相性抜群。。第90期棋聖戦・二次予選/2回戦「郷田九段-糸谷八段を振り返ろう」
今回は昨日行なわれました異色の好カード
第90期棋聖戦・二次予選/2回戦を舞台に実現した
「郷田真隆九段-糸谷哲郎八段」の模様を振り返ります。
郷田九段の今期ここまでの成績は
39戦25勝14敗(.641)。順位戦はB級1組で6勝4敗。
「羽生世代」を代表する棋士のひとりで
現代将棋界が誇る居飛車の本格正統派である郷田九段は
妥協なき踏み込みと、粘りの利いた終盤の二枚腰を武器に
目の肥えた将棋ファンから絶大な信頼と人気を誇ります。
対します、糸谷八段の今期ここまでの成績は
33戦19勝14敗(.576)。順位戦はA級で6勝3敗。
大阪大学文学部卒業の文学修士
将棋界切ってのインテリ棋士である糸谷八段ですが
その将棋は大胆な構想を持ち味とする力戦派。
序盤、中盤を早見え早指しでパワフルに突き進むと
終盤は自慢の豪腕が唸りを上げて強豪を撃沈してきた
西の怪童は世代交代が進む将棋界の中心に身を置きます。
世代も棋風も異なる両者はの対戦成績は
ここまで10戦して、5勝5敗と全くのイーブン。。
しかし、このところは郷田九段が4連勝と指し込み
本局の対戦を迎えました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△郷田九段: なし
先手は糸谷八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、郷田九段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△郷田九段: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなると。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△郷田九段: なし
そこから「角換わり」を目指す定跡手順の進行へ。
糸谷八段は銀を6筋に上げて、後手からの角交換
あるいは角交換拒否に備えた、上図から次に。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: なし
△郷田九段: 角
郷田九段は角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
20手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
角交換成立後、郷田九段は居玉のまま銀を6筋に繰り上げ
「ノーマル角換わり」の常套手段である「腰掛銀」を目指します。
27手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
一方の糸谷八段は銀の態度を明かさず駒組みを進行。
しかし、両サイドの端歩を突き合ってから桂馬を跳ねると
次に、郷田九段の△7四歩(28手目)をみて。。
29手目▲4六銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
スッと銀を4筋に立て
後手と同じく「腰掛銀」模様の駒組みとなりました。。
33手目▲2九飛。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
しかし、銀の形を決める前に
両者は自陣の駒組みを進め、上図で糸谷八段は
最新形の「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成。。
この手に対し、郷田九段は。。
34手目△7ニ金。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
金を6筋ではなく7筋に上げて、同じく最新形の
「△4ニ玉+7ニ金+8一飛」型を完成しました。。
双方、自陣の駒が組み上がったところで
糸谷八段が「腰掛銀」に形を決めたのをみて。。
(35手目▲5六銀)
36手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
先手に追随せず
機敏に6筋の歩を突き出し位を取りました。
趣向の一手にも動じることなく
糸谷八段が次に囲いを目指すと(37手目▲7九玉)。。
38手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: 角
一手間かけた郷田九段は、ここで銀を5筋に繰り出し
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定。。
40手目△6四角。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: なし
糸谷八段が争点の6筋に飛車を合わせると
郷田九段も手持ちの角を同じく6筋へと投入。。
互いに形を決めた上図から、次に。。
41手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角
△郷田九段: なし
糸谷八段は飛車先で歩をぶつけ
そのまま争点から仕掛けを開始しました。。
郷田九段は△同歩(42手目)と応じて、以下
▲同銀~△4四銀~▲4五歩~△8六歩~▲同歩~
△5五銀左~▲7七銀~△6五歩~▲5五銀~△同角~
▲6七歩~△6四角~▲2九飛に下図56手目▲4六銀と進行。。
56手目△4六銀。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 角、銀、歩
△郷田九段: なし
先手の仕掛けに対して
郷田九段は受けには回らず、即座に反撃に転じ
そのままグングンと攻勢を強めます。。
後手の手強い反発を前に
糸谷八段は手持ちの角を2筋に投入(57手目▲2六角)。
攻守に利かせて臨戦態勢を整えますが。。
しかし
62手目△3七角成。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 銀2、歩
△郷田九段: 角、桂
郷田九段の勢いは止まらず。。
切れ味鋭く駒を捌いて、敵陣で角交換を成立させると。。
74手目△7七桂成。
上図での持ち駒
▲糸谷八段: 銀、歩
△郷田九段: 銀
郷田九段は上空から雨あられの猛攻で畳掛け
糸谷八段に反撃の暇を与えず、一方的に攻め立てます。。
【 投了図・96手目△8六金 】
投了図での持ち駒
▲糸谷八段: 角、銀4、桂、歩3
△郷田九段: 歩3
防戦一方の展開に、さすがの糸谷八段も打つ手なし。。
郷田九段が最後まで気持ちよく攻め続け、上図の局面で
糸谷八段は為す術なく、無念の投了を告げました。。
新時代の主役のひとりである糸谷八段を圧倒。。
会心の勝利を飾った郷田九段は存在感を存分に示し
二次予選/決勝へと駒を進めました。。
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王将戦/第3局終局直後の感想
王将戦/第1局一日目の所感
勝負の第3局、舞台は栃木県
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王将戦/第2局終局直後の印象
王将戦/第2局・一日目の所感
王将戦/第2局は大阪決戦
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