開戦間近の熟考。。第３２期竜王戦７番勝負/第３局・一日目「豊島名人、大長考の封じ手」
初防衛を目指す広瀬章人竜王に
豊島将之名人が挑戦する、第３２期竜王戦７番勝負。
ここまで２局を消化し、豊島名人が圧巻の２連勝。
早くもシリーズの流れを決めかねない、正念場の第３局が
本日より、兵庫県神戸市「神戸ポートピアホテル」にて
開幕の時を迎えました。。
第３局の先手は豊島名人。
その初手は飛車先を突く▲２六歩から。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： なし
対します、広瀬竜王も
２手目に同じく飛車先を突く、△８四歩と返し
互いに居飛車を明示して、対局はスタート。。
７手目▲６八銀。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： なし
そのまま「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、豊島名人は銀を６筋に繰り上げ
後手から角交換、あるいは角交換拒否に備えますが。。
８手目△３ニ金。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： なし
広瀬竜王はほんの１分の少考の後
角を換えるでも、角交換を拒否するでもなく
金を３筋に上げ、手番を先手に渡しました。。
この手に対し、豊島名人がノータイムで
▲７八金（９手目）と返し、再び手番を渡すと。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： 角
広瀬竜王はこのタイミングで角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
２４手目△６三銀。
上図での持ち駒
▲豊島名人： 角
△広瀬竜王： 角
角交換成立後
両者は早いテンポで息を合わせて指し進み
銀の中央進出を目指しますが。。
３１手目▲４八金。
上図での持ち駒
▲豊島名人： 角
△広瀬竜王： 角
銀の形を決める前に
自陣の駒組みを進めるのが、現代流「角換わり」
上図でまずは豊島名人が金を立て、最新形である
「▲６八玉＋４八金＋２九飛」型を完成しました。。
３４手目△７ニ金。
上図での持ち駒
▲豊島名人： 角
△広瀬竜王： 角
一方の広瀬竜王は、先手に追随せずに金を７筋に上げ
同じく最新形の「△４ニ玉＋７ニ金＋８一飛」型に構えました。。
しかし、自陣の駒組みが完成したところで
次に両者は銀を中央５筋の戦場へと繰り出し、戦型が
おなじみの「角換わり相腰掛け銀」に決定すると。。
３８手目△６ニ金。
上図での持ち駒
▲豊島名人： 角
△広瀬竜王： 角
豊島名人が玉の囲いを目指したのをみて（３７手目▲７九玉）
広瀬竜王は７筋に構えたばかりの金を手損覚悟で６筋に寄せ
陣形を保ちながら相手の仕掛けを待ちます。。
４６手目△３一玉。
上図での持ち駒
▲豊島名人： 角
△広瀬竜王： 角
豊島名人は仕掛けを急がず
手堅く玉の「入城」を完了してから（４１手目▲８八銀）
「腰掛銀」を自陣に引き戻し、「矢倉囲い」を完成しました。。
先手の駒組みに対して、広瀬竜王も
自陣を広げてから、まずは玉の囲いを目指しますが
次の瞬間。。
４７手目▲４五歩。
上図での持ち駒
▲豊島名人： 角
△広瀬竜王： 角
豊島名人は４筋の歩を突き合せ
桂馬の利き先から仕掛けを開始しました。。
広瀬竜王はすぐには同歩と取り込まずに
飛車を争点の４筋に合わせて（４８手目△４一飛）
以下、▲５九飛～△４五歩～▲５五歩～△４三銀～▲８三角～
△６三角～▲７五歩～△同歩に下図５７手目△５六角成と進行。。
５７手目▲５六角成。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： 歩２
互いに角を再投入し
豊島名人が飛車先で馬を作った、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のオーダー 】
豊島名人： 特上にぎり、お茶
広瀬竜王： 神戸牛もも肉のステーキ重 ぼっかけと温玉のせ
６１手目▲５七金。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： 歩２
お昼休憩を挟んで、盤上は落ち着きを取り戻し
午後の対局はまず、双方自陣の再整備に取り掛かり
広瀬竜王が玉の「入城」を果たすと（６０手目△２ニ玉）
豊島名人は金を囲いに連結し、飛車先を開きました。。
すると、広瀬竜王は８分の考慮の後
「入城」を果たしたばかりの金を７筋に引き戻し
再び手損覚悟で間合いを計ります（６２手目△３一玉）。。
手番を渡された豊島名人は
ここが勝負どころと手を止め、長考に入ります。。
考えること
５８分にも及んだ長考の末に。。
６３手目▲１五歩。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： 歩２
１筋の端歩を突き合せ
豊島名人は再び、攻勢に転じました。。
広瀬竜王はすぐに△同歩と応じて
以下、▲同香～△同香に▲１四歩をみて
下図６８手目△１七香成と進行。。
６８手目△１七香成。
上図での持ち駒
▲豊島名人： なし
△広瀬竜王： 香、歩３
香車を捨てて得た貴重な一歩で桂馬を取りに出た
豊島名人に対して、広瀬竜王が１筋の香車を成り込んだ
上図の局面で終了時刻（午後６時）となり、豊島名人が
そのまま次の手を封じて、一日目は終了となりました。
豊島名人がこの「封じ手」に
費やした考慮時間は、実に１時間と５９分。。
本格開戦を目前に控え、両者の読みが盤上で交錯。
決着の明日二日目は開始直後から目が離せません。。
□□□
舞台は港町・神戸
