最後に豪腕炸裂。。第13期マイナビ女子OP5番勝負/第5局「西山女王、3連覇達成」
3連覇を目指す西山朋佳女王に
加藤桃子女流三段が挑戦する、第13期マイナビ女子OP。
5番勝負はここまで4局を消化し、ともに譲らず2勝2敗。
勝者がタイトルを手にする運命の決着戦/第5局が、本日
総本山の東京・将棋会館にて行われました。
あらためて振り駒で決まる最終戦の手番で
幸先良く、先手を得たのは西山女王でした。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
西山女王は初手で中央5筋の歩を突き
いきなり、代名詞である振り飛車投入を示唆。。
対します、加藤女流三段は2手目に飛車先を突き
こちらは居飛車を明示して、対局はスタート。。
7手目▲5八飛。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
大一番らしく
互いのポリシーを盤上へ強く投影させる出だしから
西山女王は上図の局面で、飛車を位を取った5筋へと降り
「ゴキゲン中飛車」を投入、戦型は「対抗形」となりました。
23手目▲3八銀。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
互いに飛車のポジションが決まったところで
両者は息を合わせて玉の囲いを目指します。。
角道を止めて囲いに含みを持たす加藤女流三段に対し
西山女王は振り飛車の相棒「美濃囲い」を完成しました。
34手目△1ニ香。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
じっくりとした序盤の駒組みは続き
西山女王は位を張った5筋の歩を銀で支えてから
飛車を4筋へと振り直し(29手目▲4八飛)
囲いのさらなる拡張を目指します。
一方の加藤女流三段は
上図の局面で、1筋の香車を一段繰り上げ
振り飛車の天敵である「穴熊」を明示しました。。
39手目▲2七銀。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
「穴熊」に玉をおさめた加藤女流三段は
銀ではなく、角でハッチを閉める趣向を披露。。
(38手目△2ニ角)
この手に対し、西山女王が
玉の頭上に銀を乗せ「銀冠」に構えたのをみて
加藤女王は飛車を浮かせると(40手目△8四飛)
次の▲6六歩(41手目)をみて。。
42手目△5四歩。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
加藤女流三段は3分の少考の後
5筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始しました。。
54手目△4三金。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: なし
しかし、すぐの開戦には至らず。
5筋での歩交換成立後、両者は自陣を引き締め
加藤女流三段が囲いに金を組み込んだ、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
西山女王: にぎり寿司(上)
加藤女流三段: 肝焼2本、肝吸2杯
62手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: 歩2
午後の対局開始となっても
ジリジリとした間合いの計り合いが続きます。。
上図の局面で、加藤女流三段は
長らく付き合わされたままの6筋の歩を取り込んでから
飛車を8筋に戻しました(64手目△8四飛)。。
この手に、西山女王がほんの1分の少考で
7筋の歩を突き出すと(65手目▲7六歩)。。
66手目△3五歩。
上図での持ち駒
▲西山女王: なし
△加藤女流三段: 歩2
それぞれ二枚の金・銀に角をも取り込む
重厚長大な「穴熊」を完成させた加藤女流三段が
強気に3筋の歩を突き出し、いざ開戦を求めました。。
西山女王はすぐに▲同歩と応じて、以下
△3四歩~▲同歩~△同金~▲3五歩~△同金~
▲3六歩に△3四金~▲5四歩~△5六歩~▲同金をみて
△8六歩~▲同歩~下図80手目△7五角と進行。。
80手目△7五角。
上図での持ち駒
▲西山女王: 歩3
△加藤女流三段: 歩3
3筋での攻防の後
加藤女流三段は飛車先の歩を突き捨ててから
角を戦列に参加させ、爽やかに攻勢を強めます。。
が、しかし。。
93手目▲5ニ「と」金。
上図での持ち駒
▲西山女王: 歩
△加藤女流三段: 歩2
前に出た後手に対して
西山女王は機微に飛車を8筋に合わせ
後手の飛車先を押さえてから、角を標的に逆襲に転じ
力強く、攻防の主導権を握りました。。
すると。。
【 投了図・127手目▲3三馬 】
投了図での持ち駒
▲西山女王: 角、金、歩2
△加藤女流三段: 銀、桂、歩2
最期の最後で西山女王の豪腕が炸裂。
後手の強大な「穴熊」をものの見事に吹き飛ばし
加藤女流三段は為す術なく、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。
終局時刻は午後3時42分。
素晴らしい終盤力をみせつけた西山女王が
フルセットの激戦を制し、見事3連覇を達成しました。