第７７期名人戦７番勝負/第２局「名人の踏み込むも動じず、豊島ニ冠優勢の終盤戦へ」
４連覇を目指す佐藤天彦名人に
豊島将之ニ冠が挑戦する、第７７期名人戦７番勝負。
開幕戦を豊島ニ冠が制して迎えた注目の第２局が
昨日より、山口県は萩市「松陰神社 立志殿」にて
運命の幕を開きました。。
第２局の先手は豊島ニ冠。
開幕連勝スタートを狙う本局の初手は
飛車先を突く▲２六歩から。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： なし
△佐藤名人： なし
対します、連敗スタートは何としても避けない
佐藤名人も２手目△８四歩と同じく飛車先を突き
対局はスタートとなりました。。
４手目△８五歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： なし
△佐藤名人： なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなると。。
９手目▲６八銀。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： なし
△佐藤名人： なし
そこから「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、豊島ニ冠は銀を６筋に繰り上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： なし
△佐藤名人： 角
佐藤名人は１分の少考で角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
１８手目△７四歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 角
△佐藤名人： 角
角交換成立後、豊島ニ冠は４筋の歩を突き
「ノーマル角換わり」の常套手段「腰掛銀」を目指します。。
（１７手目▲４六歩）
一方の佐藤名人は、上図で飛車のコビンを開き
「早繰り銀」と「棒銀」を含みとしますが。。
２８手目△６三銀。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 角
△佐藤名人： 角
歩を突いた７筋には桂馬を跳ねると
佐藤名人は端歩の打診を手抜いて（２７手目▲９六歩）
銀を６筋に立て、先手と同じく「腰掛銀」を目指します。。
この手をみて、豊島ニ冠は。。
２９手目▲９五歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 角
△佐藤名人： 角
ほんの２分の少考で
９筋の歩を突き越し、端の位を確保しました。。
３２手目△６ニ金。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 角
△佐藤名人： 角
両者は銀を自陣に留めたまま駒組みを進め
上図で佐藤名人は金を立てて、最新形である
「△４ニ玉＋６ニ金＋８一飛」型を完成しました。。
３６手目△６四角。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 角
△佐藤名人： なし
一方、豊島ニ冠は玉を７筋に構え（３３手目▲７九玉）
「入城」の目処を立ててから、右の桂馬を跳躍させて
攻守に隙なく、力を溜めました。。
この間に、６筋の歩を突いた（３４手目△６五歩）
佐藤名人は手持ちの角を投入し、形を決めます。。
３９手目▲１七角。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： なし
△佐藤名人： なし
すると、ほどなくして豊島ニ冠も角を投入。
１筋の端から、敵陣に浮いた金を遠見に狙います。。
この手に対し
佐藤名人は玉を寄せて（４０手目▲５ニ玉）
狙われた金を守ると。。
４１手目▲３五歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： なし
△佐藤名人： なし
豊島ニ冠は３分の少考の後
３筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始しました。
【 一日目終了図・５２手目△３三歩 】
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩２
△佐藤名人： 歩
互いに角を使って歩交換を成立させると
佐藤名人が３筋に歩を打ちキズを消した、上図の局面で
豊島ニ冠が次の手を封じて、一日目は終了となりました。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目は。。
５３手目▲５六歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩２
△佐藤名人： 歩
注目の豊島ニ冠の「封じ手」は▲５六歩。
まずは中央の歩を突き出して、二日目がスタート。。
５４手目△７五歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩２
△佐藤名人： なし
この「封じ手」は想定の範囲内だったか
佐藤名人は程よく８分の考慮で気息を整えてから
狙いの一着、△７五歩を投入しました。。
先の攻防を睨んだ名人の手を前にして
豊島ニ冠の手が止まり、早くも長考に入ります。。
５５手目▲５七金。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩２
△佐藤名人： なし
１時間３５分にも及んだ大長考の末に
豊島ニ冠は歩を突いた５筋に金を立てて
自陣の上部を厚くしました。。
ここで手番の佐藤名人は、次に。。
５６手目△９四歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩２
△佐藤名人： なし
２３分の考慮の後
先手が突き越した９筋で歩を突き合わせ
端から火の手を上げました。。
５９手目▲８八銀。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩３
△佐藤名人： なし
豊島ニ冠が▲同歩（５７手目）と取り込むと
佐藤名人はすかさず７筋の歩を突き出し畳み掛けます。
（５８手目△７六歩）
たまらず、豊島ニ冠が
狙われた銀を８筋に引き下げた、上図の局面で
午前の対局は終了、お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
豊島ニ冠
うな重、温かいお茶、夏みかんジュース
佐藤名人
インド風スパイシー長州鶏カレー（萩暦）、りんごジュース
午後の対局開始となっても
佐藤名人はすぐには指さずに、しばしの考慮を重ねます。
午前と合わせて
１時間１３分にも及んだ大長考で、入念に
読みを入れ直してから。。
６０手目△８六歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 歩３
△佐藤名人： なし
佐藤名人は飛車先８筋で歩を突き合わせ
ここが攻め時、勝負どころとさらに攻勢を強めます。。
豊島ニ冠はノータイムで、▲同歩（６１手目）と応じて
以下、△同飛に▲６八玉～△４五銀～▲同歩～△２八角成～
▲７九飛～△６六歩～▲同歩をみて、下図７０手目△８一飛と進行。。
７０手目△８一飛。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 銀、歩５
△佐藤名人： 桂、歩
トントン拍子の歩の突き捨てで勢いを加速した
佐藤名人は銀との交換で桂馬を食いちぎってから
角を先手陣へと飛び込ませ、馬を作りました。。
しかし、大暴れも一段落と
名人が飛車を自陣に引き下げた、次の瞬間。。
７１手目▲９三歩成。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 銀、歩５
△佐藤名人： 桂、歩
豊島ニ冠は、怯むことなく
９筋の歩を成り込み、反撃の狼煙を上げました。。
７６手目△２七馬。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 銀、歩５
△佐藤名人： なし
盤上に熱風が駆け抜け、周囲がざわつく中。。
佐藤名人は桂馬で金・桂両取りを懸けてから
自らを鼓舞するように、先手の角に馬を当て
「かかって来い！」とけしかけました。。
７７手目▲６ニ角成。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 金、銀、歩５
△佐藤名人： なし
劣勢を意識する名人の胸中など、関係ないと
豊島ニ冠は迷いなく、敵陣に角を飛び込ませて
迫力満点、勝負を決めに出ました。。
８０手目△３一飛。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠： 金、銀、歩５
△佐藤名人： 角
ジワリと寄せに入った豊島ニ冠に対して
佐藤名人が狙われた飛車を３筋に逃がした
上図の局面で、夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
形勢は、先手優勢。。
果たして、佐藤名人の切り返しはあるのか。。
名人戦/第２局のクライマックスが迫ります。。
□□□
名人戦/第２局・一日目の所感
□□□
注目の東京決戦の結末は。。
