昇級の一局。。第78期B級1組順位戦/12回戦「阿久津八段-斎藤七段を振り返ろう」
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第78期B級1組順位戦対戦表
今回は、昨日行なわれました「鬼の棲みか」
第78期B級1組順位戦/12回戦・一斉対局から
「阿久津主税八段-斎藤慎太郎七段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△阿久津八段: なし
先手は昇格圏内の2位で本局を迎えた斎藤七段。
その初手は、居飛車党の誇りを示す▲2六歩から。。
対します、阿久津八段は2手目△3歩歩と角道を開き
こちらは戦型選択に含みを持たせ、対局はスタート。。
4手目△9四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
▲阿久津八段: なし
続く3手目に、斎藤七段が角道を開くと
阿久津八段は飛車先を保留したまま9筋の端歩を突き
不急の一手で先手に手番を渡しました。。
この手をみて、斎藤七段は
3分の少考の後、飛車先を決めて(5手目▲2五歩)
後手に態度を訊ねると、次に、阿久津八段が角頭を
金で受けたのをみて(6手目△3二金)。。
7手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△阿久津八段: なし
斎藤七段は22分、時間を費やし気息を整えてから
そのまま飛車先を突き合わせ、仕掛けを開始しました。。
すると。。
10手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: なし
△阿久津八段: 角
以下、△同歩~▲同飛の進行で歩交換が成立した
次の瞬間、阿久津八段は先手の飛車先を受けずに
ズバリと角交換を敢行、さらに模様を動かします。。
14手目△2七歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 角、歩
△阿久津八段: 角
角交換成立後、斎藤七段が不安定な浮き飛車を
元居た場所へと引き戻したのをみて(13手目▲2八飛)
阿久津八段は局面を落ち着かせてなるものかと、返す刀で
その飛車の頭上を歩で叩き、移動を勧告。。
この局面で、午前の対局は終了となり
お昼休憩に突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
斎藤七段: 豚と厚揚げ玉子とじ弁当
阿久津八段: 肉豆腐キムチ弁当
17手目▲4五角。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩
△阿久津八段: 角
完全に力戦模様の進行とある中
迎えた午後の対局開始の一手で、斎藤七段は
狙われた飛車を5筋に合わせてから、手持ちの角を
4筋の好所に投入し、2筋の歩を消しに出ました。。
この手に
阿久津八段が6筋を飛車で受けると(18手目△6ニ飛)
ゆうやく不穏だった盤上は落ち着き、両者は息を合わせて
自陣の駒組みに取り掛かります。。
26手目△2二飛。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△阿久津八段: 角
2筋の歩を注文通りに角で払った(19手目▲2七角)
斎藤七段は飛車を再び2筋に戻してから角を引き下げ
飛車先を通し拠点に据えると、阿久津八段もすぐに呼応し
同じく飛車を2筋に合わせます。。
36手目△8二玉。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△阿久津八段: 角
互いに飛車のポジションが安定すると
双方、居玉を解除し玉の囲いを目指します。。
阿久津八段は
上図で手堅く「美濃囲い」を完成させた。。
44手目△2五桂。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△阿久津八段: 角
先に仕掛けたのも、阿久津八段。。
上図の局面で、桂馬を争点の2筋に跳ね上げ
桂交換を注文します。。
この手に対し
斎藤七段は17分の考慮の後。。
45手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩2
△阿久津八段: 角
桂交換には素直に応じず、反対サイドの
4筋に桂馬を跳躍させた、上図の局面で
夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
両者ともに「麻婆豆腐丼」
47手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩
△阿久津八段: 角
夕食休憩明けの一手で
阿久津八段が3筋の歩を突き合せると(46手目△3五歩)
斎藤七段はすかさず後手の桂頭を叩き、開戦を迫ります。。
局面が煮詰まる中、阿久津八段は次に
1筋へ桂馬を放り込み(48手目△1七桂不成)、以下
▲同香~△3六歩~▲3四歩~△同金に▲5三桂成~
△3五銀~▲5六角~△4四金~下図57手目▲3七桂。。
57手目▲3四桂。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 歩
△阿久津八段: 角、歩3
先手の桂得でいざ、開戦となると
斎藤七段の指し手がしなやかに伸びて
鮮やかに、攻防の主導権握りました。。
73手目▲6一成桂。
上図での持ち駒
▲斎藤七段: 金、歩
△阿久津八段: 角、香、歩2
一方、意欲的な構想も不発に終り
形勢を大きく損ねた阿久津八段は、頼みの綱の
飛車先から小駒を駆使して必死に食らいつきますが
斎藤七段は構うことなく、確信の寄せに出ました。。
【 投了図・77手目▲5ニ「と」金 】
投了図での持ち駒
▲斎藤七段: 金、歩
△阿久津八段: 飛、角、桂、香、歩2
上図の局面をみて
阿久津八段は万策尽き果て、無念の投了。。
難解な力将棋を自分のペースで指し切った
斎藤七段が、見事勝利をを飾りました。。
順位戦成績を8勝3敗とした斎藤七段に対して
昇級を争うライバル達がことごとく、12回戦を落とし
この結果、斎藤七段のA級昇級が最終戦を待たずに
一気に決定しました。。
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来週の火曜日(18日)
羽生九段と藤井七段の対局が実現。。