投了図に思う~第81期名人戦第4局 | 藤井八冠応援ブログ

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投了図に思う~第81期名人戦第4局

 福岡県飯塚市の麻生大浦荘で21日から繰り広げられた第81期名人戦七番勝負の第4局は2、2日午後4時45分、挑戦者の藤井聡太六冠が渡辺明名人に69手で勝ち、対戦成績を3勝1敗としました。残り時間は藤井六冠2時間3分、渡辺名人1時間22分。

 

 投了図は、藤井六冠が69手目7筋5段目に、王手で角を打った局面です。後手は、持ち駒がありませんので、玉を引くか、金を上がるかの2つの方法しかありません。しかし、詰めろではありません。まだ、指し継ぐこともできましたが、渡辺名人は、この手を見て、潔く投了しました。

 

投了図で後手が指すとすれば

 まず、玉を4筋に引くと、☗飛車当てに歩成の一手です。後手は飛車を引きますが、先手は8筋に歩成。飛車を捕獲されてよくありません。また、5筋に玉を引くのは、7筋に歩成りから、5筋3段目に香車を打たれて、一気に寄り筋になります。

 次に、金を上がるのは、歩成りからと金を寄られて、差す手がありません。

 

 

投了は美学か

 大盤解説の中田八段は、次の一手は「投了」と解説されていました。

 

  この解説を聞くと、なぜこのタイミングで投了なのかがよく理解できます。会場は、「棋士の美意識」を体感させた名解説に、割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響きました。正に、名人としての矜持、勝負師の美意識を感じずにはいられませんでした。

 勝負は抜きにして、両雄の素晴らしい姿に、改めて感動した名局でした。