華麗なバースデー勝利。。第89期棋聖戦・二次予選/1回戦「谷川九段-澤田六段を振り返ろう」
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲谷川九段: なし
△澤田六段: なし
大詰めを迎える第67期王将戦挑戦者決定リーグの
最終戦・一斉対局で大いに盛り上がる本日の将棋界ですが
今回は同じく本日、関西将棋会館にて行なわれた注目カード
「谷川浩司九段-澤田真吾六段」の模様を振り返ります。。
先手は谷川九段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、澤田六段も2手目に同じく角道を開く
△3四歩と返して、対局はスタート。。
続く3手目に
谷川九段が▲2六歩と飛車先を突き
居飛車を明示すると。。
4手目△5四歩。
上図での持ち駒
▲谷川九段: なし
△澤田六段: なし
澤田六段は中央5筋の歩を突いて
振り飛車投入を示唆しました。。
6手目△5ニ飛。
上図での持ち駒
▲谷川九段: なし
△澤田六段: なし
後手の趣向に対し
谷川九段はすぐに飛車先を決め(5手目▲2五歩)
作戦の明示を急かすと、澤田六段は飛車に手をかけ
歩を突いた5筋へと振り、「ゴキゲン中飛車」を投入。。
個性派のみが名を連ねる
森信雄七段門下の秘蔵っ子・澤田六段ももちろん
枠にとらわれない力戦派で、基本は居飛車ながらも
本局では順位戦でも採用した中飛車で勝負します。。
16手目△8ニ玉。
▲谷川九段: なし
△澤田六段: なし
一方、居飛車で迎え撃つ谷川九段は
玉を6八の地点に保留したまま銀を足早に繰り上げる
「ゴキ中」対策の決定版「超速▲3七銀」を採用。。
4筋の戦場に銀を構えた後手に対して
澤田六段は追随することなく、自らの銀を待機させ
先に玉の囲いを目指します。。
22手目△2ニ角。
上図での持ち駒
▲谷川九段: なし
△澤田六段: なし
しかし、谷川九段が頭の丸い角を目指して
攻撃の銀をグイッと前に出すと(21手目▲4五銀)
マイベースな澤田六段もここはさすがに3三の角を
自陣2筋へと引き下げました。。
すると、次の瞬間
23手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲谷川九段: なし
△澤田六段: なし
谷川九段は飛車先2筋の突き合わせ追撃。。
後手の角を標的にそのまま仕掛けを開始しました。
澤田六段は△同歩(24手目)と応じて、以下
▲3四銀~△5四飛~▲2四飛に△2三歩をみて
下図29手目▲同銀成と一直線に進行。。
29手目▲2三銀成。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 歩3
△澤田六段: なし
先手の銀をはさんで、双方飛車を浮かせると
谷川九段は躊躇なく踏み込み、銀で歩を捕獲。
両者の飛車が直接向かい合いあった上図から
次に、先手の主導で飛車交換が成立しました。。
32手目△5六歩。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 飛、歩3
△澤田六段: 飛
飛車交換成立直後に
手番を握った澤田六段は5筋の歩を突き出し
稼動域の狭い角の前方を開きます。。
この手に対し、谷川九段は。。
33手目▲2ニ角成。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 飛、角、歩3
△澤田六段: 飛
すかさず角交換を敢行。。
大駒が立て続けに盤上から姿を消します。。
37手目▲2五飛。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 歩3
△澤田六段: 角
手にした大駒を先に活用したのは谷川九段。
角を6筋に投入し攻守の基点とします(35手目▲6六角)。
一方、澤田六段は飛車を
敵陣に打ち込み反撃を開始(36手目△2八飛)。。
谷川九段が飛車を合わせて消しに行くと、すぐさま
△同飛成と応じて二度目の飛車交換へ。。
すると。。
40手目△5七歩成。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 飛、歩3
△澤田六段: 飛、角、歩
飛車交換成立直後に
澤田六段は中央5筋で突き合わせたままの歩を
ここで成り込む会心の一刺しで、主導権を握ります。。
谷川九段が仕方なく
▲同角(41手目)でこの「と」金を払うと。。
42手目△4四角。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 飛、歩4
△澤田六段: 飛、歩
先手の角がどいたラインへ、ズバリと
文字通りに八方睨みの角を投入しました。。
ここで手番の谷川九段は
後手陣2筋の金の頭上を歩で叩き(43手目▲2三歩)
何とか食い下がりますが。。
46手目△2八飛。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 飛、歩3
△澤田六段: 歩
澤田六段はヒラリと金を3筋にかわすと
2筋の好所へ飛車を投入し、銀・桂両取りへ。。
完全に後手に回った谷川九段がこの一手となる
桂馬を跳ねて成銀を守ると(47手目▲3七桂)。。
48手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲谷川九段: 飛、歩3
△澤田六段: 桂、歩
澤田六段は見切り良く、起点の角を
先手陣に飛び込ませ、桂馬を捕獲し王手から
颯爽と勝負を決めに出ました。。
【 投了図・68手目△5九飛 】
投了図での持ち駒
▲谷川九段: 金、桂、歩2
△澤田六段: 角、歩2
谷川九段も意地の反撃で勝利への執念をみせますが
しかし、澤田六段が厳しく寄せに入った上図の局面で
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
今日が26歳の誕生日でもある
澤田六段はリアルレジェンドから快勝を飾り
自ら祝砲を打ち上げ、花を添えました。。
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今期40勝目、11連勝を懸けて
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棋王戦挑戦権争いも大詰め。。
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独走か、それとも。。
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「PONANZA」引退。。
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らしく、美しく。。