そのデビュー作を ようやく読みきりました。
九月が永遠に続けば
第5回ホラーサスペンス大賞受賞作。
最初の30ページ。
主人公 佐知子の濃い人間関係が
小出しに出てくるため ついていけず。
忙しかったこともあり 1ヶ月ほど枕元に放置。
しかし 久しぶりに手をとり 読み始めると
すぐに 高校生の息子の失踪 愛人の事故死・・・
と立て続けの事件
そして 次々に明らかになってゆく 忌まわしい過去。
予想のつかない展開に 目が離せなくなり 1日で読み終えてしまいました。
ある書評で「ドロドロとした女汁にまみれた作品」と書かれたとおり。
登場人物それぞれが持つ 屈折 鬱折とした内面は一筋縄ではいかない。
深く抉り取るような心情表現。陰惨な出来事を たんたんと表現する筆力。
読み続けるには あまりにも おぞましい内容。
しかし 目が離せなくなる。
調べてみれば 作者は 56歳でのデビュー。人生経験の重みが違う。
正常と異常の狭間がはっきりしない倒錯した展開と
誰もが救われない悲しい結末。
ただ読後感は どこか爽やかな印象も。
それは おそらく 息子の友人の父親 服部の存在から。
主人公の嫌悪の対象である 俗人物。
間違いなく読者にとっても うざかった その印象が
最後には 一筋の光明としてさえ感じられる。
恐るべし 沼田まほかる。他の作品も 読まなければ・・・
