ボヘミアンガラス・ストリート | 読書むすめ

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本ばかり読んでる星華(シンファ)です・・・

平井和正さんの作品では、心に痛手を負った人が出てきて、その人が私にはとても胸に迫ってきます。

「ボヘミアンガラス・ストリート」っていう全9巻のノベルスがあるんですけど、コミカルな感じのラブストーリーってふうに進むんですけど、時々無性に切ないです。
女の子のキャラが沢山出てくるんだけど、その中に、コスギって子が出てきます。不良っていうより、自分の居場所がなくって、ふらふらしてるしかないって感じの子です。悪い男にいいようにされたり、おもちゃにされたり、でももそれをつらいって思うこともできなくなってて、親からも頭が悪いどうしようもないクズだって小さい頃から言われてて、自分でもそうだって信じ込んでる子です。ちゃらんぽらんな感じというより、悩んだり真剣になったりってことを知らない感じに生きてきた子です。

その子が、ある瞬間、主人公の円くんの前で、搾り出すようにいいます。「あたしはばかだ・・・」

この瞬間がとても胸を絞り立てました。

「人の心ってたいてい変わってしまうよな? あんなに優しかったのに、あんなに好きだったのに・・・心が曇ってぼろぼろにさびてしまうんだ」
「円くんのいうことって、つらい! 胸が苦しくなってしまう! でも、それって本当だよね! 人間の心って、どんなに強く決心していたって・・・時がたつにつれて、すこしずつ変わってしまうものね・・・」

そしてそのあと、いきなり言うのです。「あたしはばかだ・・・」
私は、ここでなんでこんなこと言うのかなって思ってました。それがわかったのは、ずっとあとの巻ででした。

コスギは・・・

涙出てきちゃいました。いつ思い出しても、この時のコスギの気持ちがつらくって、かわいそうで、私自分もかわいそうで、つらくって。

この「ボヘミアンガラス・ストリート」は、なんか、ハーレムエンドみたいな感じで、他の平井和正さんの作品、ウルフガイとか短編とかと全然違って、一番好きとかそんな感じでは思ったことないんだけど、このコスギのことだけは、私、絶対に忘れない。

平井さんの作品には、なんだかすごく胸をかきむしられるような登場人物が必ずのようにいます。お話のストーリーとか、何年かしたら忘れちゃうかもしれないけど、この感情というのか気持ちというのかは、忘れられないと思います。ていうか、忘れないと思います。いつでも思い出しちゃうから。

私にとっての、平井さんの小説はそんなものです。ストーリーもテーマもあるけれど、たぶんそれよりも、ある一箇所での、登場人物の感情、それが胸を貫いてしまうから。いつも忘れられないから。
「感動して泣ける小説」とかには全然ならないかもしれないけど、いつまでも忘れられなくて、思い出すとこんな気持になっちゃうから。

だからたぶん、エッチでも、グロくても、読みたくってしかたなくなっちゃう・・・
そんな私の、そんな登場人物たちだからなんだと思うんです。