大熱戦。。第７８期Ａ級順位戦/１回戦「三浦九段－糸谷八段を振り返ろう」
棋聖戦/第２局の余韻もまだ残りますが、今回は
同じく昨日行なわれました第７８期Ａ級順位戦の１回戦
注目の「三浦弘行九段－糸谷哲郎八段」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
本局の先手は糸谷八段。
その初手は居飛車党の誇りを示す▲２六歩から。
対します、生粋の居飛車党・三浦九段も２手目に同じく
飛車先を突く△８四歩と返し、対局はスタート。
９手目▲６八銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
まずは相居飛車が確定すると
早いテンポで「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図で糸谷八段は銀を６筋に上げ、後手からの角交換
あるいは角交換拒否に備えます。。
この手に対し、三浦九段は。。
１０手目△４四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
決めていた作戦と、ノータイムで
４筋の歩を突き角交換を拒否しました。。
２０手目△７四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
角交換拒否は糸谷八段にとっても想定内。。
両者は居玉のまま、早いテンポで駒組みを進め
上図の局面で、三浦九段は飛車のコビンを開き
急戦投入を示唆しました。。
２４手目△４一玉。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
しかし、糸谷八段が挑発に乗らず
自らの角道を止めて穏かな進行を目指すと（２３手目▲６六歩）
三浦九段も歩調を合わせまずは居玉を解除し、以降しばらくは
双方、自陣の駒組みに没頭する展開となりました。。
３５手目▲７九玉。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
午前の対局は上図３５手目まで進行。
糸谷八段がで玉の囲いに目処を立てた局面で
お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
糸谷八段： 豚ロース肉のしょうが焼き
三浦九段： バターライス
３７手目▲４八飛。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
午後の対局開始の一手で
三浦九段が桂馬を跳ねると（３６手目△７三桂）
糸谷八段はすかさず、飛車を狙いの４筋へと振り
争点で力を溜めたかに思われましたが。。
５７手目▲２九飛。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
そこから局面は膠着。。
互いにパスを繰り返し、仕掛けどころを探る
「千日手」含みの神経質な展開が長らく続きます。。
６３手目▲４五歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
先に仕掛けたのは、糸谷八段。
盤上の重苦しい空気を打破すべく上図の局面で
桂馬の利きが重なる４筋から突っかけました。
この手をみて
三浦九段は手と止め長考に耽ります。。
６４手目△６五歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： なし
三浦九段は４４分の長考の末に
同じく桂馬の利きが重なる６筋の歩を突き合わせ
妥協なく攻め合いを目指しました。。
ジワジワと開戦への機運が高まる中、次に
糸谷八段が６分の考慮で、自陣に引き下げた「腰掛銀」を再び
５筋の戦場へと繰り出し、攻防に備えたのをみて（６５手目▲５六銀）
三浦九段は飛車を争点の６筋に合わせます（６６手目△６一飛）。。
この手に対し、糸谷八段は１０分の考慮で
堂々と６筋の歩を取り込むと（６７手目▲６五歩）。。
６８手目△６五桂。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： 歩
△三浦九段： 歩
三浦九段はノータイムで桂馬を飛車先に跳躍。
いよいよ、戦いの火ぶたが切って落とされました。。
糸谷八段は当りの角を６筋にかわして（６９手目▲６六角）
以下、△７五歩～▲４四歩～△同銀右～▲２四歩～△同角～
▲６ニ歩～△同飛～▲４五歩～△５五銀～▲同銀～△同歩に
下図８１手目▲５一銀と進行。。
８１手目▲５一銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： 銀、歩４
後手の仕掛けを呼び込んだ形の
糸谷八段はすぐに反発、上図で銀を割り打ち
さらに追撃します。。
なお、手順中の△７五歩（７０手目）の局面で
夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
糸谷八段： CoCo壱番屋のチキンカツカレー
三浦九段： 親なん定食
本局の舞台はココイチでおなじみ
糸谷八段のホームとなります、関西将棋会館にて。。
８８手目△７六歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： 金、桂
△三浦九段： 銀２、桂、歩５
しかし、三浦九段も黙ってはおらず
自陣に飛び込んできた銀を金との交換で角で払うと
続けて桂交換を成立させ、畳み掛けます。。
９７手目▲６六桂。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： なし
△三浦九段： 銀２、歩５
一進一退の攻防戦は
上図で糸谷八段は銀取りに構わず飛車取りへ。。
三浦九段も飛車は逃げずに銀を捕獲し（９８手目△７六桂）
熱き最終盤戦へと突入します（９９手目▲５四桂）。。
１０５手目▲２四飛。
上図での持ち駒
▲糸谷八段： 飛、金、桂
△三浦九段： 金、銀３、歩７
飛車を剥がして意気あがる糸谷八段は
上図でオリジナルの飛車を切り、角を捕獲。。
自慢の豪腕振りかざし、勝負を決めに行きます。
【 投了図・１３１手目▲２三歩 】
投了図での持ち駒
▲糸谷八段： 飛、銀
△三浦九段： 角、金、銀２、桂２、歩４
糸谷八段の迫力ある寄せの前に
三浦九段は為す術なく、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。
終局時刻は午後１０時２６分。
糸谷八段がリハリの利いた名勝負を見事に制し
Ａ級の開幕戦を白星で飾りました。。
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注目の名古屋決戦は渡辺ニ冠に軍配。。
