『55歳のハローライフ』 | 湘南ダック ~神奈川・東京 ランチグルメ~

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ひさしぶりに新刊本を買って読む。


『55歳のハローライフ』 村上龍


『このミステリーがすごい』1位だった 横山秀夫『64』を購入するはずが

隣においてあった この本に変わってしまった。

『13歳のハローワーク』と関係あるのかな?と思い 手に取りパラパラとめくると 

『64』よりも読みやすそうだし なによりも 興味深かったから。


内容は短編5編が集まったもの。それぞれ50代の男女が主人公。

今の仕事や人生にもある程度 先が見え始めたが とはいっても 

まだまだ新しい人生も待っていそうな 不安な世代。


離婚したあと すすめられて結婚相談所に行くようになった女性の出会いと失望

リストラされ交通誘導員をやっていた男性が邂逅した中学時代の友人と その顛末

早期退職後 妻と車での日本一周を楽しみにしてた男性の家庭と社会での挫折

無関心な夫への寂しさから犬を飼った妻とその死を看取ることになった夫婦の再生

63歳のトラックドライバーが出会った薄幸の女性との老いらくの恋


浮世に疎い作家が多い中 さすが村上龍は世情を読んでいる。

普通に生きてきた すぐ隣にでもいそうな市井の人たちが主人公であり 

一つ一つのエピソードも 自分にも投影できる設定で 強いシンパシーを感じる。

そして ハッピーエンドでないまでも 一筋の光を感じるラスト。

現代版 山本周五郎とでも評すべきか。気持ちが優しくなる本です。