本当の絆は弱い上司と弱い部下から生まれる | 赤野コーチの「禅 メンタルトレーニング」 本当の自分の力を発揮する心のキーワード

赤野コーチの「禅 メンタルトレーニング」 本当の自分の力を発揮する心のキーワード

私に出会うと心が許される気持ちがする。 本当に嬉しい言葉をいただきます。
一つの出会いが人生を大きく変える、 そんなコーチでありたいと日々奮闘中!!
これまでの出会いから学んだ 本当の自分の力を発揮するためのキーワードを お伝えしていきます。

はじめてお会いした時
エステサロンの店長Mさんは、会社を辞めようと思っていました。


最後の望みとしてコーチングをうけにきたのです。


Mさんは、非常にまじめで努力家です。
専門学校を卒業後、寝る間も惜しんで技術を覚え
今は店長という立場でスタッフをまとめようと懸命に奮闘していました。


けれども、Mさんがどれだけ頑張っても
店の成績は上がらず、
スタッフの和も築けないでいたのです。


それをMさんはすべて自分の不甲斐なさのせいだと責めていました。
・営業力のなさ
・マネージメント力がない
・性格が合わない部下をまとめられない

でも、スタッフの前では完璧な店長でいないといけないと
悩みを出さずいつも難しい顔をして厳しく接していました。


でも店長のMさんが心から望んでいたのは
楽しい職場でありスタッフ同士の絆だったのです。

でも経営者に認められるには成績をあげなければならない、
店長もどうすればいいのか分からなくなっていたのです。


店長は経営者を心から尊敬していました。
経営者のAさんは入社した時、ものすごく怖かったそうです。
その中で育ってきたので、店長はAさんの方法しか指導法はないと
思い込んでいたのです。

本来、店長は楽しいことや冗談や、
雑談も大好きなのですが、
無理をして経営者のやり方を真似していたのです。


そして店長の奮闘を見ていた経営者も

コーチングをはじめることにしました。
同じ会社の2人をコーチングすることは、
お互いの言い分に挟まれて客観的な立場に立てなくなるので
一般的にはあまりいいとされる手法ではありません。


ただ、私自身はお互いの言い分を聞くことで
より客観的に2人の関係が分かってくるので
あえて行うこともあります。


経営者のAさんは、Mさんはすでに十二分に頑張ってくれていて、
もっとMさんらしい店にしてほしいと望んでいました。
かけがえのないパートナーだと思っていたのですが、
それは伝えていませんでした。


実はAさん、2人で話すのが大の苦手だったのです。
自分自身が部下に愛される人間ではないと思っていたのです。

だからあえて距離をとるために、
2人ではあまり会わないようにしていたのです。


この2人の場合、お互いのことを大切に思っているのに
決して弱い自分は出さないのです。
逆にいえば、お互いのことを思っているが故に
迷惑をかけるようなことを
したくなかったのかもしれません。
でもそれが悲しいことに2人の距離を広げてしまっていたのです。


この悩みを聞いた上で、
いっしょにコーチングをうけていただくことにしました。
お互いに弱い自分を伝えていただくためです。


経営者は店長が
自分のことを心から好きでいてくれたことにはじめて気づきました。
だからこそお役に立てないので悩んでいたことも・・・
2人だけで話したいと思ってくれていることも驚きでした。

また店長は経営者が2人で会うのが苦手なことを
はじめて知りました。

そして尊敬するがゆえに自分が経営者のやり方を真似しようと
していることに気づきました。
できないのに無理をしている自分がいることも。

そして経営者が望んでいるのは自分の真似をすることではなく、
Mさんらしい店づくりをしてくれることだということも
そのときはじめて知ったのです。


そして話し合いの後、店長のMさんは
今度は自分自身が部下のスタッフに
少しずつ弱みを出すようになりました。


あるときスタッフの方に聞くと
「店長は変わりました。優しくなりました。」
と笑顔で話してくれました。

おかげで自分たちも悩みや不安を出せるようになり、
スタッフ間の絆が深まっているそうです。

経営者と店長が自分たちの弱さを出したことで
スタッフも自分の弱みを出していいのだと思えたのです。


経営者もあいかわらず2人は苦手ですが、
極力2人で話す時間をとるようにされています。

立場が上の人間になればなるほど
自分の悩みや弱みを出すのは勇気がいります。

弱い人間とは思われたくないし、
なにより心配をかけたくないからだと思います。


でも、上の人間の不安は部下に必ず伝わります。
それを言わないと逆に部下も不安を出せなくなるのです。


私がお会いする多くの企業で、
お互いのことを思っているのに伝わっていないことがよく見受けられます。
すごく残念なことだと思います。


絆を作るには、お互いに弱さを出せるかどうかが鍵です。
弱さをだせてこそ真の絆が生まれるのだと思います。


みなさんは、「弱さ」出せていますか?