第90期棋聖戦5番勝負/第4局「渡辺ニ冠の攻勢強く、極限のねじり合いへ」
初防衛を目指す豊島将之棋聖に
渡辺明二冠が挑戦する、第90期棋聖戦5番勝負。
ここまで3局を消化し、渡辺ニ冠が2勝1敗とリード。
タイトル奪取に王手をかけて迎えた大一番/第4局が
本日、新潟県新潟市「高島屋」にて開幕。。
第4局の先手は豊島棋聖。
カド番でもう後のない本局の初手は
普段通りに飛車先を突く▲2六歩から。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
対します、渡辺ニ冠は2手目に
△3四歩と角道を開き、対局はスタート。。
4手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
続く3手目に、豊島棋聖が角道を開くと
渡辺ニ冠はノータイムで4筋の歩を突き
角交換を拒みました。。
7手目▲6八玉。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
渡辺ニ冠の趣向に対し
豊島棋聖は早めに居玉を解除すると。。
15手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
右の銀を中央5筋の戦場へと繰り出し
「腰掛銀」に構え、後手の出方をうかがいます。。
20手目△5三銀。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
渡辺ニ冠の作戦は「雁木」
居玉のまま、上図で二枚の銀を自陣三段目に
並べて構えました。。
26手目△3三角。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
渡辺ニ冠は二枚銀を中心に駒を連結。。
従来の「雁木」では右四間に構えるパターンもありますが
本局では先に飛車先を決めており、居飛車はすでに確定。。
策士・渡辺ニ冠の趣向の駒組みは続きます。。
不穏な進行をみせる後手に対して
豊島棋聖は上図から次に、角を6筋の戦場まで迫り出し
自陣に空気をいれつつ、仕掛けへの弾みをつけると。。
(27手目▲6六角)
28手目△3一玉。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
渡辺ニ冠は3分の少考で
玉を3筋に引き下げ、先手の仕掛けに備えます。。
この手をみて
豊島棋聖は、6分の考慮の後。。
29手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: なし
ケレン味なく、4筋の歩を突き合わせ
堂々と仕掛けを開始しました。。
渡辺ニ冠は32分の長考の後、同歩とは応じずに
ジッと金を4筋に寄せて(30手目△4ニ金右)、以下
▲4四歩~△同銀右~▲2四歩~△同歩~▲2五歩に
△5五歩~▲2四歩をみて、下図38手目△2ニ歩と進行。。
38手目△2ニ歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 歩
△渡辺ニ冠: 歩
先手の仕掛けを受けながら
渡辺ニ冠は機をみて5筋の歩を突き出してから
先手の飛車先2筋を自陣低くで受けた、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。
【 お昼のメニュー】
豊島棋聖: ハンバーグセット
渡辺ニ冠: ざるそばとかき揚げ
39手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: 歩
午後の対局開始の一手で
豊島棋聖は歩を突き立てられた銀を逃げずに
自らの4筋に歩を立て、渡辺銀の頭上を叩きます。。
以下、△5六歩~▲4四歩~△同角と進行。。
銀を取り合い、互いの角が直接相対峙すると。。
43手目▲5五銀。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: 銀、歩2
豊島棋聖はノータイムで
手にした銀を天王山・5筋の位に投入し
角交換を拒みました。。
この手をみて、渡辺ニ冠は。。
44手目△7一角。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: なし
△渡辺ニ冠: 銀、歩2
34分の長考で気息を整えてから
角を反対サイドの7筋へと引き下げました。。
次に、豊島棋聖が
5筋の歩を取り込むと(45手目▲5六歩)
局面は落ち着き、両者は模様を微調整し
来るべき開戦へ間合いを計ります。。
54手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 歩
△渡辺ニ冠: 銀
先に仕掛けたのは、豊島棋聖。
後手が桂馬を跳ねたのをみて(52手目△7三桂)
すかさず、7筋の歩を突き合わせました。。
(53手目▲7五歩)
この手に対し、渡辺ニ冠は
構うことなく飛車先8筋から突っかけます。。
豊島棋聖も我が道を行き、7筋の歩を取り込んで(55手目▲7四歩)
以下、△8七歩成~▲7三歩成~△8八銀~▲6八玉~△7八「と」金~
▲同金~△7七銀不成~▲同金~△8八飛成に、▲7八銀をみて
下図66手目△7九銀と疾風怒濤の進行に。。
66手目△7九銀。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 桂、歩3
△渡辺ニ冠: 桂、歩
渡辺ニ冠は流れるような駒捌きで
飛車先突破に成功し、激しく先手玉へと迫ります。。
81手目▲8七金。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 桂、歩4
△渡辺ニ冠: 桂、歩
カド番でもう後のない豊島ニ冠は簡単には土俵を割らず。。
巧みな受けで8筋の主導権を握ると、自らの飛車を成り込み
ギリギリで形勢を保ちながら、来るべくチャンスを待ちます。。
が、しかし。。
89手目▲4九歩。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 桂、歩2
△渡辺ニ冠: なし
渡辺ニ冠の攻勢は止まらず。。
グイグイと手が伸び、先手玉へと執拗に絡みつき
豊島棋聖に反撃の暇を与えません。。
93手目▲5三桂。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 歩
△渡辺ニ冠: 歩
緊迫の攻防に、双方持ち時間も少なくなる中
何とか手番を稼いだ豊島棋聖が、上図でついに
反撃の狼煙を上げますが。。
94手目△6九歩成。
上図での持ち駒
▲豊島棋聖: 歩
△渡辺ニ冠: 歩
渡辺ニ冠は受けには回らず
6筋の歩を成り込み、勝負を決めに出ました。。
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大一番は新潟決戦
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囲碁界では新たな歴史の第一歩