こんにちは。田中孝一です。
今回はあえて難しい内容を書きます。
東大やその他ハイレベルな学校の入試問題を見たことはありますか?
とても抽象度が高いです。
抽象度って何?という過去の記事はこちら。
上位校は「このレベルの文章が理解できないと、入学してからついていけなくなるよ」と生徒を試しています。
入試を見れば、学校側がどういう生徒を欲しがっているかわかるのです。
◆抽象語で差がつく
上位校を目指す生徒にこのように話します。
「抽象的な文章は難しい。どこを読んでも抽象的なことしか書いていないこともある。文章を理解できていないのに、ごまかそうとして本文を切り貼りするだけでは、抽象度がスライドして終わってしまう。そういう解答は入試では×になります。」
そのあと、問題にします。
【問い】 「抽象度がスライドして終わってしまう」とはどういうことか?具体的に説明せよ。
最初はほとんどの人が答えられません。
「たとえば、のあとは具体例が書いてあるよ」
「結論は最初か最後だよ。」
「なぜ?と聞かれたら、~だから。と書くんだよ」
という取扱説明書のような最低限の解法を説明して終わらないように気をつけています。
また、「セミの一生」という説明文を授業で取り扱ったときも、セミに関する雑学が手に入るのですが、それで満足して終わってしまってもいけません。
もちろん、これはこれでマイナスにはならないので、充分ためになると思います。
しかし、上位校を受ける場合は、それだけでは厳しいです。
練習を重ねると、高校受験、大学受験の生徒でも、抽象度の高い会話・文章を理解できるように成長していきます。
講師
「人間性を尊重しよう、でも、やる気も尊重しようって言う場合、あたかも人間性・やる気を前提として話を進めている。いつから人間性・やる気っていう言葉が出てきたのだろうか?考古学的視点をふまえないと、解釈学的になってしまう。視野も狭くなる。」
生徒
「具体性があまりないと、やっぱ難しいですね(笑)それって、こういう事ですか?例えば僕だと、過去の記憶が正しいと思ってたら違っていて、でも自分はそれを気にせず現在を生きているって思ったことがある。前提の部分を疑わないんですよね。」
生徒は、「解釈学的」などの用語が分からなくても、実体験に結び付けて、具体的な話として理解しようとしています。
この内容は、フランスの哲学者の考えをふまえてあえて難解なままの状態で話したのですが、本人たちは哲学者のことは知りません。
でも理解しようとしているのです。
国語の文章題では、「次の文章を読んで答えなさい。」と書いてあります。
前もって作者について知識を頭に入れておく必要はなく、書いてある文章だけで解けるようになっています。
練習をすると、生徒は、以前よりも吸収する力が上がっているのを感じるようです。
同じ授業、同じマンガ、同じドラマ、同じ雑談を体験しても、得るものが人それぞれ全く違うのです。
それが小学校から大学生、社会人にでなったあとも一生続くので、差がつくのは当たり前かもしれません。
わざと話を小難しくする人は、具体例を出しません。
個別指導では、相手によってわかりやすさを調整しなければいけません。
具体例を出しすぎると、分かる人にはクドい説明になってしまいますから。
抽象語で差がつく話でした。