バラバラに出てくる登場人物。いろいろなエピソード。
何の関係もなさそうな 彼らたちが ラストに向け ひとつの線でつながっていく・・・
「連鎖群像映画」とでも称すべき よく使われる手法。
しかし ここまで完璧な作品は はじめてです。
クラッシュ!
舞台は 根強い人種差別が渦巻く ロサンゼルス
特にロサンゼルス市警内での差別の根深さは驚くばかり。
中でも 一番印象的な登場人物は
マット・ディロン演じる 白人警官 ライアン
やりすぎとも言うべき捜査方法で 黒人女性を侮辱する。
しかし翌日 その黒人女性が命の危機に陥ったとき
彼のとった行動は・・・
ひとつの面だけでは語れない人間の複雑さ。
人種差別主義者だが 命を投げ出してでも 黒人を助けようとするライアン。
一方 人種差別者のライアンを拒否した若い警官が
救おうとした黒人を 逆に撃ってしまう皮肉も 対照的に描かれる。
また 弾を跳ね除ける魔法のマントを信じる
鍵屋の幼い娘の話も 涙を誘う。
理不尽な理由から 撃たれる父親。
それを守るために身を投げ出す娘。
そして 信じられないような結果。
決して 人種差別を肯定してるわけでも 非難してるわけでもない。
人と人のぶつかりあい クラッシュ!から生まれる 憎しみ 誤解 後悔 愛情・・・
人間の気持ちは単純じゃない。でも きっと誰にでも 温かいものは流れてる。
伏線もたっぷり。脚本のうまさに うなります。
おすすめ!
おすすめ度 ★★★★☆ 4.5