第52期王位戦7番勝/第5局「広瀬王位、勝手知ったる相棒とともに勝利!」
広瀬章人王位に
羽生善治二冠が挑戦中の第52期王位戦7番勝負。
ここまで4局を消化し2勝2敗の五分の星で迎えた第5局が
昨日より、徳島県は徳島市「渭水苑」にて開幕。。
【 第5局一日目終了図・66手目△同5二飛 】
上図での持ち駒
▲羽生二冠: なし
△広瀬王位: 角、歩2
開幕2連勝の後、2連敗と勢い減退傾向だった広瀬王位は
勝負どころの第5局でついに、ここまでの出世物語を支えた相棒
「四間飛車穴熊」を投入。。
切り札投入で文字通り、勝負に出ます。
対します先手・羽生二冠も
将棋界のセレブリティ・船戸陽子女流二段ばりの四枚穴熊に構え
振り飛車穴熊vs居飛車穴熊という模様で「相穴熊」戦となりました。
馬を自陣に取り込まず、あっさりと切って手を作った羽生二冠。
素人目には羽生二冠の構想で進行したように見えた一日目は
上図66手目の局面で、羽生二冠が封じて終了。
そして、一夜が明けまして。。
67手目▲3三「と」金。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂
△広瀬王位: 角、歩2
羽生二冠の封じ手は桂馬をゲットする3三「と」金でした。
72手目△5七歩成。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 桂、歩
△広瀬王位: 角、歩2
「と」金で取られてはたまらないと
広瀬王位は飛車、角を上部へと移動させました。
そして、羽生二冠が2筋で歩を浮かせた瞬間に
中央5筋で「と」金を作り返します。。。
いかにもうるさそうな5筋の「と」金。
羽生二冠は次の74手目に5八歩と受けました。
79手目▲5九桂。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 歩
△広瀬王位: 歩2
中央突破に狙いをつける広瀬王位は
6七の地点に持ち駒の角を投入し、一気に勝負をかけます。
羽生二冠も竜王を作り、その角に対して桂馬を投入し
攻守に備えを見せますが、模様は明らかに後手の圧力が強し。。
次の80手目
広瀬王位は△7八角成とすでに勝利を見切ったかのように
躊躇なく踏み込みました。
85手目▲6八歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 角、歩
△広瀬王位: 金、歩4
馬力にものを言わせ「穴熊」を解体する広瀬王位。
羽生二冠は小駒で必死の抵抗をみせますが。。。
90手目▲6一歩。
上図での持ち駒
▲羽生二冠: 歩
△広瀬王位: 金、桂、歩3
羽生二冠の勝負手・89手目▲4四角も
底歩でガッチリと受け止めた広瀬王位。。。
「振り穴」のスペシャリスト
広瀬王位の研究と経験の厚みがものをいう展開となり
さすがに羽生二冠も苦しくなりました。
【 投了図・100手目△7九金 】
投了図での持ち駒
▲羽生二冠: 金、桂、香、歩
△広瀬王位: 歩4
最後はトントン拍子にさばききり
上図100手までで羽生二冠、無念の投了となりました。
この結果
今シリーズの対戦成績は広瀬王位の3勝2敗となり
タイトル初防衛に、王手がかかりました。