注目のA級対決。。本日は、第36回将棋日本シリーズ/1回戦「郷田王将-深浦九段」 | 柔らかい手~個人的将棋ブログ

注目のA級対決。。本日は、第36回将棋日本シリーズ/1回戦「郷田王将-深浦九段」

第36回将棋日本シリーズ公式HP

JT杯プロ公式戦日程&結果



度を越す快晴の土曜日。

将棋界では第36回将棋日本シリーズの

1回戦最後のカードが静岡県にて行われました。



<第36回将棋日本シリーズ/1回戦>


郷田真隆九段-深浦康市九段



パンダ先生



前期の優勝者およびタイトルホルダーに

賞金獲得ランキング上位者を加えた計12名の

トップ棋士が、全国各地を回りながら公開対局にて

優勝を争う、伝統の将棋日本シリーズ。。


本日も1回戦を締めくくるに相応しい

A級棋士同士の顔合わせが実現いたしました。


しかし


郷田王将の今期ここまでの成績は

4戦1勝3敗(.250)。順位戦は開幕2連敗中。。


対局数そのものも少なく

存在感の極めて薄いシーズン序盤を過ごします。


一方、深浦九段の今期ここまでの成績も

同じく4戦1勝3敗。順位戦は1勝1敗と元気なし。


これからの夏戦線で調子を上げていく意味でも

本日の対局は両者にとって大事な一戦となりました。



2


2手目△8四歩。


上図での持ち駒


▲深浦九段: なし

△郷田王将: なし


気になる両者の対戦成績は

ここまで37戦して、深浦九段の19勝18敗と拮抗。

直近の顔合わせは6月に行われたA級/1回戦で

その時は深浦九段が勝利 をおさめました。



本局は先手・深浦九段の初手▲7六歩に対して

郷田王将が2手目に飛車先を突く△8四歩と返し

対局スタートに。。




3


3手目▲2六歩。


上図での持ち駒


▲深浦九段: なし

△郷田王将: なし


ともに居飛車の本格派。

早々と居飛車を明示した郷田九段に対して

深浦九段は上図3手目に飛車先の歩を突き

「角換わり」での勝負を指向します。。




10


10手目△7七角成。


上図での持ち駒


▲深浦九段: なし

△郷田王将: 角


郷田王将ももちろん受けて立ち

そのまま定跡手順の進行となり、上図10手目に

郷田王将から手損のない角換わりが敢行されました。



18


18手目▲6三銀。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角

△郷田王将: 角


角交換成立後

両者は早いテンポで前例を踏襲しながら

ノーマル角換わりの定番である「腰掛銀」を

息を合わせて目指します。。




29


29手目▲5六銀。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角

△郷田王将: 角


上図の局面で

先に形を決めた後手に続いて(26手目△5四銀)

先手の銀も中央5筋へと繰り出し、戦型はおなじみの

「角換わり相腰掛銀」となりました。


この時、通常ならば受け合う

9筋の端歩を敢えて受けないのが後手の工夫。。




37


37手目▲6六歩。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角

△郷田王将: 角


その後、「先・後同形」模様へと駒組みは進行。

郷田王将が次に保留する9筋の端歩を突けば

同形模様が盤上に描き出されますが。。




38


38手目△6五歩。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角

△郷田王将: 角


郷田王将は同形を拒否。

6筋の歩を突き合わせて、仕掛けを開始しました。。




49


49手目▲6七金右。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角、歩

△郷田王将: 角


6筋に続いて7筋でも歩を突き合わせた

郷田王将は飛車先の歩を切り、攻撃の下準備を

とんとん拍子で整えます。。


一方の深浦九段は

7筋の歩は取り込まずに、駒を高く組み上げ

一段高い位置に「矢倉囲い」を築きました。。


上図から次に、郷田王将が

自ら突き合わせた7筋の歩を取り込むと。。

(50手目△7六歩)



51


51手目▲2四歩。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角、歩

△郷田王将: 角、歩3


深浦九段は飛車先2筋の歩を突き合わせ

満を持して、反撃に転じました。。


郷田王将は△同歩と応じて、以下

▲7四歩~△4六角~▲6四角~△同角~▲同歩に

△4六角~▲7三歩成~下図60手目△3七角成と進行。




60


60手目△3七角成。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角、桂

△郷田王将: 桂、歩4


互いに妥協なく踏み込み

桂馬を取り合ってから、そのまま飛車取りへ。。


しかし、ここでの飛車交換は損とみて

深浦九段は次に飛車を1筋へと逃がします。。

(61手目▲1八飛)


この手みて

郷田九段も飛車を逃がしましたが(62手目△8一飛)

手番となった深浦九段は6筋に二枚目の「と」金を作り

歩との交換で金の捕獲に成功。。



71


71手目▲2三歩。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 角、金、桂

△郷田王将: 桂、歩6


駒得してさらに手が伸びる

深浦九段は3筋を押し込んでから(69手目▲3四歩)

手にした一歩を2筋に垂らして嫌らしく拠点を作ります。


郷田王将は

覚悟を決めて△同金と応じますが(72手目)

深浦九段は次の瞬間、狙いの▲5二角を投入。。



77


77手目▲6五銀直。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 金、桂

△郷田王将: 桂、歩7


後手陣を完全に崩してから銀を捌きに出る

理想的な展開で深浦九段が形勢を握りました。。




91


91手目▲5二銀。


上図での持ち駒


▲深浦九段: 金

△郷田王将: 銀、歩7



反撃も響きが薄く

苦しくなった郷田王将は上図の局面で

深浦九段の豪腕の前に玉の上部脱出の

道も断たれて、万事休す。。


「郷田王将-深浦九段」の棋譜中継はこちら



【 投了図・109手目▲4三飛成 】



109


投了図での持ち駒


▲深浦九段: 銀

△郷田王将: 角、金、銀、桂、歩8


それでもタイトルホルダーの面子にかけて

郷田王将は最後の最後まで粘り強く戦いますが

しかし、深浦九段の寄せは厳しく上図の局面をみて

無念の投了となりました。。


快心の勝利を飾った深浦九段は2回戦進出。

9月の四国大会で森内俊之九段と対戦します。。




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