冴え渡る、伝家の宝刀。。第32期竜王戦2組昇級/2回戦「藤井九段-阿久津八段を振り返ろう」
今回は久しぶりに「四間のカリスマ」
藤井猛九段の対局の模様をご紹介させていただきます。
2手目△8四飛。
上図の持ち駒
▲藤井九段: なし
△阿久津八段: なし
舞台は第32期竜王戦の2組昇級者決定トーナメント。
水曜日(19日)に阿久津主税八段と2回戦を戦いました。。
先手は藤井九段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、阿久津八段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返して居飛車を明示し対局はスタート。。
対抗形模様の出だしから、次に。。
3手目▲1六歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△阿久津八段: なし
不急のはずの1筋の端歩を突き
自らが開発した現代将棋の偉大なる金字塔
「藤井システム」発動を明示します。。
7手目▲6八飛。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△阿久津八段: なし
先手の端歩の打診に対して
阿久津八段が受けずに角道を開いたのをみて(4手目△3四歩)
藤井九段はすかさず6筋の歩を突き、角の交換を拒んでから
飛車を6筋へと振り、代名詞の「四間飛車」に構えました。
27手目▲6五歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△阿久津八段: なし
藤井九段は「藤井システム」の特徴の一つである
居玉のまま駒組みを進め、右の桂馬を跳躍してから
上図で6筋の位を取りつつ、角道をオープンに。。
32手目△1ニ香。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△阿久津八段: なし
本家本元による魅惑のシステム発動に対し
阿久津八段は敢えて、蛇とカエルの関係にある
「穴熊」を目指しますが、1筋の香車を一段上げ
玉を収める準備に取り掛かった、次の瞬間。。
33手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: なし
△阿久津八段: なし
藤井九段は空の2筋で歩を突き合わせ
このタイミングで、仕掛けを開始しました。。
それでも、阿久津八段は構うことなく
玉を「穴熊」におさめて(34手目△1一玉)、以下
▲2四歩~△2ニ銀~▲5六銀左~△2四角に▲4五歩~
△2三歩~▲6四歩~△同歩~下図43手目▲3五歩と進行。。
43手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 歩
△阿久津八段: 歩
藤井九段はテンポ良く歩を突き合わせ
心地よいリズムに身を委ねつつタイミングを計ると。。
49手目▲1三歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 歩
△阿久津八段: 歩2
まずは敵将が眠る敵陣1筋を乱してから。。
55手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 歩
△阿久津八段: 歩5
「藤井システム」の象徴である
右の桂馬を上図で気持ちよく戦場へと跳ね上げ
残酷にして爽やかに、いざ開戦を告げました。。
67手目▲6九金打。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 歩
△阿久津八段: 歩6
華麗な崩しでペースを握った藤井九段は
阿久津八段が飛車を成り込み反撃に転じると
桂馬との交換で手にした金を自陣に打ち込み
惜しげもなく受け駒に投入。。
79手目▲1三桂成。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 飛、金、桂、香、歩
△阿久津八段: 飛、角、歩6
飛車を含んだ二枚替えで後手の反撃を凌いだ
藤井九段は洗練された序・中盤の指し回しから一転
どこまでも泥臭く、一生懸命相手の駒を剥がして行く
「我自我自」流の終盤術で敵陣に食らいつきます。。
97手目▲2ニ歩。
上図での持ち駒
▲藤井九段: 金、歩
△阿久津八段: 飛、角、銀、歩5
阿久津八段は水際で踏ん張りますが、しかし
藤井九段の厳しい寄せの前に玉の稼動域を奪われ
ジリジリと追い詰められる、苦しい展開となりました。。
【 投了図・125手目▲2四銀 】
投了図での持ち駒
▲藤井九段: 金、銀、歩
△阿久津八段: 角、金、銀、桂、歩6
阿久津八段は玉の上部脱出に全てを託しますが
攻守に手が伸びる藤井九段は許さず、上図の局面で
阿久津八段はついに力尽き、無念の投了を告げました。
「藤井システム」の魅力と威力をあらためてみせつけ
藤井九段がトーナメント/準決勝へ駒を進めました。。
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注目の名古屋決戦は渡辺ニ冠に軍配。。