第3回将棋電王戦/第3局「豊島七段-YSSを振り返ろう」
【 投了図・83手目▲5四桂 】
投了図での持ち駒
▲豊島七段: 角2、銀、歩5
△YSS: 銀
本日行われました
第3回将棋電王戦/第3局「豊島将之七段-YSS」は
上図・83手目までで、先手・豊島七段が勝利。
戦型は「横歩取り」。
開戦以降はソフトを相手にせず、豊島七段が圧倒。。
さすがは未来の名人候補、ものの違いをまざまざと見せつけ
前回大会から続くプロ棋士側の連敗を「5」でストップし
今大会待望の初勝利を飾りました。。
プロ棋士と将棋ソフトの代表による5対5団体戦
毎週土曜日に開催中の第3回将棋電王戦。
ここまで2戦を終了しソフト側の2連勝で迎えた
注目の第3局「豊島将之七段-YSS」は電王戦初の大阪決戦
日本最大の複合商業施設「あべのハルカス」にて。。
対局室は55階のスイートルームということで
窓の外には絶景が広がります。。
2手目△8四歩
▲豊島七段: なし
△YSS: なし
第3局の先手は豊島七段。
その初手は角道を開ける▲7六歩でした。
YSSは2手目に飛車先の歩を突く△8四歩と返し
いよいよ、対局がスタート。。
この手を見て
豊島七段も3手目に飛車先の歩を突き(3手目▲2六歩)
「対抗形」となったここまでの2局とは趣向を変えて
「相居飛車」が明示されました。。
5手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲豊島七段: なし
△YSS: なし
YSSは飛車先を突き越し(4手目△8五歩)
先手に7七角の受けを強要しますが、豊島七段は応じず
自らも飛車先の歩を突き越し、「相掛かり」調の出だしに。。
この手をみて
YSSが角頭を金で受けると(6手目△3二金)
以下、▲7八金~△3四歩~▲2四歩~△同歩~▲同飛~
とプロの対局でもおなじみの「横歩取り」へと進行しました。
16手目△3三角。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩3
△YSS: 歩2
互いに飛車先の歩を切る定跡手順の進行から
豊島七段が2筋に浮いた飛車でお隣り3筋の歩を取り
「横歩取り」(15手目▲3四飛)。
YSSは先手の飛車先を角で受ける
現代の主流中の主流である「△3三角戦法」を採用。。
22手目△6二玉。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 歩2
△YSS: 歩2
最近は3四飛車のまま
駒組みを進める指し方も流行していますが
本局の豊島七段は素直に飛車を引き下げました。。
(17手目▲3六飛)
YSSの飛車の引き場所は8四の地点(18手目)。
後手の囲いとしては▲4一玉、あるいは▲5二玉としての
「中原囲い」も有力とされていますが、YSSは玉を6八の地点へ。。
すると、その刹那
23手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 角、歩2
△YSS: 歩2
豊島七段はケレン味なく角交換を敢行。。
YSSが同桂と馬を払うと、以下▲2一角~△3一銀に
▲3二角成~△同銀~下図29手目▲2二飛成!
29手目▲2二飛成。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 金、歩2
△YSS: 角2、歩2
角と飛車のクロスファイヤーで2筋突破に成功。
互いに玉の囲いもままならないうちに一気に開戦となり
豊島七段がペースを握ります。。
32手目△4四角。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 金、歩2
△YSS: 歩2
YSSは
手にした二枚の角をすぐさま連続投入して反撃。。
上図から次に豊島七段が龍で香車を捕獲すると。。。
(33手目▲1一香)
34手目△9九角成。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 金、香、歩2
△YSS: 香、歩
YSSも豊島陣営へ角を飛び込ませて
香車をゲットし、馬を作る激しい展開に。。。
さらに上図から
▲7七桂~△2四飛~▲1三龍~と進行。。
豊島七段は飛車・角両両取りへ。。。
38手目△2九飛成。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 金、香、歩3
△YSS: 桂、香、歩2
YSSは角を見捨てて飛車が突進。
早くも勝負手気味に強く、踏み込みました。。
豊島七段は次に角をガッチリと捕獲。
決戦に向け、戦力を整えます(39手目▲1四龍)。。
43手目▲2九金打。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 角、香、歩3
△YSS: 桂、香
勢い良く飛び込んだYSSの龍でしたが
上図にてあっさりと、豊島七段は詰んでみせます。。
以下、▲2九龍~△同金。。
豊島七段が金との交換で飛車を手に入れました。
49手目▲4二飛。
上図での持ち駒
▲豊島七段: 角、香、歩3
△YSS: 金、桂、香2
これまで2局の将棋ソフトとはイメージが異なり
やたらと腰の高さが目立つYSS。
豊島七段は手にした飛車を急所に打ち込み
王手・銀取り。。気持ちよく技をかけまくりながら
どんどん差を広げていきます。。。
69手目▲4二龍上
▲豊島七段: 角、銀、桂、香、歩4
△YSS: 桂2、歩
こうなると豊島七段は逃しません。。
YSSの攻め手を確実にブロックして遅らせながら
二枚の龍がグイグイと、YSS玉に迫ります。。。
この局面ではすでに豊島七段が勝勢。
後はもう、形作りに過ぎません。。。
【 投了図・83手目▲5四桂 】
投了図での持ち駒
▲豊島七段: 角2、銀、歩5
△YSS: 銀
将棋界に待望の白星をもたらしたのは
やはり、天才・豊島七段。
価値のある勝利で
自らの才能の確かさと輝く未来の存在を
あらためて全国の将棋ファンに、力強く発信しました!