「親事業者との取引に関する調査について」という手紙が来ました。
この手の手紙が個人事業主に届くのは少し珍しいかなーと思うので、ちょっとだけ手紙の内容をブログに書こうかと思います。

そもそもこの手紙は親事業者から提出された下請事業者名簿から無作為に選ばれるらしいですが、個人事業主は直接親事業者と契約するケースは少なく大抵は仲介業者を経由しているため普通はこの手紙は来ません。(少なくても僕は個人事業主を5年くらいやってて初めて貰いました。)
僕は色々あって、株式公開している会社と直接契約をさせてもらってるためかこのような手紙が来たのだろう。

とりあえず僕の親事業者は下請代金法には觝触するような契約はしてないので問題は無いが、どのような事を調査してくれているのかをせっかくなので見て行こうと思う。

1.発注書面の交付に付いて
親事業者は、下請事業者に発注する際、発注内容、下請代金の金額、支払期限等の必要記載事項を全て記載した書面を全て記載した書面(注文書、契約書)を交付する義務があります。
したがって、親事業者が口頭のみで発注を行った場合(発注書面の不交付)や下請代金の額を記載しない発注書面を交付した場合(記載不備)は下請代金法違法になります。


経済産業省は以下の事を気にしてます。
・発注時に交付する必要があるので、納品後に発注書面を交付したかどうか。
・検査を実施しているにもかかわらず検査の完了期日を書いていないかどうか。
等。

僕は遥か昔にこの様な事を知らない時に口頭のみで契約をした事がある。。。
正直お金を払ってもらえるかどきどきした事がある・・・。
まぁ、でも基本的にはこのようなことは無いかと思います。


2.下請代金の支払制度に付いて
親事業者は、下請事業者が納品したものについて検査を行うか否かを問わず、納品日(又は役務を提出した日)から起算して60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、下請代金を全額支払う義務があります。
また、親事業者が下請代金を手形で支払う場合、一般の金融機関で割り引く事が困難な手形を交付する事は禁止されています。
※「一般の金融機関で割り引く事が困難な手形」とは交付日から満期日までの期間が、繊維業は90日、その他の業者は120日を超える手形を指します。


この業界の契約は大抵SES契約と言われている月契約で行われるのでこの辺りの文面に引っかかる事は無いだろう。
支払がされなかった噂は聞いた事があるが・・・。
僕は納品の有無で支払される契約はあまりしたことが無い。50~200万の仕事は受けてたけどそれは向こうの会社も小さいのでこれに抵触しても僕にはなす術が無かっただろうな。(そんなことは起こらなかったが。)


3.下請代金の額の決定方法について
親事業者が、下請事業者が納品する物品(又は提供する役務)と同種・類似のものに対して通常支払われるべき対価と比べて著しく低い下請代金の額を不当に定めることは禁止されています。
したがって、例えば、親事業者が下請事業者と協議すること無く、一方的に下請代金の額を決定する場合は下請代金違法のおそれがあります。


僕は無いが、一方的に金額を決められたり一律下げられたりする場合は気をつけようと言うことですね。
IT業界ではあまり無い気がするけど・・・。


4.下請代金の減額について
親事業者は、下請事業者に責任がない場合には、たとえ下請業者と事前に合意していたとしても、発注書面に記載した下請代金の額を減じることは禁止されています。
また、減額の名目、方法、金額の多少を問わず、発注書面に記載した下請代金の額を、発注後いつの時点で減じることも禁止されています。
したがって、例えば、「協力金」、「出精値引き」、「歩引き」等と称して下請代金を減額する場合は下請代金違法になります。


これもIT業界ではあまり無い事かと思います。
減額されたらプログラマーは逃げて行くでしょう。逃げれないレベルのプログラマーはプロではないかと。。。


5.発注内容の変更・やり直しについて
親事業者は、下請事業者に責任がない場合には
①納品前(又は役務の提供前)に、発注内容を変更し当初の発注内容と異なる作業を行わせる
②納品後(又は役務の提供後)に、当初の発注内容にない追加的な作業を行わせる
ことにより、下請事業者の利益を不当に害することは禁止されています。
したがって、例えば、親事業者が、自らの都合・事情により下請事業者に追加的な作業を行わせたために下請事業者に追加的に生じた費用を負担しない場合は、下請代金法違法になります。


基本的にはSES契約の場合は時間で清算するので金額上に問題が発生することは無いと思う。しかし、発注内容と異なる作業を行うのはこの業界では当たり前(そもそもこれから作るものなので、作業内容はアバウトにしか定義ができない。)なのでこれはほとんど守ることが難しいのではと思います。


な、長い・・・。
とりあえず、反響が会ったら後半を書きます。
こういうことをして社会を正常化しようとしている経済産業省の仕事を少し見た気がします。普段あまり何をしているか分からなかったので、こういうところで税金が使われているんだなーと感じました。
契約で苦しんでいる人は是非こういうもの(国)を使って正常化して行ければと思います。


ちなみに、この設問の回答情報は絶対に開示しないようだが、これをどのように使うのかはちょっと興味がある。
下手なアクションを起こせば、情報は開示されなくても窮地に立たされるかもしれません。