攻守に切れ味爽快。。第６９回ＮＨＫ杯/準々決勝「永瀬二冠－斎藤八段を振り返ろう」
棋王戦/第２局の決着をみた昨日、放送されました
日曜午前のお楽しみ、第６９回ＮＨＫ杯の準々決勝
注目の「永瀬拓矢二冠－斎藤慎太郎八段」の模様を
振り返らせていただきます。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： なし
△永瀬二冠： なし
本局の先手は
先日、Ａ級昇級を決めたばかりの斎藤八段。
その初手は角道を開く▲７六歩から。。
対します、永瀬二冠は２手目に
飛車先を突く△８四歩と返して、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
斎藤八段の意向が明かされる、次の３手目は。。
３手目△２六歩。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： なし
△永瀬二冠： なし
代えて▲６八銀なら「矢倉」が有力でしたが
斎藤八段は３手目▲２六歩として、主戦に据える
「角換わり」を指向しました。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： なし
△永瀬二冠： 角
永瀬二冠も「角換わり」に異存はなく
そのまま確立された定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、永瀬二冠から角交換を敢行。。
手損のない、「ノーマル角換わり」となりました。。
３４手目△６ニ金。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： 角
△永瀬二冠： 角
角交換成立後
両者は呼吸を合わせながら自陣の駒組みを進め
斎藤八段は先に「▲６八玉＋４八金＋２九飛」型に
自陣の駒を組み上げます（２９手目▲２九飛）。。
一方、しばし間合いを計った
永瀬二冠も上図で金を立て、先手と対称を成す
「△４ニ玉＋６ニ金＋８一飛」型を完成しました。。
４１手目▲４五桂。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： 角
△永瀬二冠： 角
次に両者は攻撃の銀を５筋の戦場に構え
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定。。
例によって
玉を左右に振って手番を渡す後手に対して
斎藤八段は上図で右の桂馬を４筋へと跳ね上げ
後手の銀に当てつつ、仕掛けを開始しました。。
永瀬二冠は銀を引き下げ（４２手目△２二銀）、以下
▲７五歩～△同歩～▲５三桂成～△同玉～▲７四歩～
△４四歩～▲２四歩～△同歩～▲同飛～△３三銀をみて
▲２九飛～△２四歩に、下図５５手目▲７三桂成と進行。。
５５手目▲７三歩成。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： 角、桂、歩
△永瀬二冠： 角、桂、歩
起点の桂馬をポーンと敵将の頭上に投げ入れた
斎藤八段は上図で桂馬を取り返し、さらなる攻勢へ。。
７０手目△８八歩。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： 角、銀、桂、歩３
△永瀬二冠： 角、銀、歩
一直線に攻勢を強める先手に対して
永瀬二冠は機をみて反撃、激しく敵将へと迫り
攻防の主導権を奪いに掛かります。。
が、しかし。。
７９手目▲５三角成。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： 銀２、歩５
△永瀬二冠： 角、桂
斎藤八段は見切り良く
上図の局面で、銀との交換で角切りを決断。
後手玉を孤立させると。。
１０９手目▲２三玉。
上図での持ち駒
▲斎藤八段： 角、銀、歩
△永瀬二冠： なし
パズルのようにはめ込まれた後手の攻め駒も
正確な読みの裏づけで、恐れるに足らずとばかりに
斎藤八段は敵陣に歩を垂らし、仕上げに向けての
下準備をクールに整えます。。
【 投了図・１５３手目▲２三飛成 】
投了図での持ち駒
▲斎藤八段： 金２、銀、歩２
△永瀬二冠： 角、銀、桂、歩３
大差のついた終盤戦。。
負けない将棋が持ち味の永瀬二冠は最後まで
最善を尽くして粘りますが、形勢を覆すには至らず
上図の局面をみて、無念の投了を告げました。。
同世代のライバル相手に、見事な完勝を飾った
斎藤八段は爽やかに、ベスト４進出を決めました。。
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明日（１８日）
羽生九段と藤井七段の対局が実現。。
