思わぬ大差。。第36回将棋日本シリーズ/2回戦「糸谷竜王-三浦九段を振り返ろう」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

思わぬ大差。。第36回将棋日本シリーズ/2回戦「糸谷竜王-三浦九段を振り返ろう」

第36回将棋日本シリーズ公式HP

JT杯プロ公式戦日程&結果



3


3手目▲6八銀。


上図での持ち駒


▲三浦九段: なし

△糸谷竜王: なし


本日、北海道は札幌市にて行われました

注目の 第36回将棋日本シリーズ/2回戦

「糸谷哲郎竜王-三浦弘行九段」の一戦は

振り駒の結果、三浦九段が先手。。


その初手▲7六歩に対して

糸谷竜王は2手目に飛車先の歩を突く

△8四歩と返して、対局はスタートとなりました。


早々と居飛車を明示し

戦型の選択戦を委ねられた三浦九段は

上図3手目に▲6八銀とし「矢倉」を指向。。



6


6手目△5四歩。


上図での持ち駒


▲三浦九段: なし

△糸谷竜王: なし


糸谷竜王が角道を開けると(4手目△3四歩)

現代「矢倉」では▲6六歩と返すことが多い局面で

三浦九段は古風な▲7七銀を採用(5手目)。。


この手に対して

糸谷竜王は次に中央5筋の歩を突くと。。




8


8手目△5二飛。


上図での持ち駒


▲三浦九段: なし

△糸谷竜王: なし


三浦九段の▲5六歩(7手目)をみて

飛車に手をかけ5筋へと振り、急戦を示唆しました。


最近はあまりみかけませんが

昔からある形であり、次に先手も飛車をあわせる

▲5八飛や、居玉を避ける▲6八玉は定跡手順。


しかし、三浦九段の次の手は

そのどちらでもなく、飛車の横利きを消す

▲4八銀(9手目)とし5筋に回った後手の飛車先を

敢えて放置しました。。


この手をみて、糸谷竜王は。。



10


10手目▲5五歩。


上図での持ち駒


▲三浦九段: なし

△糸谷竜王: なし


「はい、そうですか」と飛車先の歩を突き越し

挨拶代わりの仕掛けを開始しました。。


三浦九段は▲同歩(11手目)と取り込み

以下、△5五角~▲5八金右~△4二銀~▲2六歩~

△3三角~▲2五歩に下図18手目△5三銀と進行。。




18


18手目△5三銀。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 歩

△糸谷竜王: 歩


5筋で歩の交換が成立すると

三浦九段はすかさず、自らの飛車が構える

2筋の歩を突き越し、後手陣に圧力をかけました。。


糸谷竜王が角を引いて2筋を受けると

局面は落ち着きを取り戻し、両者は呼吸を合わせて

自陣の駒組みに取り掛かります。。




28


28手目△5四銀。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 歩

△糸谷竜王: 歩


糸谷竜王は得意の「右玉」へ。。

一方、三浦九段は7七に構えた銀を下げ

角筋を通してから、駒組みをリフォーム。。


どちらにしても、まずは

重荷になりそうな角を捌きたいところですが

糸谷竜王が飛車先の銀を前進させた

上図から、次の瞬間。。




29


29手目▲3五歩。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 歩

△糸谷竜王: 歩


三浦九段は3筋の歩を突き合わせ

このタイミングで仕掛けを開始しました。。


糸谷竜王が△同歩と応じて、以下

▲2四歩~△同歩~▲4六銀~△4五歩ときて

下図35手目▲3三角成と進行。。



35


35手目▲3三角成。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 角、歩

△糸谷竜王: 歩3


三浦九段は

手際よく、角交換を敢行しました。。



47


47手目▲3三歩成。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 角、歩

△糸谷竜王: 角、歩2


角交換成立後

両者は飛車に銀を絡めて敵陣へと進攻しますが

一足お先に三浦九段が後手陣に踏み込みます。。




51


51手目▲8四飛。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 角、歩

△糸谷竜王: 角、歩3


歩を細かく利かせて後手陣を乱してから

三浦九段は浮飛車を華麗に8筋へと旋回。。。


ここで手番となった糸谷竜王は

飛車先を浮けずに、満を持して天王山・5五の位へ

八方睨みの角を投入しました(52手目△5五角)。。


しかし




55


55手目▲8二角。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 歩

△糸谷竜王: 歩3


無難な△8三歩の温存が裏目にでたか。。

糸谷竜王が7筋の歩を突いた(54手目△7四歩)

瞬間、三浦九段は角を8二の地点に合わせました。。


さすがの糸谷竜王も、ここは

応じざるをえず、直後に二度目の角交換が成立。



61


61手目▲5五角。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 歩

△糸谷竜王: 香、歩3


上手く手に乗って龍を作った三浦九段は

香車をゲットし成りこんだばかりの1九の馬目掛けて

天王山にお返しの角を打ち込み、攻守に利かせます。


ここで角を交換していてはお話にならないと

糸谷竜王は次に馬で桂馬を捕獲(62手目△2九馬)。


この手を三浦九段は

角を9筋に飛び込ませて(63手目▲9一角成)

以下、△8六歩~▲同歩~△4七馬~▲5四香~

△8三香に下図69手目▲5五龍と厳しく進行。。



69


69手目▲5五龍。


上図での持ち駒


▲三浦九段: 歩2

△糸谷竜王: 桂、歩3


糸谷竜王も懸命に先手玉を目指しますが

その間に、三浦九段は5筋を制圧。。


大駒を機能させながら

糸谷玉を釘付けにし、形勢を大きく握りました。



「糸谷竜王-三浦九段」の棋譜中継はこちら



【 投了図・93手目▲5三歩 】



93


投了図での持ち駒


▲三浦九段: 角、歩

△糸谷竜王: 歩3


糸谷竜王の反撃を許さず

三浦九段は確実に差を広げ、上図の局面で

見事、勝利を飾りました。。



一方、意欲的に序盤から仕掛けた糸谷竜王の

作戦は功を奏さず、無念の完敗となりました。。



勝った三浦九段はベスト4進出。

「渡辺明棋王-行方尚史八段」の勝者と10月に

準決勝を戦います。。




□□□


ブログの更新情報はこちらでも確認 出来ます。

レポートは秋田の今泉四段 について。



慶春onLINE