おはようございます。
僕はゲームを作っているから悠々自適に生きている。
・・・とは言い難い。
ゲームは売れたり売れなかったりするので人生を賭けてやるのは難しい。
どれくらい難しいか、僕がどんな苦労をしているかを今回は赤裸々に語ろうと思う。
2016年4月4日 偽りの物語配信
初めて手応えを感じたゲームがこのゲーム。出した月に6〜7万の売り上げを出した。その後の売り上げは月々5000円程度の売り上げだったが・・・。しかし、今までは月に1万円も売り上げたことがなかったので嬉しかった。これは今でも覚えている。
このゲームを作ったきっかけは、
僕のゲームのアイデアは良いはずだから、UI(デザイン)を有名ゲームに似せれば売れるはず!
と思って作ったものだ。
これが売れたのでここから僕はゲーム作りに自信を持ち始めた。
(これまではアプリを出してもトータルで1万円も行かなかった。)
2016年11月2日 勇者の冒険配信
僕は遥か昔に放置系RPGゲームをブラウザで作ったことがある。
その当時の想いと、当時僕がやっていたカードゲームを組み合わせてゲームを作ろうと思ってできたのがこれ。
このゲームは初月に15万円ほども売り上げを上げてくれた!
その後もそこそこ売り上げてくれたので、僕のゲーム作りは加速していく。
2017年5月25日 人喰い惑星配信
僕が作ったゲームで一番DLされたゲーム。売り上げも良く、僕がゲームで生きて行こうと決めたゲーム。
この後、僕に呪いを捧げてくれるのもこのゲームだ。
ここでは、多く語らない。後の説明でも度々出てくるゲーム・・・とだけ覚えておいてもらえればと思う。
2018年3月30日 Vanitas配信
このゲームを出す直前に僕は企業の仕事を受けるのを辞めた。僕はこのゲーム一本で生きていけると確信していたからだ。
実際、初めのうちは売り上げも好調で人喰い惑星並みに売れていた。
放置ゲームなのに、ボスとの戦いは自分で楽しめるという画期的(だと僕は思っていた。後のゲームで廃止)なシステムも入れていたので、どんどんDLが伸びていくと思っていた。
しかし、このゲームはしばらく遊んでいると作った冒険者が引退してしまう仕様を入れていたためか、、、冒険者が引退するタイミングでどんどんユーザーが減っていった。
この状況に危機感を覚えて、初めてGoogle広告を出すことにした。
・・・ユーザーさえ集まればこのゲームは面白いはずだと思っていた。
ここからが地獄だった。
Google広告は月々約30万円。という事は、月に30万以上の売り上げを上げないと赤字なのである。僕は必死にアップデートを繰り返し、かろうじて生活できる状況を作っていた。
しかしそんなある日、誤ってデバッグモードを配信してしまった。
デバッグモードではタダで課金ができてしまうモードだった。そのため、一定数のユーザーが廃課金ユーザーに変わってしまった。
そして、一気にゲームを進めてすぐにゲームへ飽きてしまったのだ。
Google広告で集めたユーザーは僕のミスで一夜にして去っていき、月に30万円もの広告を出すことができなくなってしまった。
(この時のユーザーから「デバックモードをしてから一気にゲームがつまらなくなった。」と言われたのを今でも覚えている。)
その後どんなに頑張ってもリカバリーすることができなかった。
この時に頭をよぎったのが
生活ができなくなる
だった。
ここから僕は保身に走り、どんどん泥沼に陥っていくのだった。
ちなみに、この時に生活できていたのは前作の人喰い惑星のおかげだ。
ギリギリの生活だったが、友人たちと会う時は虚勢を張っていたのを今でも覚えている。
2018年12月7日 カードギャザリング配信
Vanitasで失敗した僕は、自分のゲームを分析した。分析は苦手なのに・・・。
Vanitasは良いゲームだった。しかし、冒険者が歳をとって引退するのがネックだった。そう考えた僕は「人喰い惑星」のような感じで遊べるライトなゲームを作れば売れるはずと考え始める。
そして、デザインを適用すれば良い感じに売れるだろうと思い始める。Vanitasで一部のデザインをしてくれたデザイナーに全面的にデザインを作ってもらいこのゲームを完成させた。
僕はここから道を踏み外し始める。
売り上げ(生活)のために作ったこのゲームは、可もなく不可もなくというゲームになってしまった。
僕は本来自分が面白いと思えるゲームを作っていたのだが、このゲームから生きていくためにゲームを作り始めたのだ。
ゲームはそこそこ売れた。しかし、長くは続かなかった。
なぜなら、僕の魂が入り切っていないからである。
その証拠に「人喰い惑星」や「Vanitas」に比べてレビュー数が明らかに少ないのだ。
・・・そして、僕はゲームだけでは生活ができなくなり始めた。
そのため、僕はゲーム以外にも企業からの仕事も請けるようになっていった・・・。
(なので、ゲーム作りが片手間になっていくのだった。)
2019年6月20日 蒼穹のプリンセス配信
このゲームは前評判は今までのゲームの中で最高だった。
