豪腕閃光、独走態勢に。。第77期B級1組順位戦/8回戦「渡辺棋王ー谷川九段を振り返ろう」
今回は先週の木曜日(1日)に行なわれました
「鬼の棲みか」第77期B級1組順位戦/8回戦の中から
「渡辺明棋王-谷川浩司九段」のビッグカードも模様を
振り返らせていただきます。。
渡辺棋王の今期ここまでの成績は
21戦14勝7敗(.667)。順位戦は開幕から無傷の6連勝中。
一期でのA級復帰へ視界も良好に、本局を迎えました。
対します、谷川九段の今期ここまでの成績は
26戦16勝10敗(.615)。順位戦は4勝3敗。
今期開幕から切れ味鋭い将棋で好調をキープする
谷川九段は稲葉陽八段を一蹴した、NHK杯も含めて
公式戦5連勝とさらに勢いを加速し、本局に臨みます。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで17戦して、渡辺棋王が11勝6敗とリード。
2012年から渡辺期王が5連勝中と指し込みます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△谷川九段: なし
本局の先手は渡辺棋王。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、谷川九段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、注目の対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△谷川九段: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなると。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△谷川九段: なし
そこから「角換わり」の定跡手順へと進行。。
渡辺棋王は銀を6筋に上げ、後手からの角交換
あるいは角交換拒否に備えます。。
この手をみて、谷川九段は。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△谷川九段: 角
1分の少考の後、角交換を敢行。
もはやすっかりおなじみとなった序盤の進行から
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
20手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△谷川九段: 角
角交換成立後
両者は攻撃の銀を中央へと繰り出す動きをみせ
「ノーマル角換わり」の常套手段「腰掛銀」を目指します。
30手目△6ニ金。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△谷川九段: 角
しかし、双方すぐには銀の形を決めず
同形模様の進行で自陣の駒組みを進めます。。
渡辺棋王が「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成すれば
谷川九段も「△4ニ玉+6ニ金+8一飛」型に駒を組み上げ
最先端の模様が盤上に描き出されました。。
35手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△谷川九段: 角
午前の対局は上図35手目まで進行。
両サイドの端歩を丁寧に突き合ってから
渡辺棋王が6筋の歩を突いた局面で
昼食休憩に突入。。
【 お昼のオーダー 】
渡辺棋王: ハンバーグダブル
谷川九段: 親子丼・冷そばセット
午後の対局開始となっても
手と止め、長考に耽った谷川九段は
午前と合わせて48分の長考の末に。。
36手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△谷川九段: 角
6筋の歩を突き合わせ
このタイミングでの仕掛けを決断しました。。
渡辺棋王は18分の考慮で▲同歩(37手目)と応じて
以下、△同桂~▲8八銀に△8四角~▲5六銀~△5四銀に
下図43手目▲6四歩と進行。。
43手目▲6四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△谷川九段: 歩
6筋で歩交換成立の流れで桂馬を跳ねた
谷川九段が飛車先8筋に手持ちの角を投入すると
渡辺棋王は素通しの玉頭はそのままに、嫌らしく
6筋に歩を垂らし、拠点を作りました。。
この手に対し、谷川九段は
飛車を6筋へと振り、歩を払いに行きます。。
(44手目△6一飛)
52手目△6五銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△谷川九段: 桂、歩2
6筋の歩を飛車で弾き飛ばした
谷川九段はそのまま6筋を起点に圧力をかけますが
その間に、実践的に玉頭を手厚くした渡辺棋王は。。
53手目▲5五角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△谷川九段: 桂、歩2
手持ちの角を天王山・5筋の位に機敏に投入。。
前に出た後手の飛車に当てつつ、反撃に転じます。。
すると。。
69手目▲8四馬。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、香、歩
△谷川九段: 銀2、桂、歩
電光石火で作った馬を大暴れさせながら
渡辺棋王の手が猛烈にしなり、盤上を支配します。。
88手目△7四銀打。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、香、歩
△谷川九段: 金、桂、歩4
先手の暴れ馬に手を焼きながらも
谷川九段は粘り強く凌ぎ、反撃の時を待ちますが。。
【 投了図・107手目▲7三銀打 】
投了図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩2
△谷川九段: 角、桂2、歩3
馬を切った仕上げに入った
渡辺棋王の厳しい寄せの前に、さすがの谷川九段も
為す術を失くし、上図の局面で無念の投了を告げました。
終局時刻は午後10時16分。
見事な勝利を飾った渡辺棋王はこれで順位戦7連勝。
一方、敗れた谷川九段は4勝4敗となりました。。
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竜王戦/第3局終局直後の感想。。
竜王戦/第3局・一日目の所感。。
舞台は「鹿島神宮」
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王座戦に決着。。
決戦の舞台は山梨