカミを狙いながら厚みを築きました。。
終局後
この手を「読んでいなかった」とコメントを残した
永瀬二冠は長考に沈み、先手ペースト思われた
盤上には不穏な気配が漂います。。
55手目▲6九玉。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、歩
△藤井七段: 飛2、歩2
1時間8分にも及んだ大長考の末
永瀬二冠が下した決断は▲6九玉。。
この手が、事実上の敗着となりましたでしょうか。。
受けるなら▲4八打ちも見えた中で、金と銀を置き去りに
玉の無防備な早逃げ敢行は、息長く手厚い指し回しを好む
勝負の鬼・永瀬二冠らしからぬ一手に動揺も見え隠れ。。
一方、そのまま手番を握ったままの
藤井七段は次に、2分の考慮で躊躇なく
56手目△2七飛。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、歩
△藤井七段: 飛、歩2
今度は手持ちの飛車を2筋へ投入。。
自信と殺気を漲らせ、総攻撃の準備を整えました。。
ここで虎の子の金を自陣に打ち込み(▲3九金打)
永瀬二冠は徹底抗戦の構えをみせると。。
69手目▲6五桂。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: なし
△藤井七段: 飛、歩2
ジワジワと圧力を加えながら迫力を増す
後手の攻撃陣が火を吹く前に、上図の局面で
永瀬二冠は桂馬を跳ね上げ、攻め合いに出ました。。
藤井七段はすぐに△同金(70手目)と応じて、以下
▲5三角成~△7ニ玉~▲4三馬引~△6四金に▲4四馬右~
△8三玉~▲2六馬~△8九飛~▲7八玉~△9九飛成をみて
▲8八銀~△9八龍~下図83手目▲7五桂と進行。。
83手目▲7五桂。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 歩2
△藤井七段: 桂、香、歩2
先手の強力な二枚の馬の猛攻を
藤井七段は冷静に凌ぎながら、機をみて切り札の
飛車を敵陣に打ち込み、先手玉を左右から挟みこんで
いよいよ勝負を決めに行きます。。
苦しくなった永瀬二冠は、懸命に食らいつき
手番の回った上図で桂馬の王手を放ち、メラメラと
勝利への執念を燃やします。。
が、しかし
92手目△8六桂。
上図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、歩3
△藤井七段: 桂、歩2
永瀬二冠、渾身の追い込みも
後手玉を仕留めるには至らず、再び手番を握った
上図の局面で、藤井七段は爽やかに寄せに入ります。。
【 投了図・100手目△6八角 】
投了図での持ち駒
▲永瀬二冠: 金、桂、歩3
△藤井七段: 歩3
永瀬二冠は最後まで最善を尽くしますが
上図の王手をみて、ついに万策尽き果て
無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後7時44分。
異次元の読みの深さと終盤力で激戦を制し
見事な勝利を飾った藤井七段が、この瞬間
史上最年少でのタイトル挑戦を決めました。。
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