冒頭挨拶
全員『せーの、いつもブログを見に来てくれてありがとうございます』
剣進「今日はオイラが大活躍する日なのです」
永輝「勉強できないやんちゃ小僧の典型だな」
薫「うんうん、剣が活躍できる数少ない行事だな」
剣進「うっさいな、お前たちオイラが大活躍するから彼岸花だな」
リッ「彼岸花ってなにネ?」
トム「彼岸花って言うのはね・・・」
永輝「トム、剣の言葉の使いかたは間違ってるから」
トム「あ、それは分かってたんだけど、リッキーに訊かれたから」
薫「剣、それを言うなら、ひがんでるだろ」
剣進「男が細かいことを気にするな」
薫「やれやれ、でもオレだって負けてないぜ、これまでの運動会の徒競走
は毎年必ず1位なんだぞ」
剣進「そんなの、一番速い組みに合わせに薫が入ってないだけだろ」
薫「なっ!」
剣進「オイラはいつも他のクラスの一番速いやつらと走るんだぞ」
トム「剣も毎年1位なんだよね」
剣進「オウ!」
薫「あ、でも一年生のときの玉入れはオレの方が多く入れたよな」
剣進「何言ってんだよ、オイラに決まってるだろ」
薫「いーや、オレだ、だって数えてたし」
剣進「オイラだって数えてた、オイラが一番だった」
薫「嘘言うなよな、お前何個入れたか訊いたら分かんないって言ってたぞ」
剣進「そうだっけ」
永輝「そういう薫もオレが訊いたら覚えてないって言ってたぞ」
薫「わっ、もう黙ってろよ」
トム「ねえ、そろそろ本編にいかないとまずいんじゃないの?」
リッ「まずいネ」
薫「そ、そうだな、本編だな」
剣進「こいつ・・・」
全員『それでは本編スタート』
本編
少しずつ秋の気配が感じられるが、まだ暑さが残るこの頃、永輝・剣進・薫・トム・
リッキーは、学校の運動会の日を迎えていた。毎年運動会では大活躍の剣進は
例年通りに張り切っていた。運動会が始まる前の教室では、いつもと違った運動会
特有の空気が流れていた。
「フフフッ、オイラはこの日をずっと待っていたのだ」
「リッキーも運動会楽しみネ」
「相変わらずのお気楽コンビだな」
永輝が言った。
「なんだよ、お前運動会楽しくないのか」
「オレはお前と違って大人だからな、いちいちはしゃがないんだ」
「トムは、トムも楽しくないの?」
「えっ、ボクは運動会好きだよ」
「そうだよな、うんうん」
「うんうんネ」
「だいたいあいつは頭の中がオッサンだからな」
「おい、誰がオッサンなんだよ、こんないい男つかまえて」
「あらリッキーさん、あちら自分のこといい男だって言ってますわよ」
「自画自賛ネ、オホホ」
剣進とリッキーが永輝をからかった。
「お前らその喋り方やめろ、なんかムカつく」
「あら、永輝さんが怒りましたよリッキーさん」
「そうネ、怒ったネ、ホホホ」
「プッ、いっつも格好つけてる永輝なのに、なんか面白いな」
薫がクスりと笑う。
「べ、別にオレは格好なんかつけてないし、普段から冷静なだけ・・」
「冷静ですってよオホホ」
「オホホネ」
「ま、まだやってたんだね、二人共・・」
「お前ら!」
永輝が怒って剣進とリッキーを追い掛けだした。
「わー、永輝が怒った」
「怒ったネ」
二人は楽しそうに逃げ始める。と、そこへ担任の先生が教室に入って来た。
「みんな、席に付け」
それぞれ席を離れていた生徒が自分の席に戻る。
「今日は天気も良くて絶好の運動会日和だな、これも先生の日頃の行いが
良かったからだな」
「違うよ、トムが優しいからだよ!」
剣進がすかさず反論した。
「ま、まあとにかくよく晴れた、今年も学年優勝出来るように頑張ろうな」
『オー』
「やれやれ、相変わらず先生もお気楽だな」
こんなことばかり言っている永輝だが、内心は結構運動会が好きなのである。
(去年は徒競走2番目だったからな、今年は1位になって父さんと母さんに絶対
いいところを見せてやる)
とか思っていたりする。
さて、ホームルームが終わり、各学年の生徒が校庭に集まる。恒例の全校生徒
によるラジオ体操が行われた。生徒たちが座る席の後ろ側には、生徒の家族が
既に沢山来ていた。もちろん彼ら5人組の家族も揃って応援に来ていた。ラジオ体操
が終わり、いよいよ運動会のプログラムのスタートである。
予定通りプログラムを消化し、お昼休みとなった。ここまでの成績は、彼らのクラス
がトップであった。とりわけ徒競走においては五人全員が1位という結果であった。
「ふぉふぉふぃふぉふぉひはふぉはいはふはふへぇふうふぉうはは」
「何言ってるか分からないし」
「剣は、今年もオイラの大活躍で優勝だなって言ってるネ」
「凄いねリッキー、分かるんだね」
トムが驚いて言った。
「分かるネ」
「剣ちゃん、もう少し落ち着いて食べなさい・・・あなたもね」
剣進の母親は、剣進と夫である剣吾に言った。
「え、ふぁっふぇはあひゃふほへんほうはふぁいほうははは」
「だって母ちゃんの弁当は最高だからって言ってるよ」
永輝の父親である光希が通訳した。
「すげー、父さんも分かるんだね」
「フフフ、まあ父さんも剣吾とは長い付き合いだからね」
「ねえ、お父さんも分かった?」
薫が父親の守に訊いた。
「うん、お父さんも分かったよ」
そんな微笑ましいやりとりをしながらお昼休みは過ぎていった。