お昼ご飯を終えた五人は、急いで自分のクラスの場所へと走っていった。
「フー、食った食った」
「フー、食った食ったネ」
「お前たちそんなに食べて午後の競技大丈夫なのか?」
永輝が少し呆れて訊いた。
「フフン、オイラの胃袋は消化スピードが普通の人間の6600倍で」
「パー○ンかよ」
「リッキーは7000倍ネ」
「なにお!ならオイラは8000倍だ」
「じゃあリッキーは」
「ほらほら二人共、自分の席に座らないと」
トムがなだめて言った。
「相変わらずお子様だな剣もリッキーも、あれ、薫どこ行くんだ?」
「オレちょっとトイレ」
そう言って薫はトイレに向かった。
「ションベンションベン、ちょっとジュース飲みすぎたかな」
薫はお昼ご飯のときに五人の中で一番ジュースを飲んでいた。
「げっ!なんでこんなに居るんだ」
彼らの学校では、運動会などの屋外競技の場合、校舎は全て鍵をかけてしまう
為に、立ち入りが出来なくなってしまう。その為休日等校庭を使う場合には、屋外
用のトイレを使うことになる。しかし、トイレ自体が少し小さいので、今回の様に一度
に多くの人がトイレに来ると、店員オーバーとなる。
「どうしよう、もう少ししたら次はリレーなのに」
薫はとりあえず男子トイレの列に並んだ。並んでいる間落ち着き無くソワソワしな
がら男子トイレの列の前の方を見ていた。一方で女子トイレの方は、人は居るが
男子トイレの様に外まで並んでいるなんていうことはなかった。
(女子トイレなら空いてるかな・・・いやいや、オレは何を考えてるんだ)
そんなことを薫が考えていると・・
「間もなく只今行われている競技が終了します、次は五年生によるクラス対抗リレー
です、五年生の人は入場門に集まって下さい」
「げっ!もう次のアナウンスが入りやがった」
しかし、トイレの列は前に進んではいるが、まだ少し時間が掛かりそうだった。
「くそ、もう無理だ」
薫は時間ギリギリまで待ったが、間に合わないと判断して入場門へと向かった。
「あ、薫遅かったな」
「でもギリギリでセーフだね」
「ああ、そうだな」
「薫、お前もしかしてトイレ済んでないんじゃないのか?」
「ああ、実はそうなんだ」
永輝は薫の様子を見て思ったのだった。
「お前大丈夫か、リレーの最初に走るのにお漏らしして最下位になったりしたら学年
優勝が危なくなるぞ」
剣進が言った。
「漏らさねーよ、走り終わったらそのままトイレ行くから大丈夫だ」
ちなみにクラスのアンカーは剣進が務める。その前の走者はリッキーである。学年
でも1・2番目の韋駄天二人がアンカーとその前走者の為、終盤に接戦となった場合
にはかなり有利となる。
「それでは五年生の皆さん、入場してください」
そのアナウンスを合図に五年生が先頭から順番に入場を始める。
(とにかく早く終わらせてトイレ行かないと、マジで漏れる)
そしていよいよ五年生の学年対抗リレーが始まる。
「位置について」
スターターの先生が声をかけて持っているピストルを天に向けた。
「よーい」
パンッ!
ピストルが鳴りいよいよスタートとなった。