いよいよ決着。。明日は第39期女流名人位戦5番勝負/第5局
4連覇を目指す里見香奈女流名人に
上田初美女王が挑戦する、第38期女流名人位戦5番勝負。
ここまで4局を消化し
全て先手が勝利をおさめる形で2勝2敗のイーブン。
女流名人位の行方は明日、関西将棋会館にておこなわれる
最終戦/第5局までもつれ込む大熱戦となりました。
【 第1局 】
1月14日(月・祝)
各地で吹雪に見舞われるなど大荒れの天気となった成人の日。
里見女流名人の地元・島根県は出雲市「出雲文化伝承館」にて
行われた開幕戦は、113手までで先手・里見女流名人が勝利。
14手目△2二飛。
上図での持ち駒
▲里見女流名人: なし
△上田女王: なし
故郷に錦を飾るべく
静かに闘志を燃やす「出雲のイナズマ」こと里見女流名人は
初手から▲7六歩~▲7五歩~と7筋の歩を突き越し
先手番の十八番「石田流三間飛車」を投入。。
対する上田女王も
上図14手目に飛車に手をかけ「向かい飛車」とし
第1局の戦型は「相振り飛車」となりました。
78手目△3五香。
上図での持ち駒
▲里見女流名人: 角、金、銀、桂、歩
△上田女王: 桂、歩3
互いに囲いは玉の横に金二枚ならぶ「金無双」。
本局のハイライトは上図78手目に放たれた上田女王の
香車の串刺し攻撃。。
先手の6三の地点に歩のたたきを入れ(77手目▲6三歩)
後手の囲いの急所をついてきたにもかかわらず
上田女王はあえて手抜いて、攻め合いに打って出た局面。
結果は功を奏しませんでしたが
鍛えの入ったというのか、上田女王の勝負根性が感じられる
凄味のある一手となりました。
【 投了図・113手目▲6四飛成 】
投了図での持ち駒
▲里見女流名人: 桂
△上田女王: 金、銀、歩5
激しい攻め合いとなった終盤戦を落ち着いて捌き
最後は「開き王手」で綺麗に寄せ切った里見女流名人が
見事、開幕戦を制しました。
【 第2局 】
1月20日(日)
千葉県は野田市「関根名人記念館」にて行われた第2局は
先手・上田女王が勝利。
対里見名人戦初勝利をタイトル戦の大舞台で飾りました。
6手目△3三角。
上図での持ち駒
▲上田女王: なし
△里見女流名人: なし
第2局で趣向の出だしをみせたのは後手・里見女流名人。
初手から
▲7六歩~△3四歩~▲2六歩~△3二金~▲2五歩ときて
上図6手目。△8八角成とするのが自然にみえますが
里見女流名人はあえて△3三角とし、先手からの角交換を呼び込みます。
以下、▲同角成~△同金~▲6八玉の進行から
里見女流名人は飛車を2筋へと振り(10手目△2二飛)
伝説の棋士・坂田三吉が愛用した「坂田流向かい飛車」を投入。
一方、上田女王は居飛車に構え「対抗形」となりました。。
103手目▲4五飛。
上図での持ち駒
▲上田女王: 金、銀2、桂、歩2
△里見女流名人: 銀
意欲的な戦型選択は事前準備に自信がある証拠ということで
里見女流名人が積極的に仕掛け、上田女王を押し込みます。
しかし、上田女王も執念の粘り腰で盛り返し
上図103手目には押さえ込まれた6六の桂馬を活かすために
飛車を投入し、後手の飛車、角との差し違えも持さない勝負手を投入。
上田女王、一皮も二皮もむけいよいよ勝負師らしくなってきました。。
【 投了図・145手目▲2五玉 】
投了図での持ち駒
▲上田女王: 角2、銀2、歩4
△里見女流名人: 金、桂、歩2
上田女王の「勝負手」以降も
激しい攻防戦が繰り広げられましたが、上田玉は上部脱出に成功。
上図145手までで、里見女流名人無念の投了となりました。
これで番勝負は1勝1敗。
上田女王の成長と頑張りが
熱戦にさらなる可能性と期待感をプラスします。。。
続く第3局(2/3)は
里見女流名人が再びの「石田流三間飛車」投入から
瞬く間に上田陣営を「銀冠」に囲った上田陣営を攻略し完勝。
タイトル防衛に王手をかけます。
しかし、第4局(2/15)で
カド番に立たされ後のなくなった上田女王が踏ん張り
得意の「穴熊」で快心の勝利をものにし、振り出しに戻します。
ここまで両者ともに先手で星を譲らず
逆に言うと後手番でブレークできないままフルスコアとなり
はいよいよ決着となる最終戦へ。。
里見女流名人の今期ここまでの成績は
22戦17勝5敗(.773)。
現在、女流名人の他に
女流王将、女流王位、倉敷藤花と合わせて四冠を保持。
名実ともに誰もが認める女流将棋の顔。
上田女王の今期ここまでの成績は
28戦20勝8敗(.714)。
4月には3連覇を目指す
第5期マイナビ女子OPの防衛戦開幕を控える、伸び盛りの24歳。
これまで一度も保持するタイトルを失ったことのない里見女流名人に
初めて土をつけることとなるのか。。
気になる両者の対戦成績は
9戦して、里見女流名人の7勝2敗。
初手合いから
里見女流名人の6連勝でしたが、それは昔の話。
今シリーズは一歩も引かない上田女王の姿からは
臆するものはなにひとつ、見当たりません。
泣いても笑っても、あと一戦
最後に栄冠を掴むのは里見女流名人か、上田女王か。。
女流将棋界の新黄金カードをぜひ、お見逃しなく!
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これも一局、目をそらすことなく
皆様のご投票ならびにご意見を心より、お待ちしてます。。
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