しかしゲーム配信前になっても、僕の心にはいつものような高揚感がなかった。
今までのゲームは「僕が面白いと思ったから、他の人も面白いと思ってくれるはず。」というある種の期待感があった。しかし、このゲームにはその期待感がなかった。
僕は完全に迷走していた。
このゲームのバナーはデザイナーさんが頑張ってくれたおかげで前評判が良かった。
そして、バトルシステムも面白かった。
しかし、テンポとゲームバランスが悪かった。
僕の思った通り、このゲームは早いうちから失速していった。
ゲームを出す間に僕が思った通りというのも情けない話だが、このゲームには僕の魂が一番入っていないゲームになってしまった。
顕著に示しているのがレビュー数である。有料ゲームである「偽りの物語」に次いでレビュー数が低かった。(この記事内で書いている無料ゲームの中では一番少なかった。)
このゲームの一番の失敗は、画期的なバトルシステムを思いついてたことに慢心したことだ。
このバトルシステムを練って、それに合うゲームシステムを作るべきだったのが・・・その点が完全に抜けていた。
結果、尻切れトンボのようにゲームのアップデートを収束させてしまった。
レビューには
この作者のゲームは出すたびにつまらなくなる。
人喰い惑星がピークだった。
と書かれてしまうほどだった。
ここでも、人喰い惑星か・・・。
僕は人喰い惑星を意識して似たようなゲームを作っていて、遊んでいるユーザーは人喰い惑星を超えるものを期待していた。
この差が大きかった。僕は2年間もゲームを出していてこのゲームを超えるものを作れなかったのだ。(Vanitasは惜しかった。)
迷走は続くが・・・、ここで一つの気づきがあった。
去年まではゲームが売れないと生活ができなかったが、今はリモートで企業の仕事を受けているためゲームが売れなくても生活ができていることに。
そのため、僕は次のゲームでは僕が好きだったゲームの要素を取り入れることにした。
(生活を気にしないでゲームを作ろうと思ったのだ。)
2019年12月20日 Agent of Adventure配信
僕が好きだったゲームであるWizardryと知る人ぞ知るTRPGゲームのソードワールドを取り入れたゲーム。それがこのゲームだ。
このゲームを作るため、僕は古書であるソードワールドのルールブックをAmazonで探し読み漁った。
僕が当時熱狂して何度も何度も読んだルールブックを20年以上経った今、再び何度も読んだのだ。
僕は久しぶりに心が高揚していることに気がついた。
このゲームが作りたい。
「人喰い惑星」の類似ゲームではなく、このゲームが作りたいと思って作ったものだ。
正直、このゲームはかなり玄人向きのゲームだ。
レベルが上がって派手に強くなるというような事はなく、地味に強くなっていくTRPGのゲームシステムを大きく取り入れて作ったゲームだった。そのため、世の中に受けるかどうかはわからなかった。
しかし、それでもよかった、
作りたいと思うゲームを作ることが僕の喜びだから。
予想通り、このゲームは今までのゲームのようには受けなかった。
しかし、それでも良かった。
僕は満足していた。僕が遊びたいと思えるゲームを約1年半ぶりに作れたから。(Vanitasは僕が作りたいと思って作ったゲームなので、それ以来のゲームである。)
このゲームは売れなかったが、他のゲームのように失速もしなかった。
地味なゲームなのに、みんなが遊んでくれたのだ。
僕はそれだけで満足だった。
実はこのゲームのデザインに関してはほとんどデザイナーを入れなかった。(作ってもらったのはアイコンとスクリーンショットくらい)
「人喰い惑星」の時にデザインが良ければもっと売れるはずという呪いにかかっていたのだ。
そのため、見栄えの良さや売れるかどうかにばかり気がいっていた。
これまでの僕は、僕の魂よりも見栄えを気にしていたのだったのだ。
・・・気がつくと、僕はゲームで生活ができるくらいの収入を得ていた。
僕は大したゲームデザイナーではない。
ビジネスプログラムならそこそこかけるが、ゲームプログラムは初心者だ。
ゲーム設計もたいしてできない。
レベルデザインもできない。
じゃぁ、僕ができる事はなんだろうか?
それは僕が面白いと思ったものを作る事だ。
これだけは他の人には出来ない事だ。
僕は迷走を続けていて、その先で気がついたのがこの事実だった。
上記に貼っているリンクは全てAppStoreのリンクだ。
僕の記事を読んだ後に上記リンク先のレビュー数を見るとユーザーは正直だということが分かるだろう。
Agent of Adventureは爆発的には売れていないが、徐々にレビュー数が増えていることが分かるかと思う。(ので、是非見て欲しいしこのゲームをやって欲しい。)
これから何かを作ろうと持っている方へ。
自分がつまらないと思うものや使わないと思うようなものは作らない方が良い。
ゲームでもビジネスでもそうだが、自分が熱を持って打ち込めるものはユーザーに届くと思っている。
---へっぽこゲームデザイナーTownSoftより。